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やっと美容院に行った。
夏に向けて大きく髪を切った。
耳が出るほどのベリーショートにした。
「そりゃ驚いたたさ。
アスリートどころじゃなく、新垣結衣にますます近づいてるし」
ここで廻琉はムッとすることになる。
誰や、それは?
新垣とはなんや?
どこのガキや?
「あっ、言われてみれば似てるかも。
誰かに似てるなって思ってたけど···
野球帽被ったら少年野球チームのセンターみたいね」
野々さんが突然思い出したように変なことを言い出した。
少年野球って···
せっしゃは少年に見えるんかね?
「センターってなんでござる?」
うっとなってしまったのが野々さん。
自分で言っておきながらたまたま知ってたセンターと言っただけ。
実はよく知らなかった。
それどころかここにいる3人はセンターどころか野球のことはほとんど知らなかった。
「とにかく6曲。
カバーで2曲、バンドとしての曲が4曲。
6曲あれば30分弱まではやれるはず。
カバーの1曲は決まりで、これは早く仕上がると思う。
もう1曲は探してみる」
この野々さんのお話からバンドとしての4曲をどう変えていこうかとの話し合いに突入した。
提案されたのはいろいろだ。
この曲はもう少しテンポアップしてとかこの曲はギターに頑張ってもらって強力なギターソロを入れてとかで止まらなくなってきた。
それらのすべてを野々さんがメモしていって最善な方法を選んでいくことになる。
こうやっておけば闇雲に練習するより方向性をはっきりさせることができる。
効率的だ。
時計を見るとかなり長い間話し合ってたようだ。
でもこれでバンドとしての方向性が見えてきた。
有意義な時間を持てたことにみんな満足だ。
もうすぐ夕方と呼ばれる時間になってしまう。
これから練習って気分でもなくなった。
せっかくなので野々さんの出身地である北九州市の話を聞くことになった。
北九州市といえば廻琉と伶蕗の元メンバーの羽田華久が進学した先だ。
偶然にしてもこんなことがあるんだと聞いた時は本当に驚いた。
廻琉も伶蕗も九州には行ったことがないので興味はある。
「どんな所なんですか?」
もう伶蕗が興味津々だ。
「どんな所って言われても···
北九州市の中心地となる小倉駅の周りはそこそこの都会。
でも東京のような垢抜けた感じではない。
高層ビルなんかもないし、小倉から離れていくほど地方感が出てくる」
野々さんとしては生まれ故郷の福岡県よりも東京都のほうが好きなようだ。
学生であって会社もやってるから卒業しても帰るつもりはないみたい。
それもあってなのかあまり故郷の話をしたがらない。
その他にもこれからのバンド活動のことなんかを話してると時間を忘れるほど楽しい。
さぁ、そろそろ帰りましょってなったのは午後6時になろうとしていた。




