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東京都西東京市、土曜日午前10時半。
約束の時間ぴったしに白いワゴン車が岡山田家の玄関前に停まった。
車から降りてきたのは野々のののと大神田百絵のコンビ。
運転席から降りてきたのはスラリとした青年。
青山優だ。
伶蕗との話し合いでドラムを倉庫へ搬入することになった。
呼び鈴を合図にサッと玄関ドアを開けたのは伶蕗。
待っていた。
ドアを開けると野々さん。
少し離れた後方に大神田さんと初めて見る青年がいる。
第一印象は想像もしてなかったイケメンだった。
野々さんを先頭に3人が家の中に入った。
ドラムセットはすでに玄関に置かれていた。
伶蕗の両親もいる。
伶蕗から事情は話してあったのでドラムを運び出すのはスムーズに行えている。
ドラムセットはこれまでメインで使っていたものだ。
新しく買ったドラムセットは使ってない部屋があるので倉庫代わりに置かせてもらっている。
伶蕗の兄の麗央もひょこっと顔を出した。
今日は土曜日で会社は休み。
25歳になるが独り暮らしができない。
問題なのは経済的事情だ。
会社は港区台場にある。
せめて23区内でと考えても給料の金額で二の足を踏んでいる。
入社3年ならそれほどの給料をもらってない。
独り暮らしをやろうと思えば無理にでもできなくはないが生活費でいっぱいいっぱいになる。
貯金もできないことを心配している。
部屋代も都内は高すぎる。
家を出るのはもう少し先になる。
母親はどう対応していいのかわからないようで少しばかりオロオロしている。
父親は伶蕗の音楽活動を応援しているので「お願いします」と神妙な顔でいる。
伶蕗は一緒に野々さんの倉庫まで車で行くことになる。
場所はJR中央線の武蔵境駅南口から歩いて7〜8分くらいの普通の2階建てのアパート。
そのアパートの前に畑があって倉庫もある。
このアパートには駐車場まである。
アパートの部屋代は月額68,000円。
6畳と4畳ほどのキッチン。
駐車場込みなら8万円。
このあたりでは激安らしい。
その代わりアパートは古い。
できてから30年以上は経ってるらしい。
部屋数は8。
今のところ満室。
畑と駐車場と倉庫は会社として借りているので月額20万円。
車は駐車場に入る。
このワゴン車は青山さんの私物になる。
4人でドラムのパーツをそれぞれで持って倉庫に入る。
思ったよりもちゃんとしてる。
ベースアンプが小型のと中型サイズの2台が置かれている。
ローランドのシンセサイザーまである。
倉庫内の奥にドラムセットを組み立てていく。
わずか10分ほどでセット完了。
音質としては買ったばかりのパールのドラムより劣るのだが長年親しんできたドラムだけあって愛着はある。
もう本番で使うことはないだろうけど練習用とすれば現役だ。




