付き人さんの苦労
そうして、家の掃除を始めること一時間三十分。家では様々な発見があった。
まず一番最初に気になったのは、キッチンだ。
見た目はつまみのない電子コンロといった感じだった。使い方がわからず色々と弄っていると説明書のようなものが見つかった。称号のお陰で、何が書いてあるかは理解できた。使い方は、コンロに魔力を流すという至って簡単だが私にとっては大きな壁だった。
まず、私は魔力がなにかも理解できていないのだ。どうするべきかと悩んでいると、ステータスボードにメッセージのようなものが届いていた。
「これはいったい。」
メッセージを開くと神様の付き人が送信主らしかった。そしてこう書かれていた。
〈水篠凱人様〉
この度は、我が主のご勝手でこの世界へと転移させてしまい本当に申し訳ありません。このようなことは、神様が生まれてから初めてのようで、神様に相当気に入られているようです。
この世界は、元の世界とは違い三神という神々によって創られた別世界です。ダンジョンや他種族がいるという部分以外は元の世界と同じなので一般常識などについては何も問題がありません。
しかし、スキルや魔力については何もわからないでしょうから私から説明させていただきます。
最初に凱人様の所持しているスキルについて解説させていただきます。
まずは、名称がわからないであろうスキルについて。
このスキルは現在封印されています。これは、凱人様がこの世界で特定の行動を行った際、解放されるスキルとなっています。
そのため、凱人様はこの世界で自由にお過ごしください。
2つ目は、スキル名『神剣一体』についてです。
このスキルは、神様から特別に与えられたスキルでこの世界ではいわゆる異能と呼ばれるものの部類に入ります。
そして、このスキルは凱人様が生涯使い続けると決めた刀剣に反応します。例を挙げれば、片手剣を選ぶと、その片手剣使用時の全ステータスの上昇効果であったり、片手剣の熟練度の上昇速度の大幅アップ、特別な技の伝授など様々な効果が見込まれます。
ご使用の刀剣は、きちんと精査した後御選びください。
次に、魔力『MP』についてです。
魔力は、この世界の生命全てに与えられているものです。この世界に住む者たちは生まれつきこの世界にいるため、魔力を生まれた頃から感知することができます。
しかし、凱人様たちはこの世界の住人ではないためわからないと思います。ですので、感知の仕方、使用の仕方についてお教えします。下に手筈を記しますのでそのとおりにしてみてください。
1.自分の一番集中できると思う姿勢になり、呼吸を整える。
2.魔力とはいわば人間が生きるために必要な血液と同じため、体に血液が流れているという感覚を掴む。
3.血液が流れているという感覚を掴めるようになると、血液とは違う温かい感覚を感じるようになる。
その温かいものを手に集める事ができれば魔力の感知、使用の仕方はほぼマスターしたことになる。
魔力の流れていない人間に、無理やりまちょくが与えられたことになるので、もしかすると体に異変が起こるかもしれませんが命には別状はありませんので心配は要りません。
そして、お詫びにはならないでしょうが、凱人様と渚沙様には私から加護を授けております。それぞれ、レベル1時点で、この世界にいる者のレベル15〜20の者とほぼ同様のステータスになっています。
こちらの身勝手なアホ。いえ失礼しました。神のせいで様々な苦労を強いられると思われますが、心を強くもち、頑張ってください。あとで、神にも直接謝罪をさせますので。
何度も言うことになりますが、この度は本当に申し訳ありませんでした。
最後に凱人様、渚沙様新たなる世界でのへの門出。成功することを心より祈っております。ご武運を。
そこでメッセージは終わっていた。このメッセージを見て感じたのは、
「どこの世界でも、部下は上司の尻拭いをさせられるんだな…。付き人さん、ファイト。」
まあそんなこんなで、波乱な一人暮らしが始まった。




