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アオハルはロックでござります  作者: 弁財天睦月
卒業と入学

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1-4

廻琉が3階にある教室に入ると伶蕗がいた。

自前のドラムのチューニングをしていた。

ドラムセットは父親に車で運んでもらって置きっぱなしにしている。

ドラムって搬送が大変だなって廻琉は思っている。

その点、ベースやギターはまだ楽だ。


「早いね」


「最後の授業が早目に終わってすぐホームルーム。

担任の水野先生の授業だったんでそのまま終わりだよ」


伶蕗はスネアの音をいろんな力で叩きながら音の調整をしている。

伶蕗は中学生の3年間は吹奏楽部でパーカッション担当だった。

望んでやってたわけではなかった。

たまたまパーカッション担当がいなかったので伶蕗が指名されて引き受けた。

やってるうちにその面白さに気づいた。

高校生になってからは本格的にドラムの練習を始めた。

1年生の1年ほどをドラム教室に通って基本的なことはマスターしている。

あとは独自の独学ということになる。


廻琉もベースを手に取ってチューニングを確かめてからアンプにつなぐ。

ベースアンプも叔父さんからの借りもの。

廻琉はブランドとか機材には(うと)い。

叔父からの説明ではアニーボール社のミュージックマンベースアンプで1977年製のビンテージなんだそうだ。

HD130コンボというモデルで130ワットもあるので小さな会場でなら十分に使えるそうだ。

文化祭では体育館のステージになるんだけど大丈夫かしらね?


ガラッと教室のドアが開いた。

ヴォーカリストがやってきた。

このバンドを作った張本人の羽田華久(はだかく)だ。

バンド名をラーテルと名づけたのも羽田だ。

ラーテルは主にアフリカ大陸に生息するイタチ科の哺乳類。

体調は60〜77センチと小柄だがライオンとだって互角以上に渡り合える動物。

背中は硬くてライオンの爪程度ではビクともしない。

攻撃は鈎爪(かぎつめ)で行う。

コブラ科の毒にも強くて耐性がある。

小さいながらも勇猛果敢な動物だということで羽田が気に入っている。


最後に現れたのがギターの五百蔵創(いおろいつくる)

羽田に誘われてバンドに参加している。

完全にプロ志望なのでとにかく場数を踏んでおきたいらしい。

高校卒業後は音楽の専門学校でギターの腕を磨きたいと言ってる。

音楽大学には興味がない。

方向性が違いすぎるということだ。

最短距離でギターと音楽を学ぶには専門学校が最適だと考えている。


五百蔵は受験勉強の必要はないのだが、あとの3人は本当なら受験勉強に集中しなければならない時期。

廻琉と同様に伶蕗も羽田も進学予定だ。

羽田なんかは歯科大学志望だ。

実家が歯科の開業医なので歯科医を目指している。

ラーテルのメンバーは卒業を控えている全員3年生。


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