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エリミネアー世界の敵を排除するー  作者: AtoRei
第2章

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第3話「羨望」—醜き者の願い—



風を切り裂く音が、かすかに聞こえた。


「でへへっ……疾いな」


言葉と同時に、荷馬車の【エリミネア】は手にしていた塩漬けの肉塊を放り投げた。

肉塊がリュシアの動線上に落ちる。


三体の成体が同時に反応した。

鎖が鳴り、

肉が裂け、

抑え込まれていた飢餓が爆発する。


しかしリュシアは減速しない。

伸ばした腕を引き、遠心力で回避する。

成体の顎をかすめ、右側の成体の脇をすり抜け、荷馬車のすぐ横まで一気に詰める。


レイピアが一直線に突き出される——その直前で、止まった。


目の前に、異様に巨大な掌が現れた。

リュシアの身体の三分の一を覆うほどの分厚い掌に、レイピアが食い込む。


「でへへ……捕まえたぞぅ」


巨漢がにたりと笑った。


掌が閉じる寸前、リュシアは掌を蹴り上げて後退した。

距離を取る。


掌の中央が裂け、肉が盛り上がって瞬時に再生する。

荷馬車の【エリミネア】が地上にのたのたと降りてくる。


「……お前のせいで、痛ぇじゃねぇかよぉ!!」


巨漢が右腕を振り回す。

すり抜けていた右側の成体の頭部に、巨大な拳が正面から叩きつけられた。

肉片と骨片が灰と共に飛び散り、すぐに再生を始める。

成体の両腕はだらりと垂れていた。


——活動が停止している。


巨漢はすぐにリュシアへ視線を戻した。


「でへへ、すっきりした。……ところでよ、お前、『戦士』だろ?」


声音が変わる。

だらけた調子の奥に、はっきりとした興味が混じる。


「強さに応じてNo.が付けられてると聞いたが……お前、何番だ?」


リュシアは短く答えた。


「No.42 ——リュシア」


その返答に、巨躯の口元が大きく裂けた。


「……思ったより低いな。ふん、いいねぇ」


巨躯はだらしのない腹を掻きながら、羨望の眼差しをリュシアに向けた。


「人間ってのは、いいよなぁ……」


喉の奥で笑い声が転がる。


「おデも……欲しい」

「……なんの話?」


リュシアの声は冷たい。

会話の意思はない。


足がわずかに沈み、次の瞬間には踏み出していた。

最初に飛びかかってきた成体の懐へ滑り込み、レイピアで核を突く。

続いて襲いかかってくる成体の背後へ回り込み、逆手に構えたレイピアで、二体目を沈めた。


そのわずかな隙を、荷馬車の【エリミネア】は見逃さなかった。


「でへへ、いい動きだ!でもよ——」


巨躯は自分の巨大な角を引きちぎり、投げつけた。


角は頭部の再生が終わった成体を真っ二つに両断し、そのままリュシアの肩口を深く抉る。

血が噴き出した。

それでもリュシアの足は止まらない。灰を蹴る音すら残さず、巨漢の懐へ飛び込む。


「……《閃撃(せんげき)》」



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