初めてのボス戦
ダンジョンに潜って1時間。渚沙たちは〈東栄の都〉のボス部屋の1階層前の12階層まで進んだ。
「渚沙。次の階層がボス部屋だぞ。」
「ついにボス部屋!楽しみだなぁ。なんだっけ、ソードゴブリンだっけ。」
「そうだよ〜。さっきまでのゴブリンはEランクだけど、ソードゴブリンはDランクで弱くはないけど、油断だけはしちゃだめだよ〜。」
「うん!油断はしない。」
そんな会話を終え、ボス部屋の扉の前にたどり着いた。
ゴブリンやオーク、ドラゴンなどのモンスターの文様が扉に刻まれており、禍々しい様相をしていた。
「なんか、気持ち悪くない?この扉。」
「まあ、確かに初めてみれば気持ち悪いかもな。でも、ダンジョンに潜ってたら慣れるようになるから。」
渚沙のつばを飲む音がダンジョンに広がり、ゆっくりと扉を押し開けた。
ガラガラと土埃を落としながら扉が開き、扉の奥からソードゴブリンと数体のゴブリンが姿を現した。
「今回は初めてのボス戦だから、渚沙。お前はソードゴブリンに集中しろ。他の雑魚は俺らが相手してやるから、ソードゴブリンの胸借りてこい。」
「わかった。」
そう一言だけ放ち、ソードゴブリンへと向かった。
(うわっ。近くによったらすごい顔してるなぁ。いやでも頑張らなきゃ。)
ソードゴブリンの所持している大剣の間合いに入らないようにしながら初級魔術を放った。
「火球」
そうして火球をソードゴブリンの顔へめがけて放った。顔に直撃し砂埃が舞ったが、あまりダメージは無いようで逆に怒らせたようだ。
「グワァァァァァ。」
怒り心頭で大剣を振り回しながらこちらへと近づいてきた。空気を切り裂くような音とともに大剣が近づき当たる直前に、ダンジョンに潜る前に吐いていた靴に補助魔法を付けたエアブーツを使用し、自分の後ろに空気の塊を作り大剣にぶつからスレスレで避けた。
「あっぶない!この靴履いててよかったぁ。この相手なら空中で魔法を使用したほうがいいかもね。」
そうして、空中にいくつかの空気の塊を作り出し大剣の当たらない範囲に移動し初級上位魔術を使用した。
「炎槍」
炎槍をソードゴブリンの足に狙い打った。炎槍によるダメージは炎球よりも大幅に上昇する。しかし、足を燃やし切ることはできず骨が見えるだけだった。
「まじかぁ。これでもだめか…。じゃあ、詠唱すれば行けるかな?ねえ雷華く〜ん。10秒、10秒だけ敵の攻撃抑えてくれない?」
魔法使いが詠唱をする際は、近接戦闘職に攻撃を抑えてもらうのが定石だ。
「そうだな、今回は渚沙だけで倒してもらいたかったんだが…。まあ、今回だけだぞ。」
「ありがと〜。よし、それじゃあ詠唱始めようか。」
雷華がソードゴブリンの大剣を抑えたことを確認し、詠唱を始めた。
「敵を貫き一掃せよ。炎槍γ」
詠唱によって効果を貫通力に特化させた炎槍をソードゴブリンの心臓めがけて放ち、心臓を貫いた。
「よしっ。成功。」
「渚沙。よくやったな。〈東栄の都〉制覇完了だ。ソードゴブリンのいたところに宝箱があるだろ?お前が倒したんだからお前が開けていいぞ。」
「ありがと!何が出るかなぁ〜。」
宝箱を開けると、緑と青色のポーションが出てきた。
「ねえねえ雷華くん。これってあたり?」
「ああ、スタミナポーションとマジックポーションか。このダンジョンにしてはあたりの報酬だな。それに、魔法職の渚沙にちょうどいいし持っておくといいぞ。」
「わかった。初めての報酬。くぅ~たまらんねぇ。」
そうして、報酬とソードゴブリンを倒して得た素材を持って、ボス部屋の奥にある転移結晶で地上へと戻った。




