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レベル0の無能悪役貴族のノブレスオブリージュ~転生したらチートもなく死亡フラグしかなかったので、知識チートで全てをへし折る!~  作者: 御峰。


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第15話 チートスキルはないけど、チート執事ならいる

 翌日の朝。


 俺はアリス、アレンと一緒に城壁にやってきた。


 セバスがここを待っていればことが進むってことでそれを待っている。


 さすがに茶を飲んでいる空気じゃないので、ちょっと周りの空気に圧倒されながらじっと待つ。


 その時だった。


 都アデリアの遥か先にある森の中から土埃が上がり始める。


 え……? 森の中から土埃ってどういう……?


 直後――――森の中から先に姿を見せたのは、まさかのセバスだった。


 めちゃくちゃ走るのが速い。


 その後ろから現れたのは――――めちゃくちゃデカい猪だ。


「ええええ!? デ、デカくね!?」


「セシル様。あれはアデリア森に定期的に出没する主魔獣のビッグホーンボアです」


「兵士団長!? あんなデカいのが来るけど大丈夫なの!?」


「なるほど。セシル様はこういうところに驚くのですね」


 いやいやいやいや、普通に考えてあんな怪獣がやってきたらびっくりするだろ!


 てか遠くではあるけど、前を走るセバスと比べると……ざっと10メートル級じゃね? そんな怪獣、地球にはいなかったよ? いや、(くじら)とかならいたかもしれないけど見た事もないから!


 どんどん近付いてくるに連れて、地鳴りが始まる。


 おいおいおいおい、まじかよ! 本当に大丈夫なんだよな!?


 兵士団長はまだしも、アリスも落ち着いているし、アレンに至っては目を輝かせて拳を握ってセバスを見ている。


 なんだこのカオスな状況はよ……。


 不安ではあるけど、アリスすら何も不安そうな表情一つしてないし、俺もじっと構えて見守るしかないか。


「構え‼」


 その時、下から大きな声が聞こえた。


 集まっていたのは、全員が黒い服が目立つ集団。


 彼らはシェイル護衛隊の衣装の色が反対になっている、自警団である。


「本日はセシル様が見守っておられる! ここまでのご恩、これからのご恩に報いるためにも手を抜かず一人も欠けることなく役目を果たせ!」


「「「「「「はっ!」」」」」」


 あ……れ? あの男……どこかで…………ええええ!? あれってザボイルじゃねぇ⁉ え!? 自警団のリーダーってザボイルがやってるの!?


 ザボイルというのは“ホーリーソード”で主人公が都アデリアを解放したあと、最初に戦うことになるレジスタンスグループのリーダーで、こいつがまた強くてレベル上げを余儀なくされるんだけど、勝つと味方になって治安維持を手伝ってくれるんだよな。まさかこんな早く……というかザボイルって都アデリア出身だったんだな。


 地鳴りと共にやってきた超巨大怪獣に向かってみんな走り出す。


 もはや人間のスピードだとは思えなくくらい素早い。


「うわっ!? セバス!?」


「只今戻りました」


 いつの間にセバスが後ろにいた。


 あれを放置したままでいいのか……?


 そんな俺の驚きとは裏腹に、戦いは意外にもすぐに決着がついた。


 飛び込んだ自警団達が攻撃して離脱を繰り返す。


 超巨大怪獣が暴れてもそれに巻き込まれないようにすでに訓練されていて、みんなの動きが俺が知っている“ホーリーソード”とはあまりにも違う。


 たった数十秒で何度も攻撃を受けた超巨大怪獣が大きく前足をもちあげる。


 そのタイミングでリーダーであるザボイルが大剣を構えた。


「――――『グランドスラム』!」


 体から淡い緑色の光が灯り、凄まじい赤いオーラが包み込んだ大剣を超巨大怪獣に叩き込んだ。


 バゴーン! と凄まじい轟音が周囲に響く。


 音が聞こえてから強風が俺達を通り過ぎる。


 ワ、ワオォ……異世界すげぇ……。


 ザボイルの強烈な一撃で超巨大怪獣がその場に倒れた。


 ドゴーンと地鳴りの音が響くと同時に歓声が響き渡る。


 ザボイルを自警団にしておくにはあまりにも豪華すぎるのではないのか……?


「セシル様。自警団のリーダーザボイルが州都アデリアを脅威から守りました」


「そ、そうだな」


 セバスに言われるがまま城壁に立つ。


 俺を見た自警団の面々が、その場で跪いた。


「こほん。ザボイルを始めとする自警団の皆の者。強力な魔獣を倒し、よくぞ都アデリアを守ってくれた!」


「ははっ!」


「功績に対してボーナスを支給する! 今後も自警団として民の命を最優先に治安を守ってくれ!」


「命に懸けましても必ずやセシル様の期待に応えてみせます!」


 い、命を……大事にね?


 さすがにこれは言えずに「うむ」と返した。


「よし。帰るか」


 相変わらずアレンはセバスにめちゃくちゃ興奮しているし、アリスは涼しげな表情のまま――――。


「アリス?」


「ふえ? あれ? もう終わりましたか~?」


 こいつ……! ずっと大したことなさそうにしていたのに、石化アリスになってただけだったのよかよぉおおおお! やっぱ超巨大怪獣って普通に怖いんじゃねぇかっ!


 はあ……もうあんな化け物とは対峙したくはないな。


 死亡フラグとかそういうの抜きにしても強力な魔獣に襲われる可能性もあるのか。


 ならば……そいつらから身を守るためにも、よりうちの戦力を整えなきゃ。


 ザボイルがリーダーになってくれてるだけでも心強いし、これからもどんどんお金を投資しておこうと思う。






 ……あれ?


 そもそもさ。これって……自演行為だよな?


 超巨大怪獣って主魔獣なんだろう?


 それをいとも簡単に連れてきて、無傷どころか……ずっと涼しい顔にいるセバスって……まじで有能すぎる執事なのでは……? てかチートすぎないか……?

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