野菜…なのか?
「うぅ~ん……。」
刀鍛冶を終え、食事をしていた凱人は一人家である問題に頭を抱えていた。
そう、『食料問題』である。
この世界に来て2週間。最初の1週間程度は、この世界に来た不安や、刀の制作に集中していたためこの家に貯蓄されていた分の食料で事足りていた。
しかし、この世界に来たことに慣れ、刀の制作を1日2本程度におさめたことにより食事量が増え、とうとうこの家の食料が尽きたのである。
普通なら買えばいいじゃないかと思うが、そうはいかない。
少し前に、街に刀を探しに行ったとき、家から大体1時間以上かかった。毎度の食事の前に1時間以上かけて食料を持って往復すると大変どころの騒ぎではない。買いだめするにしても、大量の食事を運ばなければいけない。
「どうしましょうか…。」
食べ物はできるなら多めに食べたい。しかし、食事のたびに長い距離をものを持って移動するとなると大変だ。ワープする魔法があれば楽だが、あいにくそんな高度な魔法は凱人には使えない。
「いや…でもしかし、食料は買わないと手に入らないわけで…。魔法を覚える…。いやそれはきついですかね。あとは、栽培とかしかないですかね。まぁ、新たな挑戦ということで試してみてもいいかもしれないですね。」
栽培するとすれば何がいいのかを考えてみるが、この世界の作物が日本と同じとは限らない。今は森を見るに少し桜や梅に似た春の花が咲いているのを見るに、春なのだろう。
この時期なら、春キャベツや新玉ねぎが旬だろうがこの世界ではどうだろうか。まぁ、街に確認しに行けば済む話だろう。素人でも育てられるような食材の種や苗があれば儲けものだろう。
そう思い、袋になりそうなものを持ち街へと向かった。
◇
1時間程度歩き、街に着いた凱人は街にある八百屋と花屋へと向かった。
最初は八百屋へと向かった。野菜のプロフェッショナルであるわけだから、どの野菜が旬かということはわかるだろう。そう思い、八百屋の主人へと尋ねた。
「すみません。今って少しお時間いいですかね?」
「おう。どうしたよ兄ちゃん。なんかようかい?」
「最近、野菜を育ててみようと思いまして、今の時期って何を育てればいいかとかありますかね?」
「なるほど。そういうことか。そうだな…、キョベツとかジョガイモとかだな。」
キョベツとネマネギ。どちらも日本のキャベツとじゃがいもに似ているが、まぁたぶん違うだろう。
「それって、素人でも育てられますかね?」
「まぁそうだな。キョベツとジョガイモなら素人でもちゃんと水やりとかすれば育てれるぞ。育てたいんなら、そこの角曲がった先の花屋に行くといいぞ。そこの花屋の主人に頼めば、たぶん苗と種芋売ってくれると思うぞ。」
「そうですか…。ありがとうございます。それとなんですけど、肥料とかって必要ですかね?」
「肥料か?この地域なら、土に栄養があるから必要ないと思うぞ。」
「わかりました。」
「おう。もしなんかあったらまたここに来てくれ。」
「ありがとうございます!」
八百屋の主人に頭を下げ、主人の言った花屋へと向かった。
◇
八百屋から歩いて、5分ほどの位置に主人の言っていた花屋があった。
「すみません。八百屋の主人に聞いて来たのですが、キョベツとジョガイモの苗って売っていただけますかね?」
「彼の紹介ですか。いいですよ。キョベツとジョガイモですね。少し待っていてね。」
そう言って、主人は裏へと戻っていった。裏へ戻って少し経ったあと、苗を8つほどかごに入れて戻ってきた。
「キョベツとジョガイモ。それと、おまけでホスパラガスの苗も付けておいたので頑張って育ててくださいね。肝心なのは愛情ですからね、愛情。」
「ええ、ありがとうございます。また、他の野菜を育てたいと思ったらここに来ますので、またよろしくお願いします。」
そう感謝を述べ、買った野菜の苗と帰りに買った食材を手に家の帰路へと向かった。




