Sランク冒険者の実力
雷華が水樹と翠を論破し渚沙が納得した瞬間、学長室につながる階段からコツコツと下駄を履いた男が降りてきた。
「おい、おい。ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるじゃないか。」
渚沙は彼が誰かわからなかった。しかし、雷華はいち早く相手に気づき、すぐさま腰を90度まで曲げ挨拶をした。
「え?ラヴィスさんですか?!お疲れ様です!」
雷華のそんな様子を見て、正体に気がついた翠と水樹も腰を曲げた。そして、腰を上げた翠はラヴィスへと尋ねた。
「ほ、本当にラヴィスさんなんですか?」
「あぁ。俺がお前たちの話していた〈絶剱〉のラヴィスだ。いやぁ、学園長にやることがあると言われて来てみれば、まさかこんなに褒めてくれるとは。嬉しいものだな。」
「い、いえ!ラヴィスさんが一番強いSランク冒険者というのは明白ですから。それに、ラヴィスの戦いを見たこともありましたから。さすがにあれを見てしまえばわかりますよ。」
「そう言えば、ラヴィスさんはどうして学園長に呼ばれたんですか?」
突然の翠の質問に驚く雷華だったが、その質問にラヴィスは笑って答えた。
「フッフッフッ。ハッハッハ。ド直球だな。いいな気に入った。まあ、話せることだけ話してやろう。」
そうして、ラヴィスは学園長に呼ばれた経緯と依頼についての話を始めた。
「まず、大前提として最近予言が見つかっただろ?まあ、大雑把に言えばその予言についての対策だな。
今は、帝王歴2997年。予言の30回目の周期が1周期100年だとすれば、あと3年で世界を終焉へと導く大災厄が始まるだろう。霹靂の白光がダンジョンから戻ってきたとき、世界中のダンジョンのランクが上昇した。
その対策として、日本を初め世界中のダンジョンにどれほどの異変が起こっているのかの調査の依頼が出されてな。それについての話をしていたんだ。」
「確かに。霹靂の白光の白光の帰還と同時に起こった世界同時ダンジョンランク上昇事件。それによって、冒険者の死亡割合の上昇が見られたんだよね〜。」
「ああ。それで、その自体に危機感を感じた学園長が旧友である俺に頼ってきたというわけだ。」
「えぇ?学園長とラヴィスさんて知り合いだったんですか?」
ラヴィスをほぼ崇拝しているような雷華には自分の学校の学園長がラヴィスと旧友だったことへ驚いていた。
「まあな。あいつとはほぼ生まれてからの仲だからな。まあ、そんなことはどうでもいい。」
そう、話を突然終えたラヴィスは雷華の方へと近づき話を始めた。
「さて、鬼の少年。改めてだが自己紹介をお願いしてくれてもいいかな。」
「は、はい。俺の名前は、鬼灯 雷華です。」
翠たちは突然、自己紹介を求めたラヴィスに困惑していたが、ラヴィスの次の言葉にその場にいた全員が驚愕した。
「鬼灯…。そうか君は。君は、薊の息子かい?」
「はい。なんで父さんを?」
「君の剣術。父親に教えてもらったものだろう?彼に剣術を教えたのは俺だからな。さて、それを聞いて鬼灯雷華くん。君は、俺から稽古を受ける気はあるかい?」
そう突拍子もない事を言うラヴィスに、一瞬驚いたが間髪入れずに答えた。
「はい!」
「そうか。その目…。その覚悟を称して、もし君が俺に勝利することができたなら。そうだな、お前の職業と使う武器はなんだ?それと、お前はガンガン戦うタイプか?それとも、カウンタータイプか?」
「俺の職業は剣士で、使う武器は片手剣です。それと、雑魚敵でしたらガンガン行きますけど、ボスであればカウンターで仕留めますね。」
「そうか、片手剣か。ちょうどいいな。そうだな。俺に勝つ条件はお前が本気の俺に一撃を与えるか、武器を破壊することだ。それができれば、お前に俺の技を伝授してやろう。」
「技?」
翠と水樹はラヴィスの発言に疑問を持ち、それに気づいたラヴィスは疑問に答えた。
「そうだな。雷華は俺の言っていることの意味がわかっているみたいだが教えてやろう。そうだな、どこだったか。そこの受付嬢の君。ダンジョンのボスが何だったかな龍だったのだが。」
「ええっとですね。龍ですか…。ん?なんの特徴もない龍…。もしかして、それって〈天上の龍〉ですか?」
「あぁ。そうそうそれ。あれ倒すときって、カウンターで一撃で仕留めたんだ。」
「〈天上の龍〉を一撃でですか?」
「あぁ。その技を俺に勝つ事ができたのなら伝授してやろう。」
「ほんとですか?」
「あぁ。まあ、俺に勝つことが出来たのならだけどな。俺は2週間に一度この学校に出向く。そのときに稽古をつけよう。何日、何年、何十年かかっても構わない。俺に勝つという意思があるのならな。」
そうして、話を終えた雷華は修行へ、ラヴィスはこの学校を去った。




