1-19 七人のインタビュイー
「君に見てほしい動画がある」
映画宣伝用に編集された、関係者7人のインタビュー動画。
そこにはある秘密が隠されていた。
映画監督、出演者、原作者。
彼らは何を語り、何が隠されたのか。
匿名作家があなたに贈るミステリアスなブラックコメディ。
君に見てほしい動画が8本ある。『パンダゴリラと七つの弓矢』という近日公開予定のファンタジー映画の宣伝のために、個別で撮影したインタビュー映像を、僕が編集して1本にまとめた。インタビュイーは7人。
映画監督のジェニファー・テイラー。
本作が監督3本目の映画だ。
原作者のエリザベス・リー。
同名タイトルの小説で商業デビューした。
主人公トーマス役のオリバー・スミス。
人気ドラマの脇役として有名だ。映画の主演は今回が初めて。
主人公の相棒ジョン役のアッシャー・ブラウン。
モデル業と並行して俳優業にも力を入れ始めている。若い世代に人気のイケメンだ。
ヒロインのアイラ役、元天才子役のルナ・アンダーソン。
しばらく学業優先のために演技から離れていた。久しぶりの映画出演で注目されたよ。
ライバルのフレディ役、ロバート・ロドリゲス。
ミュージシャンとしても活躍中のロバートは、昔ジェニファーの初監督映画で主人公を演じた。今回もその縁で出演したみたいだ。
そしてヴィランのスーザン役を演じた大ベテラン俳優エマ・ムーア。
彼女については説明不要だよね。レッドカーペットの常連。映画界レジェンドの1人だ。
まずは既に公開されている動画を再生するから一緒に見よう。
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――最初に自己紹介をお願いします。
「監督のジェニファー・テイラーよ。初めてのファンタジー映画に挑戦できて楽しかったわ」
「原作者のエリザベス・リーです」
「やぁ、主人公トーマスを演じたオリバー・スミスだ。今日はよろしく」
「アッシャー・ブラウンだ。主人公の相棒ジョンを演じた」
「ルナ・アンダーソンよ。アイラを演じたわ。緊張していて、上手く話せるか自信が無いわ」
――大丈夫ですよ。リラックスしてください。
「フレディを演じたロバート・ロドリゲスだ。ホットなインタビューにしたいね」
「スーザン役のエマ・ムーアよ。さぁ、インタビューを始めましょう」
▽
――映画化が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
エリザベス「最高の気分でした! もしもパンダゴリラが映像化するなら、監督はジェニファー・テイラーがピッタリだと妄想していました」
ジェニファー「絶対に自分の手で映画にすると決めたのよ」
――出演が決まった時の気持ちは?
ルナ「驚きと困惑だったわ」
オリバー「映画の主演は今回が初めてだった。だからとても嬉しかったのと緊張したことを覚えているよ」
アッシャー「でも映画の出演は僕にとって貴重な経験になるし、主役はオリバーだと聞いて頑張ってみようと思った。以前僕がドラマのゲスト役で出演した時に、彼に色々とフォローしてもらったから、また一緒に演技ができるのは嬉しかった」
オリバー「とにかく脇役っぽくならないようにしようと心掛けた」
ロバート「自分が出演することで、俳優としての責任を果たすべきだと覚悟を決めた」
エマ「ロバートが私に相談に来たの。私は彼に協力しようと思ったわ」
ジェニファー「こうやって試写会でエリザベスや皆と一緒に映画を観られてとても幸せだわ」
▽
――作品やキャラクターについて考えを聞かせてください。
ジェニファー「主人公トーマスは人生の危機に直面するのよ。でも、昔のようにがむしゃらに頑張れず、暗い未来に苦悩しながら行動する」
オリバー「トーマスは僕ととても似ているみたいだ」
ジェニファー「対して相棒のジョンは夢と希望にあふれていて、自分に正直で素直に行動するの」
アッシャー「ジョンは一見気弱な青年に見える。でも実はとてもタフで責任感が強い」
ジェニファー「この対比が作品の魅力を高めているわ」
ルナ「アイラの真っすぐな気持ちが、主人公トーマスと相棒ジョンの心を動かした」
ロバート「原作者のこだわりを感じられる男だ。フレディは人気キャラクターみたいだね」
エマ「スーザンはかなりスパイシーで難しいキャラクターだったわ」
エリザベス「どのキャラクターも完璧な姿でスクリーンに映し出されていました。ジェニファーはいつ私の脳をスキャンしたのかしら?」
――それはとても素晴らしい驚きと感動でしょうね。
▽
――撮影時に印象に残っていることはありますか?
オリバー「パンダゴリラを退治するシーンだ」
エマ「パンダゴリラのヴィジュアルが衝撃だったわ」
エリザベス「宇宙に向かって人類が誇るべき奇跡です」
ルナ「『一瞬こそ真剣』と監督は言っていたわ」
ロバート「そうだね。ジェニファー率いる製作チームがとても多忙だったのが印象的だった」
アッシャー「とてもハードな撮影だった。これは自分を高めるための挑戦なのだと言い聞かせた」
ジェニファー「エマが撮影現場にケータリングを手配してくれたのよ。オリバーやロバートも軽食や休憩時に使うアイテムを用意してくれたことが何度もあったわ」
ロバート「僕も色々準備ができた。ジェニファーは初監督の頃と比べれば成長したと思うよ」
ジェニファー「全員が力を1つにしないといけない時は、彼女達の心配りが助けになったわ。スタッフもとても感謝していたみたい」
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――最後にこの動画の視聴者へ一言お願いします。
ジェニファー「『パンダゴリラと七つの弓矢』は間違いなく映画史に残る名作よ」
アッシャー「『パンダゴリラと七つの弓矢』は凄い映画だよ」
ルナ「『パンダゴリラと七つの弓矢』。私の俳優人生にこのタイトルが刻まれると思うと胸が熱くなるわ」
ロバート「僕もスタッフも出演者も全員とにかくやりきった」
ルナ「ええ、本当に、本当に」
エマ「役者一筋35年以上経っても、未知の体験は出来ると学んだわ」
オリバー「この映画を観たあなたはきっと強い感情に満たされるだろう。僕も同じだよ。心からのハグを送るよ」
エリザベス「本当に感動的な映画です。ぜひぜひ皆さんも劇場へ足を運び、この感動を味わってくださいね!」
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よくある宣伝用の動画だと思ったかい? でも、この動画にはある秘密が隠されている。答えは残り7本を見れば分かる。そう、個別のインタビュー映像だ。
タブーだと分かっているが、僕はこの7本をSNSに流して拡散させる。仕事も辞めた。もう耐えられない。世間が少しでも問題に気付いてくれたらと願うよ。
僕は今日、君にサヨナラを言いに来た。探すことは絶対にしないでほしい。泣かないで。落ち着いて。さぁ、次の動画を再生するから見てくれ。





