表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル0の無能悪役貴族のノブレスオブリージュ~転生したらチートもなく死亡フラグしかなかったので、知識チートで全てをへし折る!~  作者: 御峰。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/22

第14話 新しい執事候補

 あれから毎日州都アデリアのスラム街を回りながら、ドゥルグと同じやり取りを繰り返した。


 今ではアリスもニヤケながら俺達の茶番(・・)を見守っている。


 これで都内ほぼ全土のスラム街に住む民に仕事が行き渡ったはず。


 俺が考えた一番の税金の使い道はこれだ。


 税率85%をぐっと下げたら、そりゃシェイル商会やフルール鍛冶屋、ドゥルグ大工屋は出ていく金が減るから得をするだろう。


 だが、それでは民全員にお金が行き渡るかというと、難しい問題になる。


 仮にシェイル商会が稼ぎを利用して売り物をどんどん安くしたとして、それは民に届くのではなく、それを悪用する輩に買い占められたりする。


 だからいっそのこと、思いっきりお金を徴収してそれを逆に州事業で大勢の民を雇うって形を取ったのが、今回の大事業の狙いだ。


 もちろん、これで水路が完成すれば、よりやれることが増えるし、事業が終わってからも民達はそれぞれ安定した職を得られるというわけだ。


 というわけで、今日もスラム街を訪れた。


 今日もいつもと同じようにドゥルグが大声で人を雇っていたのだが――――ふと路地裏に座っている少年が気になった。


 暗い路地裏でも、小汚いはずの少年だが、何だかキラキラと光っているように思える。


 ちょっと気になったので少年に向かった。


「セシル様!?」


 セバスは無言で、アリスは慌てながら付いてきた。


 路地裏に入ると、やつれた金髪の少年は、力がないように俺を見上げてきた。


「お前、名は?」


「ぼ、ぼく……あ、あれん……」


「アレン……?」


 はて。どこかで聞いたことがあるような……? ないような……?


 異世界には魔法やレベルが存在する。


 普通の民にはあまり縁のない話だが、こと才能がある者は非常に優遇されている世界なのだ。


 あの一瞬見えたキラキラは、もしかしたら何らかの才能を秘めているのかもしれないと思ったんだけど……前世でやり込んだ“ホーリーソード”に“アレン”というキャラっていたっけ……?


 シェイル商会のヒスリルとか、ドゥルグとかはめちゃくちゃ活躍してたから名前は憶えているけど、アレンという名に聞き覚えはないな。


「アリス。彼にパンと水を与えなさい」


「は、はい!」


 水とパンを受け取ったアレンは、何日も食えていなかったのが、ものすごい勢いでかぶりついた。


 食べている間に、その可愛らしい目からは果てしない悲しみが伝わってくる。きっと涙を流す体力すら残っていないのだろうな。


「セバス」


「はっ」


「状況が変わった。悪いがこれからもう一つ、大掛かりにことをやってもらえないか」


「何でも仰ってください。この老体。必ずや叶えてみせましょう」


「本当……うちにはセバスがいてくれて助かったよ。今すぐ兵士団長のところに行って、動かせる自警団を総動員して食えていない子供達を確保しろ。寝床は一旦は無理だとしても食料と水を最優先に配れ」


「かしこまりました。ただ、そうなさいますと……慈善事業になってしまいますが、よろしいのですか?」


 慈善事業を行うことの何が悪い! って思うかもしれないけど、これが貴族の難しいところだ。


「それはダメだ。お父様の顔に泥を塗るわけにはいかない。そこで、自警団長に多額のボーナスを与え、彼に行わせろ。絶対に他の貴族に勘づかせるなよ」


「かしこまりました。では自警団にボーナスを与える程の功績(・・)を上げてもらえるようにしておきます」


「頼む」


「アリス。私は今からこの場を離れる。セシル様の護衛をしっかりするように」


「はいっ!」


 ん……? アリスって俺の護衛……なのか?


 セバスが安心するってことだし、気にすることなくひとまず走っていくセバスを見送る。


 うわぁ……セバスって仕事が早いなと思ってたけど、きっと高レベルなのか動きが全然見えない。というか、どんな才能を持っているんだか。


「セシル様。この少年はどうなさいますか?」


「ん? ん~」


 アレンと言ってたな。


「なあ。お前。うちで働く気はあるか?」


「!?」


 少年は目を見開いた。


 深い意味はないけど、一瞬目に留まったし、なんか……こう……可哀想な少年を見捨てるのもなっていうか、前世では一応いっぱしのおっさんだったわけだし、こういうやつれた少年を見るとどうしても可哀想って思えてしまうんだよな。性別関係なく。


「ぼ、ぼくなんかで……いいんですか……?」


「まあ、何か仕事はあるだろう。でも可能なら――――今後、セバスみたいなかっこいい執事になってくれたら嬉しいな。さあ、行こうか。アリス」


「はいっ! 貴方もこちらにいらっしゃい」


 これも何かの縁だと思っておこう。


 というか、うちはメイドは多いけど、執事は少ないんだよな。


 セバス一人に負担掛け過ぎるのもあれだから、今度は執事部隊を増やそうかな。


 それから屋敷に戻ってアリスが淹れてくれる紅茶を堪能する。


 アレンはというと、メイド達によって風呂に入れられ綺麗にしてから、ちゃんと面会するらしい。


 ちらっとテラスから都アデリアを見ると――――城壁の内側にそれにもどこか似てるような石の水道橋っぽい形がちらほら見えている。


 あれだけ毎日大勢の人を雇っているのに、ここまで進んでるって……実はドゥルグって凄まじい大工か……? いや、逆に考えるんだ。ゲーム時代に一人のNPCとして主人公の無茶ブリを何でも作ってくれる大工だった。


 そりゃ……鑑定士のヒスリルと並んで最強大工なのは言うまでもないかもな。


 やっぱりうちのセバスもだけど、ドルゲマイン州って実は人脈&資源チートな州かもしれないな。


 しばらくしてセバスが戻ってきた。


 まじかよ……もう戻ってくるのかよ……。


「セシル様。例の準備を進めますので、明日の朝に予定を組んでおります」


「明日の朝? セバスがやってくれるなら問題なさそうだし、わかった」


「それと、どうやら執事候補の少年を連れてこられたようですね?」


「アレンね。別に執事になれって感じではないけど、セバスから見て執事にできそうなら面倒見てくれると嬉しい。となると、執事にも部隊とか作っちゃおうか。セバスが執事長で、一人目の執事がアレンになるけど、アレンが落ち着いたから何人か増やせばセバスもやれることがもっと増えるだろうし、楽しいことも増えると思うから」


「セシル様がそう判断されたのなら」


「最近いろいろ頼んでセバスがいない時間の方が長いからね。代役を任せられるくらいの執事を増えれば、セバスも落ち着いてやりたい仕事に打ち込めそうだしな」


 ちょうどタイミングを同じくして、メイド達がやってきた。


「セシル様。アレンくんを連れて参りました」


 そんな彼女達の奥から現れたのは――――






 綺麗になったらめちゃくちゃ爽やか金髪のイケメンになったアレンは、まだ着慣れなさそうな燕尾服姿だ。






 お、おう……異世界でも綺麗な人やかっこいい人、可愛い人をたくさん見てきたけど、アレンはたぶんその中でもダントツって言ってもいいくらいだな。


 こんなに美形キャラ……“ホーリーソード”にいたはずなのに全然思い出せないんだが、もしかしてストーリーが始まる前に死んじゃうキャラとかか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ