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第6話:新たな仲間

「やっぱ前衛はもう一人いるよねー……」

 レイネの言葉にアイリスも僕もうなずく。そこに疑いの余地はなかった。


「まあマジシャンよりは見つけやすいと思うけど……どう? アイリス?」

「どう? って?」

「あなたを守るのは私一人で~とか言わない?」

「もうっ!」

 アイリスが軽くレイネの頭をこつんと叩く。


「……もしそれで怪我でもしようものなら、私は私を許せませんわ」

「ひゅー!」

「こらっ!」

 今度は2回叩いた。

「ごめんごめんごめん! 痛いって!」


「んで、次のスカウトはファイター?」

「うん、そうなるね」

「シンプルだけど強いもんね」

 レイネの提案は正しい。




 そして僕らは冒険者が集う広場に向かった。

 相変わらず多くの冒険者はパーティーを組んでいるが、少なからぬ人数の、勧誘を待っているあるいは売り込みをしている冒険者が見受けられる。


「見たところ、フリーのファイターは3人ぐらいかな?」

「ですが……」

「うん……」

 長剣を構えたフリーの冒険者が3人視界に見つかった。剣の刃先もよく磨かれている。……でも。


「持ち手がほつれてる……。あれはちょっと」

「同感です……」


 おそらく『見せるため』に磨いた武器だろう。ファイターはマジシャンと違って魔法の才能は必要ない。

 アイリスが言ったように、なんだったら僕だって真似事はできる。もちろん真似事なんかで戦えば、瞬く間に命を落とすだろうけど。


「……もう少し探してみよう。いい人がいるかもしれない」

 僕たちは広場に入り、もっと近くで将来の仲間を観察することにした。




 近くで観察してみると、やはりそれぞれに色んな武器を持っている。王道のロングソード、突く切る刺すの万能武器ハルバード、お金がないのか木の棍棒を握りしめている冒険者……らしき人もいる。


 そんな中で見慣れない武器を携えている子を見つけた。

「あの子の持っている武器は何だろう?」

 中途半端な長さの棒に鎖が付いていて、鎖の先にトゲトゲの重りが付いている。


「フレイルですね、扱いの難しい武器です」

「詳しいんだね」

「……私の弱点ですから。フレイルの軌道は盾を迂回します。自らの弱点を知らぬ者は冒険で生きていけません」


「なるほど……。じゃあ、あの子をスカウトしよう」

「えっ?」

「だって、敵にすると恐ろしいっていうことなら、味方にすれば頼もしいってことでしょ?」

「フレイルにもまた、明白な弱点があります。フレイルの持ち手は結局ただの棒きれ。刃を受けることができません」


「そっかぁ……。でもさ。そこはアイリスと僕が補える部分じゃない?」

 アイリスの目が大きく開く。

「……本当にあなたはいい目をしていますね」

 善は急げだ。僕たちはさっそくその子のもとへ向かった。




「そこのフレイルの冒険者さん、ちょっと話があるんだけど」

「おっ? フレイル知ってるんだ! 物知りだねー! なになに?」

 とりあえず警戒はされてないみたいだ。フレイルのことを聞いておいてよかった。


「パーティーを探してるところだったりする?」

「うん、そうそう。誰かファイター探してるパーティー知らない? ファイターって結構余りがちなんだよねー……」

 都合よく彼女はフリーのようだ。


「心当たりがあるよ」

「おおっ! 教えて教えてっ」

「僕のパーティーが、君をスカウトしたいんだ。名前を教えてくれないかな?」

「えええぇっ!?」

 彼女が驚きの声をあげる。


「本当にうちでいいの?」

「うん、君がいいんだ」

「わー、うれしい事いってくれるじゃない! でも参加させてもらう前に一個だけ聞かせて? どうしてうちを選んだの?」

 向けてくれる笑顔の奥に、はっきりと真剣さが見て取れる。

 間違いない。この子のフレイルは『見せるため』の武器じゃない。こちらを『見ている』ものだ。


 僕が答える代わりに、アイリスがすっと大盾を構える。

 少女の顔が驚きに変わり、納得に変わり、笑顔に変わる。

「そっかそっかぁ! うん、よろしく! うちはステラ! いいパーティーになりそうだね!」


「お礼はこの方に言ってくださいな」

「およ?」

「この人が、あなたの才能を見抜いたんですよ」

「え? この人武器持ってないよ? 格闘家?」

 ……格闘家に間違われるとは思わなかった。武器を持たない前衛ってのはそれぐらいしかないんだろうけど。


「僕はヒーラーだよ」

「えっ!? 前衛じゃないじゃん! なのに分かったの!?」

「いや、僕は……」

「はい。この人の目は確か」

 アイリスに教えてもらっただけ、と言おうとしたところを遮られた。


「……だから、あなたの腕前も確か。そうでしょう?」

 ステラがにまっと笑う。

「えへへぇ。うれしい事言ってくれるね! お兄さん、バックアップよろしくね!」


 ……ちょっと勘違いしてるところもある気がするけど。

「うん、全力でバックアップするから、後ろは任せて」

 頼られるのは嬉しい。だからこそ、この言葉は嘘にしたくない。


 こうして僕たちのパーティーは前衛2人、後衛2人の4人になった。


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