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約2時間の練習が終わった。
この日は最初の曲から最後の曲まで通しでやってみた。
急遽集められたメンバーなのでオリジナル曲を演奏するには手が回らない。
五百蔵が数曲持ってるらしい。
練習するには時間が足りない。
チラッと聞かせてもらったが完全にプログレだった。
あまりにも複雑でテクニカルすぎて廻琉と伶蕗の今の演奏力ではとてもついていけない。
だからオリジナル曲は却下。
「だいたい、こんな感じで良いんじゃないの?」
羽田の個人的感想だ。
廻琉としても同感。
「そうねぇ、細かいこと言い始めるとキリがないけど、悪くはないね」
これは五百蔵の本心かどうかはわからない。
本音ではオリジナル曲を演奏できるだけのテクニックを持ったプレイヤーとやりたかったはずだ。
短期で有限で組まれたバンドであるので無理強いはしない。
「時間だし、帰るかね」
伶蕗の言葉で帰り支度を始める。
他のクラブ活動もそろそろ終わる時間だ。
どのクラブも放課後2時間くらいの活動とされている。
学校のルールだ。
遅い時間になるほど問題も多くなってしまう。
学校側も親側にしても変な事件や事故に巻き込まれたりすることを心配している。
なんといっても女子比率が高いからだ。
廻琉としては、中学生じゃないんだからと思っている。
でも、まだ未成年だから仕方なしかとも思う。
ラーテルのメンバーは羽田だけが自転車通学。
伶蕗は西武新宿線の田無駅の方角なのでバスに乗って帰る。
歩きなのは廻琉と五百蔵になる。
でも帰る方角が違ってるので校門を出て分かれることになる。
廻琉はまっすぐ家に帰った。
荷物を置いて制服から着替えてすぐ家を出る。
城桜高校の制服はブレザーだ。
少人数の男子はネクタイをしている。
中学生の時とほとんど一緒だ。
いわゆるむか〜しの学生服とかセーラー服っていうのとは縁がなかった。
廻琉は家を出て200 メートルほど離れてる家に入っていった。
父親の父親、つまり祖父の家になる。
今日は両親ともに帰りが遅いので夕ごはんはじいちゃんの家でということになる。
よくあることだ。
母親の明日美は料理が下手とか嫌いとかではないが作れる料理のバリエーションが少ない。
廻琉は母親より祖母の十条かっこうが作るモダンな料理の法を好んでいる。
祖母は72歳になるが、すべてのことがモダンである。
感性が若いので母親より祖母といる時のほうが話が弾んだりする。




