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廻琉が慌てて中腰で立ち上がった。
それを見て「まぁまぁ座って、冗談だよ」とエヘラとしてる。
「変わった名前だが本名なんだよ。
これから天下を取る名前だ。
覚えておくがよいぞ」
なんか変な人に声をかけてしまったなとは感じている。
ちょ〜個性的なんだけど。
大神田さんはすっかり慣れっこなんだろう。
やれやれ、またかねっていった様子でいる。
「すいませんね」って謝っているので間違いないだろう。
ここからはやっと普通に話ができるようになった。
大神田さんは八王子の実家暮らし。
野々さんは高知県出身で武蔵境で独り暮らし。
野々さんにはよく振り回されているんだと豪快に笑っている大神田さんもなかなか豪気な人物ではないでしょうか。
「野々さんは、今はバンド活動をしてるんですか?」
「やってないよ。
一時期、参加したバンドがあったけどいつの間にか自然消滅してしまった。
今は頼まれた時にベースを弾いてる。
普段は農業に勤しんでいる」
「独りでもやってるのよ。
元はクラシックピアノだったから。
コンサートってほどではないけどソロでイベントに出たりしてるの」
大神田さんからの補足もあった。
野々さんは何曲かのオリジナルも持っていてシンガーソングライターとしての面も持ってるということがわかった。
本人によると本格的ではなく遊びのようなものだと言ってる。
「ピアノをやってたってことは楽譜も読めて音楽教育を受けてるんですね?」
「あれは、ぼくが幼稚園児だった頃だ。
園のお歌の時間に先生がオルガンの伴奏をしてくれてた。
それを見たぼくは母親にオルガンを弾けるようになりたいとねだったら、連れていかれたのがピアノ教室だった。
そこからだ。
高校生の頃まではピアノマンだった」
「それで、ベースは?」
言ってから廻琉はクリームソーダのアイスをパクリ。
ソーダ味のアイスはうましや。
「本格的には大学生になってから。
高校生の時にはすでに弾いていた。
バンドを結成するという友人から誘われてピアノで参加したもののど〜してもベースがいない。
ということで泣きつかれてベースを弾くことになった。
ぼくも人が良いからやってやりましょうと引き受けてしまった。
その友人から使ってないベースを譲り受けての楽器チェンジになってしまった。
でも長続きはしなかった。
やっと見つけたドラマーが他のバンドに引き抜かれたりして活動できなくなって消滅だ。
ベースはそのまももらったものの、もとからボロボロであった。
しばらくはそんなベースでボンボン音を出していたんだが壊れてしまった。
そして大学生になってからいいベースを購入して弾いている」




