07おてがみ
「今日ね、お手紙の授業があったの」
魔法学園から帰宅したミアがチョコレートをほおばりながら言った。
そこにホットココアを二つ手にしたアリカが片方をミアにやり、隣に腰を下ろす。
「あら、誰にお手紙を書いたの?」
「シアちゃんでしょ、あとジモラちゃん」
「きっとミアちゃんのことだから優しい心温かくなるようなお手紙を書いたんでしょう。二人とも喜んでくれたでしょう」
「うん。嬉しいって言ってくれた。あとね、二人もミアにお手紙書いてくれた」
「二人からももらえたなんて良かったわね」
「よかった。また遊ぼうねとか書いてあった」
「うふふ、じゃぁまたたくさん遊ばないとね」
「うん。あのね、ママとパパにもお手紙書きたかったから先生に紙もらってきた」
さっそく手紙をつづろうと、ミアはリュックから便せんを取り出すとペンを握る。
たどたどしい字ではあるが、ミアなりの精一杯の気持ちを筆先に込めた。
「えぇと、パパとママへ。ミアはアリカちゃんのおうちで元気にしています」
「ふふ」
「アリカちゃんに治癒魔法をいっぱい教えてもらいました。学校でも勉強しています」
「うんうん」
「学校ではシアちゃんとかジモラちゃんと一緒にごはんを食べたり遊んだりしています」
「ふふふ」
「あとは……あ、少し髪が伸びました。もっと伸ばしたいです」
「だいぶ伸びてきたものね」
ミアの頭をアリカの手のひらが撫でる。
アリカの家にきたときは肩に触れるほどだった髪の毛は今や肩甲骨あたりまで伸びている。
「うん。髪の毛がふわふわしているから、シアちゃんはよく髪に抱き着いてきます」
「ふふ、仲良しさんね」
「うん。あとは……あ、アリカちゃんがいつもパイを焼いてくれます。昨日はお隣のスヌープさんの野菜もいっぱい食べました」
「お野菜たくさんもらったものね」
「うん」
キッチンのほうを見ればいただいた野菜がバスケットから溢れている。
鍋には作り置きした野菜たっぷりのシチューもまだまだ残っている。
「ママとパパは元気ですか。ミアが治癒魔導士になったら、シープタウンでおおきな病院をたてたいです。それまで待っててね。ミアより」
「とっても素敵なお手紙ね」
便せんを折りたたみ、封筒に入れるとすぐにでも玄関に出るミア。
封筒を持ちながら空を眺めているとキャスケット帽子を深くかぶった大きなカラスが一羽、ミアの前に降り立った。
「郵便ですか」
とカラスが告げる。
「シープタウンのママとパパにお願いします」
「はいよ」
ミアから受け取った封筒をかばんにしまうとカラスは翼を大きく広げて空へと飛び立っていく。
「いつ届くかな?」
そんな疑問に後ろに立っていたアリカが答える。
「すぐにでも着くはずよ。今日はお天気もいいから、明日の朝までには届くんじゃないかしら」
「ママとパパよろこぶかな」
「もちろんよ」
「あ、あのね、アリカちゃんきて」
「?」
駆け足でリビングに戻ると、ミアはリュックから一通の封筒を取り出した。
「アリカちゃんにもお手紙かいた」
「まぁ!」
「読んで」
ミアから封筒を受け取るアリカ。
開いてみれば中にはミアからの優しくてあたたかな文章がつづられている。
「今読んでもいい?」
「うん」
「……大好きなアリカちゃんへ」
「やっぱり恥ずかしい」
両手で目を抑えるミア。そのほほはリンゴよりも赤く染まっていた。




