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S級冒険者

ランク制度を聞いた渚沙には少し興味のある話題があった。


「ねぇねぇ翠ちゃん。さっきのSランクについてだけど、何人ぐらいいるの?」


気になったのはそこだ。Sランク到達に必要な条件は、単独S級ダンジョン制覇か人類に貢献するほどの結果が必要になる。


人類に貢献するほどの結果。すなわち、人類が滅亡の危機に至るということだ。そのような状況にこの世界が至るということは渚沙にとって想像がつかなかった。


「Sランクは現状7人いて、その7人をあわせて〈七絶〉って呼ばれてるだよ。まあ、ありきたりだけどね。」


「〈七絶〉かぁ…。なんかすっごいかっこいい呼び名なんだね。その7人にもなにか異名とかあるの?」


「それが、あるんだよ!ここからは俺が説明しよう。


まず、一人目が〈絶剱〉のラヴィス。本名はラヴィス・テライア。


単独S級ダンジョン制覇を数度行ったことによってSランク冒険者へと成った剣士だ。剣のみで数多の敵をなぎ倒す。同様に剣、遠距離である銃。魔法であっても全てことごとくを討ち果たす。そんなラヴィスを見て付けられた異名が剣鬼。そう呼ばれている。」


「絶剱!!かっこいい〜。剣だけですべてを討ち果たす。くぅ~。最高だね。」


「二人目が、〈絶弓〉のロミア。本名はロミア・アルテリア。


彼女は異例でな。単独でS級ダンジョンをクリアしたというわけではないんだが、昔1度S級ダンジョンに挑んだ最もS級に近かったパーティーが壊滅したことがあった。


その壊滅したパーティーを一人でダンジョンに潜りパーティー全員を死なせずに戻ってきたということがあった。そのダンジョンは、S級の中でも上位に位置し、弓だけでは到底生きて帰ることはできない。しかし、その女は弓一本で地上へと戻ってきた。その実績によりS級へと昇格した。」


「女の人とか関係なくすごいんだね。見習いたいな。」



「三人目は、〈絶空〉のゲルド。本名はゲルド・ロイ・エルダ。


こいつは人類貢献によってSランクへとなった。何度か起きている魔族との対立による戦争。その際、負傷兵の転移や兵の一斉転移による奇襲などを行い、何度か魔族との戦争を勝利へと導いた実績によりSランクへと昇格した。」


「戦争での実績か…。そういうことでもSランクになれるんだね。」


「四人目は、〈絶癒〉の美玲。本名は真澄 美玲。


彼女は普段は神殿。まあ、病院だな。そこで白魔導師として負傷者の治療を行っている。通常の白魔導師や僧侶は治療できて片腕の欠損までだ。


しかし、彼女は違う。死んでさえなければどうとでもなる。腕の欠損から始め、脳の破損や心臓の欠損までも回復することができる。その貢献度によりS級へと昇格した。」


「死んですらなければどうとでもなるって、チートすぎるでしょ。」


「まあ、流石に心臓や脳を復活させようとするとそれだけの労力が必要になるからな。万能って言うわけじゃないんだ。」


「五人目は、〈絶魔〉のルミ。本名はルミ・ペリオドラ。


彼女はS級冒険者の中で唯一の天災級へと上り詰めた魔術師だ。この世に存在するありとあらゆる魔術、禁術、死者の蘇生すらも可能にする魔術の頂へと達している。


この世に存在するダンジョンは、ランクE〜SSS+まである。


その中で、SS級のダンジョンを唯一単独制覇したのが彼女、ルミ・ペリオドラだ。SS級ダンジョンをクリアしようとすれば、S級冒険者数名とA級冒険者の中でも上澄みの者がパーティを組み、万全の状態であることが必要となる。


しかし、ルミはそんなダンジョンを単独で、しかも魔法職がクリアしたとなればS級に、いや天災級に上げざるを得ないだろう。そうして、S級でなお天災級へと昇格した。」


「その人すごすぎない?一人でS級ダンジョンをクリアするだけでもすごいのに、SS級を一人で?もう人間じゃないんじゃない?」


「まあ、そう思うよな。だが実際は、彼女のプライベートを知っている人間はほとんどいないんだよな。彼女のことでわかっているのは、あらゆる魔術を使えるということと、恐ろしく強いということだけなんだ。」


「そうなんだ。そんな人がいるなんて、関われそうにないなぁ〜。」


「六人目は、〈絶壁〉のヘリオス。本名はヘリオス・ミストレイ。


彼は人類貢献によってSランク冒険者へと成った。〈絶空〉のゲルドと同じ戦場で戦っていた。魔族の中では上位に位置する魔天と呼ばれる五体の魔族がいる。


それぞれは他の魔族と違い、魔力の質や量、力の強さなどすべてが桁違いの化け物だ。その化け物からの兵士に向けての攻撃をすべて受け、多くの人類を救った。その攻撃を受けてなお、ほとんど傷を負わずして生還した。」


「魔天なんているんだ…。魔族にもやっぱり強いやつはいるんだね。そんな敵からの攻撃をほぼ無傷で?その人もすごいんだね。」


「そして最後の七人目は、〈絶闇〉。」


「あれ?それだけ?」


「まあ、そうなんだよな。こいつだけは何も情報がないんだ。男か女かも、若いのか老いているのかもわかっていない。それどころか、どのような武器、技を使うかもわからないんだ。


ただ、その実績だけが広まっているんだ。〈絶闇〉というのは実績が評価された後につけられて、もともとは〈Execute〉と呼ばれていたんだ。市民に悪政を敷く貴族や王族などの暗殺、危険人物の抹殺などの仕事しか受け付けておらず、依頼をしたものでさえもその正体を知らないんだ。」


「何そのミステリアスな人。ほんとに誰も会ったことないの?」


「あぁ。〈絶闇〉が現れたのはだいたい10年前ぐらい前のことで結構最近なんだよな。突然冒険者学校と酒場や宿屋とかの人通りの多い場所に、依頼書が貼られていたんだ。


剥がしても次の日には元通りになって、1週間も経てば剥がそうと思う人はいなくなっていったんだ。」


「それでそれで?」


「その後、1ヶ月後に依頼をする人が現れたんだ。暗殺依頼だった。自分の親が貴族によって殺され、どう頑張っても自分では抗いようがない。そんな現実を前に藁にも縋る思いで依頼を出したみたいだ。依頼書の前に自分の全財産と手紙を置いて。」


「そう…なんだ。その依頼は達成されたの?」


「あぁ。依頼を出した次の日の号外でその貴族の死が伝えられた。そいsて、その依頼を出した人から次々と噂が広まり、次第に〈Execute〉と呼ばれるようになった。


〈Execute〉が依頼を受けるのはすべて、依頼対象が極悪人などの市民の生命を脅かすものだけだったことから冒険者学校とギルドとしては正義の執行人として称され現在はSランク冒険者と成った。」


「まぁ、貴族や王族にとっての悪でも、市民にとっては救世主だもんね。そりゃあSランク冒険者になるのも納得だね。」


Sランク冒険者にはそれぞれが信念、因縁。重い過去など様々なものを抱え、Sランク冒険者へと成っている。


Sランク冒険者について聞いた渚沙には1つ疑問が湧きいた。そして、その疑問を声へとするべきではなかった。


「ねえねえ、思ったんだけどさ」


「おう」


「”Sランク冒険者って誰が一番強いの?”」


そして、翠たちの口論が始まった。

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