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授業が始まって10日がすぎた。
ゼミの説明やら英語の授業で一緒になることになる友人ができた。
たまたま席が隣同士になった。
廻琉はそう思っていた。
実際には向こうが廻琉のことを知ってたらしい。
それが入学式の時からだ。
ずいぶん歌舞いた人がいるなとその時から気づいてたらしい。
授業が始まってみると入学式の派手さは消えてしまってずいぶん地味になってる。
やけに落差が激しい女子だとちょっと興味をもったというのが真実だった。
それが橘咲蘭だった。
福岡県北九州市から上京している。
北九州市の成人式は歌舞いてるのが有名になっている。
彼女もきっとそんなノリで入学式に参加したんだろうなと勝手に思っていた。
「へ〜実家なんだ。
読みを間違えたか···
地方から出てきてがんばっちょるお姉さんやと思っとった」
おぉ、ズバリ言うね。
せっしゃ、そんな風に見られとったんか。
これでも東京生まれで育ちのシテーガ〜ルのつもりでござるよ。
「橘さんは東京の人···じゃない?」
「うちは福岡から。
理系くずれ」
「あぁ、そういう人っているでござるね。
まさか、医学部志望だったとか?」
「第1死亡はがん、第2死亡は心筋梗塞、第3死亡は脳卒中」
「えぇ、それって志望と死亡···
せっしゃも少し脂肪を落としたいのじゃが」
咲蘭はむっと思った。
こいつ、できるなと。
「それで、本当はどこに行きたかったの?」
「うちはな、東京科学大学や。
情報理工学院を2年連続で不合格や」
東京科学大学は国立であることは知ってる。
たしか東京医科歯科大学と東京工業大学が統合した完全に理系の最難関大学。
廻琉には全力で縁のない大学。
医学とか工学とかって耳にしただけで頭が混乱してくる。
廻琉は完全に文系脳をしておると自負している。
「2年連続···
ということは浪人生だったでござるか」
「おっ、おぉ、1浪じゃ。
浪人ものであったぞ。
で、その語尾に『ござる』とつくのはなんでや?」
むっ、この者、できる。
すでにせっしゃの口ぐせを真似しておる。
さすが国立理系を目指しただけはある。
さらに1学年上だし。
「せっしゃ、武士の家系ゆえ、つい侍の言葉使いになってしまうでござる。
これも因果なものとご承知願いたい」
「なっ、なるほど、わかり申したでござる、お猿。
で、古文や漢文など、もちろん大得意ということでよいのですね?」




