第12話:守る者たち
その日の依頼は、『峡谷での魔物大量発生の掃討』だった。
「ええっと、ゴブリン、オークが中心。ダークイーグルもいるね。全部で100体ぐらい?」
「多分それぐらいだね」
オークは単体でも強めのモンスターだが、それがゴブリンなどの様々なモンスターと合わせてざっと100体。ここで食い止めないと大きな被害が出るだろう。
「では、ここできっちりと仕留めましょうか。……ふふ。私もずいぶん楽観的になった気がします」
「あんなに強そうなのが、あんなに沢山なのに……大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫大丈夫、うちらなら勝てるって! じゃ、行ってくるね!」
ステラが軽快なステップでひとり走り出した。
……そして今、僕たちがいるのは狭い袋小路だ。
先頭にアイリスとステラ。中衛が僕とレイネ。最後尾のフルールはおびえた様子だ。
「も、もうこれ以上逃げられませんよ!?」
「じゃあ、戦闘を開始しましょうか」
「おっけー!!」
アイリスとステラが得物を構える。
「グガアアッ!!」
まず最初にやってきたのはオークだ。その怪力でまっすぐに棍棒を振り下ろしてくる。
ガキインッ!
その力任せの攻撃を、アイリスが盾で受け止める。
「隙ありぃっ!」
ステラのフレイルが動きが止まったオークを捕らえる。オークはそのまま動かなくなった。
「ヒール! 後続はゴブリン2体!」
衝撃を受けたアイリスのダメージを癒しながら戦況を伝える。
「じゃあ各個撃破で!」
「あいあいまむ!」
アイリスのメイスとステラのフレイルが同時に敵を撃破する。
「上ダークイーグル3匹! 前方オーク1体!」
「なーによー、あたしより見えてんじゃんっ」
レイネの矢が的確にダークイーグルを撃墜する。
袋小路は僕らの戦場だ。相手は数の暴力に訴えることができない。
僕らは何でもできるわけじゃない。でも、この場所を。仲間を守り抜くことはできる。
「下がって!!」
その一言でみんなが一か所に……フルールの近くに集まる。
そして……フルールの極大魔法が、花火となって敵を焼き尽くす。
「できましたぁ!できましたぁ!」
フルールが大喜びの笑顔を咲かせる。
「でしょ? 出来ちゃうんだよ、うちらなら!」
ステラも笑いを隠そうともしない。
「いやー、アンタの目ってホントすごいわよね……悔しくなっちゃう」
そう言って笑うレイネは、全然悔しそうには見えなかった。
「ふふっ……。今日も無事に、誰も倒れることなく、依頼完遂ですね」
アイリスがいつもと変わらない笑顔を浮かべる。
彼らは世界を救わない。――救えない。だが、確かに彼らは「誰かを」守っている。
これにて本編完結となります。ご愛読ありがとうございました。
ノクターンノベルズにて、同じ作者名で連載中。




