1-3
「あっ、そういうことでござるか。
他の2人は違うんですね?」
「ドラムの人は榎夏一芯って変わった名前の人。
この人が最年長。
たしか30歳だったと思う。
高円寺で飲み屋を経営してる人。
ベースの人はあまりよく知らない。
メンバーチェンジがあったようでほとんど面識がない」
へ〜って感じで聞いてた廻琉と伶蕗。
そういったツテがあるのならライブハウスに出ることができるみたい。
2人にはライブハウスでの出場経験がない。
不安と期待が急に出てきた。
「それはよいのですが、問題は曲ですよね〜でござる」
廻琉のこの発言で野々さんも伶蕗も頷く。
そうだ、浮かれてる場合じゃない。
今のところレパートリーとして演奏できる曲がまだ1曲もない。
絶賛連絡中だ。
ところでと廻琉がさらに続けた。
「カバー曲についてです。
1回だけチラッとやってみたじゃないですか。
これってどうなんです?」
それがマイケル・ジャクソンの「do'nt stop til you get enough」
廻琉がほぼ知らなかった曲。
原曲を聴いた時から「これはちょっと」と思ってた。
1回やってみたんだけど、ドラムとベースはなんとかなってる。
ギターは独りだけじゃど〜しようもない。
原曲ではストリングスやらホーンやらいろんな音が入ってる。
これらの音をギター1本だけでまとめられない。
また、今の廻琉の実力ではまとめる力もない。
これは伶蕗も野々さんも難しいなと思ってたそうだ。
この曲をドラム、ベース、ギターで演奏するのなら原曲は忘れて大幅なアレンジをしなければならない。
練習している時は録音している。
3人で聴き返してみても全体的に酷い。
スッカスカな音になっていて歌もよろしくない。
「う〜ん、これは保留ってことにしておこう。
無理すぎた。
もっとやりやすい曲を探しておくよ」
do'nt stop til you get enoughは野々さんが選んだ曲だったけど、野々さんが止めにした。
それと自分の作った曲もこのバンドに合わせて全体的に変えてしまおうと提案してくれた。
メロディと歌詞はそのままで、もっとバンドサウンドにしていきたいと望んでいる。
「それにしても、敢えて言わなかったが、イメチェンかね?」
「ふふふ、敢えて言わなかったとな···
あまりにも精悍なアスリートのように変貌してしまったせっしゃに驚いたでござるか?
伶蕗ちゃん」




