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「せっしゃもです。
曲作りまで手が回らないでござる。
もう少し先のことになりそうです」
「それはちょっと困ったねぇ。
ライブをやるつもりなのに」
「えっ、そうなんですか?
どこで?」
「東京農工大学の文化祭。
11月」
「え〜っと、今が5月だから···
5ヶ月先ですか。
それって何曲くらい必要なんでしょ?」
「う〜ん、そうねぇ、6曲もあれば充分。
文化祭だから他にもいろいろ出てくるだろうし。
あっ、文化祭だからってわけでもなくてコネを利用して出てやろうかな〜って」
「そういうことなんですね。
それで野々さんの曲を···」
「それだけじゃかなり厳しいんだけどね。
誰も知らない曲ばかりじゃあね。
というわけで逆に誰でも知ってそうなカバー曲もやらなきゃね。
それとね、冷静になって自分の曲を聴いてみるとライブ向きってわけでもないんだよね。
どうせなら綺麗なバラードのほうがよいのだよ。
ちょっと中途半端かなぁ〜って思ってるんだよ」
この時から野々さんに対しての見方が大きく変わってしまった。
名前や声が変だなと初めは思っていたが、実は頭の良い人だった。
だって自分を客観的に見れるってすごいことじゃない。
なかなかできる人っていないと思う。
「あっ、そうだ、バンド名でござる。
突然ひらめいたのはクリームソーダとかプリンアラモードでござった」
「クリームソーダ···
なんか地方のアイドルグループでいそうね」
「そうなんですよ。
それでちょっと考えてみたんですが、意味のない名前ってアリじゃないかって。
そうすれば他とは絶対にかぶらないって」
「それは面白いね。
かぶらないどころか唯一無二の名前になる。
でも意外に難しいかも。
どうしてもいろいろ考えちゃいそう」
ここからバンド名を決める作業に入った。
最初は思いつくままに適当だった。
それだとど〜もしっくりこない。
考えられる様々な方法を試してみた。
途中で三ツ矢サイダータイムを挟んだりしながら2時間近くあぁだこうだって候補を上げていった。
そして決まった。
意味があるんだけど単語としては意味がない。
インパクトがあって覚えやすい名前。
「これで決まりでいいんじゃない?」
「そうでござるね。
さっそく伶蕗にも詳細を送って上げるでござる」
廻琉はスマホを取り出して文字入力。
送信。
これでよし。
「絶対に他ではないと思うでござる」
「これは良いアイデア。
覚えやすくって意味不明って、インパクトがある。
あとは曲よね。
それがとにかく大事」
廻琉は3時近くまでこの部屋にいた。
大学のことやアルバイトのことなどを話した。
野々さんはサーカスのことを知ってた。
超有名店なので知らないわけがないと言ってくれた。




