第0話「プロローグ」
◆
――産まれた。
その認識は、遅れてやってきた。
最初にあったのは思考ではない。
意味でも、言葉でもない。
ただ――
裂ける音だった。
ぐちり、と。
内側から外側へ、何かが押し広げられる。
肉が裂ける。
筋がほどける。
骨が軋む。
熱い。
冷たい。
そのどちらでもない何かが、全身を満たしていく。
――痛い。
その概念を理解する前に、ただ“それ”だけが存在していた。
引き裂かれ、崩れ、また繋がる。
繋がった瞬間に、再び裂ける。
延々と続く苦痛。
「――あ」
音にならない声が、喉の奥で潰れる。
その時、別の感覚が流れ込んだ。
――飢え。
内側にある空洞が、形を持って叫び出す。
満たせ、と。
喰え、と。
理由はない。
だが、理解している。
そうしなければ、この痛みは続く。
視界が歪む。
複数に分裂し、焦点が定まらない。
それでも、見える。
そこにある。
温かいもの。
崩れていないもの。
形を保った“生”。
胸の奥が、軋む。
なぜ。
なぜ、それは壊れていない。
なぜ、それは痛くない。
なぜ、それは――生きている。
「――――ッ」
身体が跳ねた。
どう動いたのか分からない。
ただ距離が消える。
噛みつく。
肉が裂ける。
温かい液体が流れ込む。
その瞬間、崩壊が止まる。
ほんの僅かに。
「……あ……」
静寂が訪れる。
痛みが、引く。
完全ではない。
だが、耐えられる痛みに変わった。
形が戻る。
輪郭が定まる。
理解する。
こんなものは、“生”ではない。
――罰だ。
終われないまま、続けさせられる存在。
「……なぜ」
問いは意味を持たない。
答えはすでに刻まれている。
選ばれなかったもの。
残らなかったもの。
消え損ねたもの。
それらが、ここにある。
胸の奥で、何かが燃える。
羨望。
妬み。
憎しみ。
ぐちゃぐちゃに混ざり合い、形を成す。
「……欲しい」
それだけだった。
崩れない身体。
痛くない存在。
完成された形。
「ああ……」
喉が歪む。
「……いいなぁ」
その言葉だけが、はっきりと残った。
◆
こんばんわ、アトレイです。
更新遅くなりました!
大変!失礼致しました!!
いやぁ、、、
新年度って忙しいですよね、やる事わんさか。
ちょこちょこ毎日書いてはいたんですが、、、
言い訳終了。
もうちょっとだけ更新頻度が低い時期が続きますが、
ある程度書き溜められたので、ぼちぼち更新します。
新章スタートです。
よろしくおねがいします!!
でわでわ。




