熱
今回、新しいことに挑戦したので見にくかったりしますがご了承ください
「意気揚々と小屋へと戻ってきたわけですけど、実際刀の作り方そこまでわからないんですよね。」
刀鍛冶に関係のあることをすれば、スキルレベルが上がることはわかっているが、作り方についてはまだ何もわかっていない。薫さんが何か残してくれていないかと探してみたが何も見つからなかった。
そういえば、白装束が見つかったときに鑑定なるスキルを取得していた気が。
そうとなれば、前は急げ。刀鍛冶に関係のありそうな道具に片っ端から鑑定することにした。
《魔力炉》
・魔力を込めることで、繊細な炎の温度や風を生み出すことができるこの世に2つとない貴重なもの。
《小槌》
・刀の成形をする際に使われる小槌。魔力を込めることで重さや硬さなどを変えることのできるすぐれもの。
《梃子皿》
・小さな玉鋼の塊を一つにまとめる際に使う皿。
《機械槌》
・魔力を使用して、巨大なハンマーを上下させ鋼を伸ばす際や、不純物を絞り出す際に使用する槌。
《切り鏨》
・鋼に切り目を入れ、折り返すために使う工具。
《魔力ヤスリ》
・魔力を込めることでヤスリを動かし、刀身を滑らかにする際に使用するヤスリ。
《火箸》
・トングのような形をした長いオリハルコン製のハサミ。1000℃以上に熱された玉鋼の塊を取り出すために使われる。
このくらいかな。この場にある道具は。道具の使い方はわかったけど、肝心な刀の作り方はわからないんだよな。
まあ、一度フィーリングでやってみようか。
◇
魔力炉が左、正面に金床、右側に水桶、後ろに機械槌という配置になるように座った。
魔力炉に魔力を込め、少しづつ温度を上昇させていった。
炭が少しづつ赤みを帯び、
パチッ、パチッ
と音を立てて燃え始めた。どのくらいの温度で刀を作るかというのは、わからないため最初に必要になる玉鋼を心金、皮鉄に分ける工程に十分に炭が赤みを帯びたら始めることにした。
火箸で玉鋼の塊を持ち、炉へと入れる。
炭の焦げる匂いと鉄の匂いが混ざったなんとも言えない空間で一人、玉鋼が十分に熱されるのを待っていた。
5分ほど経ち、玉鋼を取り出すとほんのりと赤みを帯び、しかしながら神々しい白い光を放っていた。
炉から玉鋼を取り出し、機械槌の上へと運んだ。
魔力を込め、槌が力強く振り下ろされる。
カンッ、カンッ
と小屋全体に鋼を打つ音が広がり、この世に自分しかいないのではないかと錯覚してしまう。
玉鋼が少し広がり、赤みが薄れて来たため、もう一度炉へと移動させた。
その工程を何度か繰り返しているうちに玉鋼の厚さが5mm程度まで薄くなった。
十分に薄くなったことを確認し、水桶へと入れ急激に冷やした。
すると、
ジュッ
と水が弾けたような音が広がった。
そのせんべい状になった玉鋼を小槌で叩き、炭素量の多いものと少ないものに分ける作業へと入った。
炭素量が多く割れやすいものが皮鉄用に使用され、炭素量の少ない割れにくいものを心金用に使用されるということを聞いたことがある。
せんべい状の玉鋼を割り、心金と皮鉄用に分けたが、量が少し足りないだろう。そう思い、最初の工程をもう一度始めた。
最初の5倍ほどの量を用意することのできるようになるまでに要した時間は約4時間ほど。
これほどまでの時間をかけていることを知らなかったことと、自分がその時間を思考に一切の曇がない状態でいられたことに驚きが隠せなかった。
体は慣れない作業に疲れた様子を示していて、いつもの私なら明日やればいいだろうと考えただろうが、今日の私は違った。
「ここでやめれば、この状態を維持することはおろか、更に良い状態へとなるのは無理だろう。」
そう思い、2つ目の工程。玉鋼の折り返し作業へと移行した。




