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廻琉たちが座ってるテーブルの隣のテーブルにいま入ってきたお客さんが座った。
その瞬間、さりげなく伶蕗がチラッと見た。
その時、伶蕗の表情が「うん?」っていう感じになった。
え〜って叫びたかった。
目を見開いて廻琉を見た。
廻琉は気づいてない。
その廻琉は一生懸命話しているが伶蕗の様子がおかしいことにやっと気づいた。
「なに?」と廻琉が訊いてくるので「隣り」と人差し指も添えて教えなければならなかった。
その廻琉は怪訝な顔でチラ〜ンって感じで隣のテーブルを見る。
最初はよくわからなかった。
ジ〜っと見てるとハッと気づいた。
目をパッチリさせて伶蕗を見た。
伶蕗もパッチリさせて見返している。
あのコンビだ。
吉祥寺のハードオフで初めて見た。
さらに大久保でもバッタリだった。
そしてこの神保町で席が隣ってど〜ゆ〜こっちゃねん?
「あの」と思わず廻琉は話しかけた。
はたして向こうはどうなんだろ?
こっちのことを気づいているのか?
かなり興味もあって反射的に声をかけた。
「吉祥寺で会いましたよね。覚えてますか?」と廻琉が尋ねるとボブカットの女性が「大久保でも」と応えている。
お互いに認識があったということがわかった。
そこからは少しずつお互いのことを話し始めることになった。
「ハードオフにいたってことはギターをやってるとか?」
「ギターじゃなくベース。
この人は音楽やってないからね。
付き合ってくれてるだけ」
「へ〜そうなの。
こっちはね、せっしゃがギターでこの赤髪がドラムや。
赤鬼やね」
「誰が赤鬼って?」
伶蕗がキイィ〜ってなってるのをドウドウってしてお話は続きます。
「もしかして同じバンドで?」
「結成したばかり。
でもまだ2人だけ」
廻琉と伶蕗はこれまでどんな感じで音楽をやってきたかを話した。
バンド歴としては本当に短い。
伶蕗はお助けで他のバンドの手伝いに入ったといった経験があったが、廻琉はついこの間の高校3年生の時の経験しかない。
「あっ、そうだ、まだ名前も言ってなかった。
この人は大神田百絵。
あなたたちは?」
廻琉はたいして気にしてなかった。
伶蕗はちょっと変だと思った。
普通なら自分の名前を告げてから相方の名前もってなるはず。
自分の名前は名乗らずコンビの相手の名前だけを言うって普通はない。
「せっしゃは十条廻琉。
武蔵野大学文学部の1年生。
侍の末裔でござる」




