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「えっ、そうなんですか?」
食いついたのは伶蕗だ。
練習のたびにスタジオ料金を払っていくのも大変だ。
スタジオ料金の支払いの負担で新しい楽器購入までの資金が追いつかなくなってしまう。
バンド活動っていうのはとにかくお金がかかる。
少しでも節約できたらと思っている。
「うちのアパートの前には畑がある」
「えぇ、それは聞きました」
「畑だけじゃない。
その畑の隣には倉庫があるんだよ。
その倉庫も大家さんからの借りものなんだけどね。
元々は畑で使う農具なんかを入れてたみたい。
そこもセットで借りてる。
中は改造した。
防音材を貼りつけたりしてある程度は防音仕様になっている。
広さは10畳くらいかな」
DIYで倉庫を改造したらしい。
中に入っていた農機具は大家さんが処分している。
野々さんたちはほぼ手作業で農業を行っているので特に不便はないみたい。
それにしても野々さんと大神田さんは自分たちで作ることが得意であり好きなようだ。
所持しているベースも自ら若干の改造も施している。
機械や電気関係もある程度は独学で習得。
こういったことは農学部に入ってから特に顕著になったようだ。
それと周囲にそういった人たちが多かったことも影響している。
野々さんたちは3人で農業などを行っている。
もう1人、青山優さんという農学部4年生の先輩がいる。
浪人していて留年もしているので現在26歳。
かなり変わった人だそうだ。
ぼんやりしてるようで要点はしっかりとおさえている。
そんな人がどうしてと思うかもだけど本人は遊びのほうが大事ってことらしい。
まぁ、本人は普通に就職とかって考えてないので自由にやってる。
というのも実家の跡継ぎでもあるので焦ってどうのってこともないらしい。
「変わった先輩なんてすね。
いろんな人がいるんですね」
高校生までは狭い世界やった。
それがなんやら一気に世界が広がってる。
こんなんで20歳を超えて完全に成人となったらどうなるんやろ?
「変わった人の中でも群を抜いて変わってるかもしれんね。
でも頭はいい。
そして行動力もある頼れるお兄さんや」
農業で商売をしていると聞いていたが取り仕切ってるのは青山さんだって。
個人経営とかではなく正式に会社として運営しているのでちゃんと給料が支払われている。
3人だけの会社ながら月に37万円の給料。
手取りなら29万円ほど。
独り暮らしなら充分な金額。
そして大神田さんはお金を貯めてるって。
野々さんが住んでるアパートで空きがでたらすぐ引越をするつもりらしい。
独り暮らしをしたくてウズウズしてワクワクしてるってことみたい。




