第四話 初陣戦
本日はこの小説をご観覧いただきありがとうございます。
現在この小説の北海道編に当たる部分の、再構成俗にいうリメイクというものを、やっております。
僕達が忍野村という小さな囲いに閉じこもってから約一か月が経った、その間良いか悪いかはわからないがあのバケモノ達が襲撃してくることはなかった。良い面だけ見ればそれだけで終わる話、しかし悪い面も当然出てくるそれは僕達守護者の存在、皆が地球からの支援とやらで物資が最低限あるとはいえこの地域を守れるもの達を優先した賀水の唯一の失敗とも言っていいかもしれない、忍野村に住む住人達からも、そして僕達に助けられたはずの人間達からも不満が上がり始めた。
そんな中、僕達は相も変わらず模擬戦という訓練をしている。そもそもバケモノと戦うのに人相手に訓練をして意味があるのは不明だがそもそも戦う相手もいなければ、やる事も無いので最低限体は鈍らないようにしておかなくてはという僕からの提案を扇も快く承諾してくれた。
その間休日も訓練に当て大体500戦程したが結果は僕の500勝無敗、彼が勝つことは無く僕が負ける事もなかった、彼が最初戦った時から全く成長していない訳ではない。近距離戦弱点は克服しているし、能力の使い方も大分容量よく使えるようになってきた、だが当たり前の事だが彼が強くなると言う事は僕も強くなれると言う事、彼が新しい戦術をお披露目したのであれば僕もそれを掻い潜るべく策を弄す。そんな事をして一か月訓練をしていたある日の昼型だった。
「相変わらず扇は、僕に勝てないねー」
笑いながら僕は彼に一言浴びせる。
「うるせぇ、今回は行けると思ったのにそっちの変態飛行がどうしても読めねーんだ」
彼も言い訳をするがそれは違う、彼の文句もごもっともではある確かに今の模擬戦であれば僕は空を縦横無尽に移動して彼に一発を入れたがそもそも空を飛ばないハンデを付けても彼はまだ僕に勝っていない。
「そんなこと言ったって無駄だよ、君は僕には勝てないのさ」
「なんでだよ?」
なんで?彼はそれもわかっていないのか。
「いいかい?」
そういい僕は地面に彼の軍配を使って絵を描き始める。まず簡易的に僕の絵をかいてその更に後方に彼の絵を描く。
「君が成長してないとは言わない、近距離戦の視線を覆って防御しようとする癖もなくなっているし、その地水火風を操る妙技も上手く使えているよ」
「だったら、なんでお前に追いつかないんだよ」
彼が成長した事を示すように僕に近づく線を引く、最初の僕を追い越すように。
「君が今居る位置はここ、そして」
僕の線を彼から更に遠くへ行くように離す。
「今の僕がこの辺だ、言っている意味がわかるね?」
「俺がいくら成長してもそれを追い越すようにお前も成長するからお前に追いつくことは不可能ってか?」
違う、違うよ扇。そう思い僕は思い切りため息を吐く彼にもしっかりわかるように落胆しているように見せて。
「なんだよ、違うってのか?」
「違うよ、言っている事は正しいその通りではあるんだ、君が成長しても僕も成長するから君は僕には追いつけない」
じゃあ何故追いつけないんだと思う?と彼に問いただす。
「それはお前のその身長と違って、戦闘の成長速度が俺を圧倒的に凌駕しているから?」
彼の首を掠め取るように僕は光の刃を形成させたまま、動かずに話を続ける。
「違うよ扇、なんで君が僕に追いつかないかはとても簡単な話だよ。なぜかと言うと君と僕の相性がそもそも僕が圧倒的に有利なんだよ、空を飛べるアドバンテージというモノがある、そう言う事だわかったかい?」
僕の持てる最高の笑顔を彼に見せる、何故だか彼は酷く動揺しながら首を何とか縦に振り理解を示している、それならば口で発せばいいものを。光の刃を消滅させ彼に座ったままの彼に手を貸す。
「じゃあその空中戦をどうにかできれば、俺にも勝機はあるって事か?」
「いやないね」
「なんでだよ、今の話はそういう話じゃなかったのか?」
一々反応が大きいな彼は、昔テレビで見た芸人さんみたいだ、彼なら向いているかもしれない、他人の逆鱗を意図も容易く触れるなんて普通の人間にはできないだろうから。
「理由は二つ、一つそもそもこの模擬戦の力関係は対して意味が無い、僕達は同族と戦うのではなくあくまで戦うべきは世界を襲ってきたバケモノだから、二つ目は単純だね君に勝たせるつもりは毛頭ないから」
確かに彼も空中戦ができるようになれば大分戦闘の幅は増えるであろうが、そもそも校庭だからできていないだけで彼もその気になればこの学校等ひとっ飛びで越えられるだろうし彼の実力が全力で発揮出来る場所であればまた状況は変わってくるであろう。ようは彼は範囲攻撃に長けていて、僕は一対一の戦いに長けていると言うだけの話だ。それでも彼の全力が発揮できる場面でも負けてやるつもりは無いけど。
「そのバケモノって偶に話しているけどなんなんだ?俺は戦ったことないんだけど」
「そうだったのかい?この状態になるものは戦う為に力を与えられるものだと思っていたがそうでもないのか」
確かに彼はあの少女達を助ける為に天成と言う力を手に入れ能力もそれ準じて、埋もれていたという状況下ではこれ以上能力を手に入れた、人それぞれと言う事なのか?それとも危機的状況になれば天成と言う行為が行えるようになるのか、いやしかしそれはないなそんな危機的状況に陥るだけで手に入る力であれば誰でもこの天成と言う力を持っているだろうし。
そんな事を考えていると安らぎの声がこちらに響いてくる。
「令華先輩―、扇くーん」
なぜ彼は先輩ではなく、君と呼ばれているのか小一時間程度問い詰めたい所だが、彼女の必死の形相を見た瞬間そんな考えは消え去る。
「どうしたの、心美ちゃんそんなに慌てて?」
「その男に同意するのはあれだが、心美君らしくもないぞ?まるであの時の昼のよう…に?」
その瞬間であった結界の一か所にヒビが入り始め亀裂ができたのは。
令華先輩と扇君を送り出してから、胸騒ぎが止まらない。何かに気を付けろ、何かを安全な場所へそれだけをずっと耳元で囁かれているような気がして身の毛がよだつ。
この胸騒ぎには少しだけ覚えがある、あの日世界が変わってしまった日その日までずっと感じていたモノだったから、でも地球の言葉ではここだけは安全だと言っていたであれば何故?この胸騒ぎが収まらないのだろう?答えを得るのに時間は必要なかった、結界内で恐らく亀裂が発生する事はない、だから地球もここだけは安全と言っていた。だがこの結界の外からこの結界をうち破らんとし常に攻撃されていたらこの結界は持つのだろうか?疑念が不安の種へと変わる、間違いないと確信に近い何かも感じる間違いなく私達のこの場を乱さんとする何かがいや、あの時令華先輩が戦ったと言っていたバケモノ達が必ずこの場に攻めてこようとしていると。そう考えると家で立ち止まっている訳にも行かなかった。すぐ外着に着替え先輩方が訓練している役場隣のグラウンドへ向かう。
走る、走る、普段決して運動をしているとは言えない私だが、息が切れて心臓が張り裂けそうな感覚に陥っても走るのを辞める事はできなかった。この確信が実は考えすぎで本当はこの結界内にも結界外にも異常はないとそう思いたかったが、胸騒ぎは加速しなぜか体が少し痛い、まるで小さい石が風で自分の元に飛んできているように。
彼が居るグラウンドに着く、大慌て彼らの名前を呼ぶがその時だった体に激痛が走り転んでしまう。しかし彼らは私の方には目もくれず遠い遠い結界を見ているそこには、完全に亀裂ができてしまった結界があった。
一か月前に見た亀裂がそこにはあった、まだ忍野が言っていたバケモノというモノがなんなのかはわからないが一先ずやるべき事は。
「心美ちゃん大丈夫?」
彼女の心配だ、彼女は地球の声を聞ける存在、彼女がこの状況になる事を予期して俺達に伝えにきてくれたのだろう。それならばこんなにも息を切らしているのも納得できる。
「すみません大丈夫です、それより亀裂に向かって頂けますか?」
「わかった心美ちゃんはどうするの?」
彼女は少し考えて暗い顔をするが強い眼差しでこちら見てこういう。
「こんな事は言いたくありませんが、最悪の事態を想定して動きます」
最悪の事態つまりは俺達がなすすべ無くバケモノとやらに負ける未来を想定して動くという事、しかしそれは正しい判断だ。
「もういいかい?心美君、それに扇」
忍野が会話に入り混んでくる、普段であれば一番に心美ちゃんに話しかけるはずなのに今の彼女は少し苛ついているように見える。
「すいません、では頑張ってくださいね」
「わかった」「ああ」
すると忍野は俺の両脇を掴み何も言わず空へと飛び立つ。
「飛ぶなら飛ぶと言ってくれ、舌を噛んだらどうするんだ」
「そうかい?なら歩いていくかい?」
コイツは何をこんなに苛ついているんだろうか?心美ちゃんと俺が仲良くなったのがそれ程不満なのだろうか?しかし今はそんな事を考えている訳には行かない。恐らくあの亀裂を越えると壊れに壊れた山梨の姿と忍野の言っていたバケモノがいるのであろうと意識し結界の外、亀裂の中に入った。
「ここは?」
「さぁ僕も初めてだ、そしてアイツらも僕が見るのは初めてだな」
指を差した先に居るのは大量の人?の様に見える存在と自分の身長すら有に超えそうなリスと蝙蝠の軍勢と奥に佇むは頭だけを出した巨大なモグラ。
それよりもこの場所はなんだろうか?満天の星空どこが地面なのかもわからない所に今俺は立っている。
「忍野、この景色もお前は知っているのか?」
「さぁ、僕が知っているのは君のバカでかいのっぽを越えるリスだけだ、この景色もあの蝙蝠もモグラもそしてあの趣味の悪い人の様な何かも見た事はないね」
彼女もこの光景をみるのは初めてらしいがそれを言う前に彼女は続ける。
「体の周りに輪っかが付いている奴には気を付けろ自爆効果持ちだ、そして地面に居る大量の人は君に任せる、僕は空中に居る奴を叩くそれでいいね?」
「わ、わかった」
了承すると彼女は飛び立ち蝙蝠の大群へと突っ込み切り刻んで行く。自分も負けていられない。
ここでも能力を使えるかはわからないが、人の形をした奴らの大群に向かって火の壁を作りそこで立ち往生させようと試みるがそんなものは知ったこっちゃないと言わんばかりに、アイツらは火の壁を突き破り体中が燃えてもなお気にせず走り続ける、まるで自分達は犠牲になっても後続へのバトンの様にコイツらは進み続ける。ので強力な竜巻を発生させリスも蝙蝠も人型も全て巻き込みそしてその竜巻を火へと変化させ巨大な火柱を作る。すると人型はある程度消滅していくがリスや蝙蝠はまだ生き残っているらしいがそれも忍野が全て地上に落ちてくる前に切り刻み全てが爆発もしくは消滅し残るは巨大なモグラだけとなった。
何故だか無性にイライラする、なぜだろう?彼女を目の前にして僕は基本完全無欠を志していたはずだ、なのに何故か彼女の言動に対してイライラが止まらない自分の事がよくわからないのは初めての経験だが、今はそんな事言っている場合ではない。目の前に居るバケモノども殲滅するそれが今の僕の役目だから。
扇に指示を出し自分は空に居るバケモノ共を相手をする蝙蝠の様な外見をしているが本質は全く違う骨格や、特徴を理解せずに幼稚園児が書いた見た目をしているがだからと言って、蝙蝠の特性が無いかと考えるかと言えばそれはやっては行けないまずは観察だ。
一体斬りおとすとコイツらは初めて僕を敵と認定したのか一斉にこちらへ攻撃を仕掛けてくるがもう理解はできた、コイツらは一斉にかかってくるしか脳の無いモノたちらしいならば僕は回避を優先して斬りおとすだけの事だ、ふと彼の様子が気になり下を見ると火の壁を作ったりして足止めをしようと試みているらしい、いいぞそのまま考え続けろそして自分だけの戦い方を見つけ出せ。
「もう少しで終わりかな?」
そういった瞬間近くで巨大な竜巻が発生し次々と敵を飲み込み最後には巨大な火柱となった、ああすれば敵を一網打尽にできるしかし、模擬戦で使ったら最後辺り一帯が更地と化す事から彼は力をセーブして戦わなくてはならなかったのだ。
彼の火柱からなんとか生還したものを地面に落ちる前に切り刻み後ろに居る巨大なモグラ以外の殲滅が完了し、彼の近くへと降りる。
「やれば、できるじゃないか扇」
「なんだその上から目線…」
上から目線?実際に僕の方が上に居るのだし当たり前の事だろうに、何を言っているんだ彼は?そんな事より確認しないといけない事がある。
「そんな事はどうでもいい、モグラ対処について案がある」
「まだ動き出してないけど?そんな案必要?」
「まぁまずは話を聞け、僕が近づいてもしアイツが動き始めたらアイツの周りを火で囲んで欲しいもしモグラなら地面に潜るだろ?」
「っていってもこの地面?って潜れるのか?さっきの竜巻でも地面に傷一つは言ってないんだぞ?」
そんな事を言われたってなぁどう説明したものか…。あっとそういえば丁度良く説明できる対象が居た、自分でも目を疑った光景を僕は既に目撃している。
「君は空を歩くイタチを見た事があるかい?」
「そりゃそんなものは見た事無いけど…」
「僕はある、あの日にだ」
そんなものが実際にあったんだ納得してくれるだろう。
「なんて言いたいかは分かったけどわざと潜らせてどうするんだ?」
「簡単さ、君の立っている足場以外燃やし尽くせば君の足場以外からは出てこれないだろう?」
「確かにぃ、ってなる訳ないだろ!それじゃあ俺死んじゃうじゃねーか」
大丈夫だ、大丈夫君が信じている以上にこの体は自由に動けるのだ。もし本当にやられそうになったとしても僕が助けるさ、口には出さないがね。
「僕を信じて周りを火の海にしたら全力で上に飛べ、それで回避できる。君を倒そうと上がってきた奴を僕と君で上と下で挟み撃ちにする。これは君が僕を信用しているかで成功するか否かが決まる無理なら違う作戦を考える、さぁどうする?」
「一つだけ聞かせてくれ」
「なんだい?」
「勝算はあるんだな?」
「勿論だとも」
なければ提案もしないし、君がそれを成しえるスペックを持っていなかったら僕も提案はしない、君と一か月戦い続けてできると信じているから僕は君に提案したんだから。
「じゃあ詰めるよ、あとは君次第だ、頼んだよ」
そういい僕は敵との距離を詰める、すると予想通りモグラは動き始めるがそれと同時に彼がモグラの周りに火の壁を作りモグラは予想通り地面に潜った。
大きく息を吸い彼にしっかり届くように大きな声を出す。
「潜ったぞ!」
その声と同時に彼が辺り一面を焼野原にして自分の足元だけ火を付けず高く飛ぶ。
すると案の定と言うべきか、それとも一人持っていけるチャンスだと思ったのかモグラは這い出てきて彼をその立派な爪で八つ裂きにするが如く前脚を伸ばす。だが僕はそのタイミングを待っていた奴の前脚を斬り落とし声を掛ける。
「最後は君の番だ扇!」
こういっちゃなんだが忍野を信じ切れていなかった、コイツは自分で倒して俺を捨て駒にするんじゃないかと本当に思っていた、しかし次の行動を見てそれは勘違いだと気づく、彼女は本当に勝つための最善手を打とうとしていただけだったんだ。飛び上がってきて俺に攻撃を仕向けるのはわかっていたから、だからこそアイツの足を斬り落とせるとわかっていたからこの作戦を提案した。
俺の前には足が無くなり潜る事も出来なくなったモグラただ一匹、軍配を水で覆い刀の様な形状にする水でも圧縮すれば強大な強度を誇るはずならばコイツの事も斬れるはずだ。
「いっけぇえぇぇぇぇ!」
そう叫びながら軍配を振り下ろすとモグラは真っ二つになり消滅し、今の今まで居たはずの満天の星空は消え、そこには焦土と化した山梨県全体が見えた。
しかし山梨全体が見えたってことはつまり自分は高所に居てしかも現在進行形で落ちていることがすぐに理解できた。
「いやあああああ、落ちるううううう」
「やかましい、すぐに戻るよ!」
空中で忍野に掴まれ結界の方へと戻っていく、よく見ると結界が自動的に修復を初め今にも閉じそうだったが、ギリギリの所でなんとか結界内部に戻る事ができ、俺達を迎えたのは大きな歓声だった。
彼らが亀裂内部に入ったと同時に、私は賀水さんのいる役場へ行く亀裂が出来た事と同時に役場内部も慌ただしくなっており、しかし賀水さんのいる部屋の方には誰も来ておらずすぐに辿り着けたのだった。
「失礼します」
返事を待たずに入室すると黙って座っている賀水さんが居て、私が入ってくるなり私に駆け寄り問いかけてくる。
「富士様、地球はどう仰っていますか?」
「わかりませんですが今、守護者二名が必死にこの地を守ろうと戦っています、ですので私もその手助けをしたいのです、どうか賀水さん貴方の力を私に少し分けてください」
頭を下げると、頭をあげてくださいという世辞とともに何をすればいいのかと問いかけてくる、私は亀裂周辺に住む人の一時的な避難を呼びかけそれを役場全体に行き渡らせ、放送をかけ避難勧告だす。
すると数分後には車でいつも彼らが模擬戦をしているグラウンドに沢山の人達が集まってくる、皆が皆心配しているといった面持ちではなかった、自分の家が壊されないかと心配している者、守護者が居たのに亀裂が開けられ守護者の怠慢だと言い張る者、亀裂を見ただけで全てを諦めている者それぞれが違う感覚を持って行動していた、この間も彼らは必死に戦っているというのにも関わらず。
役場の人から案内用のスピーカーを取り上げ私の意見を述べる。
「皆さんの不安、憤り、焦りはわかります、ですが今は彼らが守護者が貴方達を守らんとする為に命を懸けて必死に戦っています、私を含む避難組は直接彼ら守護者が何と戦っているかを見ました、ですからこう述べたい文句を言うなとは言いませんですが彼らが無事に戻ってくることを祈ってください。お願いします」
何度もハウリングしても自分の伝えたい気持ちを精一杯言語化し頭を下げる。
するとその気持ちが伝わったのか、「地球の声が聞こえるアンタにいわれちゃしかたがねぇ」「不平不満はあれど私達を守ってくれようとしているのは事実ならばせめて祈る事だけはしようじゃないか皆!」「そうだな俺も諦めていたけどあそこで諦めずに戦ってくれている人が居るんだもんな」と前向きな思考になっていった、あとは本当に彼らが戻ってい来るだけで全てが良い方へと進む、令華先輩にも人はここまで変われると見せてあげられるかもしれない。
次の瞬間結界に入っていた亀裂が少しずつ少しずつ小さくなっていき、その奥から光の粒子をまき散らしながらこちらに向かってくる二名の姿が何とか見える。その瞬間周りは自分達が助かった事を認識したのか、歓声をあげる「守護者様ありがとう」と言う感謝の声がこの村一面に木霊した。
彼の無駄に大きすぎる図体を持ち上げ閉じかけている亀裂の方へと戻ると、そこからは「この村を守ってくれてありがとう」等の歓声が木霊している。
「悪くないなこの感じまるでヒーロ―になったみたいだ」
彼はこの景色を見てヒーロ―になったみたいだと口に出すが、本当にそうなのだろうか僕達はヒーローになれたのだろうか?
「これがヒーロ―の感覚なのか?」
胸に違和感を覚えながら彼をグラウンドまで送り届けると心美君が一目散に走ってきて彼に抱き着く、周りからヒューヒューと歓声が上がっているがこれはどうゆう事だろうか?僕の知らない間に彼と心美君は男性と女性の仲になったのだろうか?よくわからないが、足元が崩れそうになる。なぜだか無性に横になりたい徒労感に襲われる、時間はまだ昼頃まだ寝るには早いはずだが全力で戦い、体が異常に疲れてしまったのだろうか目を閉じ僕は遠のく意識の中でこちらに気づいていない民衆と彼らを見てしまった。
目が覚めると心美君と賀水そして扇の三人が心配そうにこちらを見ている。
「あれ?僕はどうしてここに?」
思い出せない、何かがあったはずだったのだが、倒れてしまった影響か記憶が朧気としている、あのバケモノ達と戦って、心美君と扇が抱き合って…そうだ。
「心美君そして扇、君達は付き合っているのかい?」
何かに咽るような二人を見て賀水は、「それはそれは」と感心していた。
「実は、そう…なんです」
「お前には話そうと思ってたんだけど、模擬戦ばかりで中々言う時間が無くて…」
彼女は頬を赤らめながら、そして彼は頭を掻きながらそう答えるが、そんな事はどうでもいい。
「おめでとう!」
これだけは伝えたかった、彼女が男性と交友するなんて思ってもいなかったがこれは良い傾向だ。このまま行けば彼女の地位もこの村に置いて揺るぎないモノへとなっていくであろう。
「てっきり、怒られるのかと思っていました、令華先輩になにも言わなかったから…」
「僕が怒る?な訳ないだろう、君の幸せは僕にとっての幸せと言っても過言ではない心から応援しているよ、それと扇」
「は、はい」
なにを勘違いしたのか、居眠りがバレた高校生の様に背筋を伸ばし話を聞く体制を取っている。
「君にも何か小言を言うつもりは無いよ、ただもし浮気でもしたら、わかっているね?」
「ひゃ、ひゃい」
そうして彼女達がどのように仲良くなったかを聞くと、それは当たり前の事かもしれないが一個しか歳が違わない男女がほぼ同姓していたらまぁそうなるのであろうと言ったごく普通の惚気話であった。
「そうだ令華先輩これから村の皆さんで勝利を祝して宴会の様なモノを開くそうなんですが、一緒に行きませんか?」
「君達が誘われたんだろう?それに僕は守護者であろうに気絶してしまった人間だ、休ませてくれたまえよ」
「そんな事気にしないで来ればいいじゃん」
「君…いつから僕にそんなフレンドリーな姿勢になったんだ?言っておくが彼女に変な事をしたらただじゃ置かないからな?」
「ひゃい、ワカリマシタ」
笑顔でそう返すと彼はまた委縮して、そして彼女らは呼ばれている宴会会場に向かっていく。これで話したい人と二人きりになれた。
「賀水」
「なんですか、守護者様?」
その守護者様という呼び名は本当にやめて欲しいが今はどうでもいい。
「今回の状況で足が不自由等の理由以外で避難しなかったものはどれ程いる?」
「それでしたら、避難勧告地域と避難所の人数の合わせ引きをして、今すぐになると足が不自由等の理由かどうかはわかりませんがよろしいですか?」
あぁ構わないと頷き彼は手元に持つ資料とペンで軽く計算して答えを教えてくる。
「ざっと計算して多く見積もって、数十人と言った所ですね、それがどうかなさいました?」
「いやそれだけわかればいいんだ、すまないね態々」
いえいえと言うとこれでご用件はもう大丈夫ですかな?と尋ね彼も宴会へ向かうようだった。
自宅への帰路へ着く周りに守護者と地球の代弁者である二人が会館に居ると言ってすれ違ったが、誰も僕には気づかなかった。それもそうか周りから見たら僕は150にも満たない顔の整った女児にしか見えないであろう、胸がイガイガする。なぜだろうか?心美君と扇が付き合って僕への優先度が下がったというのが目に見えたからだろうか?それとも別の何か理由が、気絶する前に見たはずの景色は霧がかかったように蓋をされている。
ふと空を見ると気絶してかなりの時間が経っていたのか辺りは真っ暗になり星空が見えているそして街灯の下に一匹の黒猫ダンボールと共に佇んでいた、その黒猫はとてもシルクの様に滑らかでいて、どこか逞しさのある小さな黒猫がそこに居た。恐らくこの状態では相手をしていられないと思い捨てられたのであろう。
「君もそんなに美しい毛並みを持っているのに誰にも拾われずここで飼い主を待っているのかい?」
にゃーと黒猫は僕にすり寄るあぁこの子と僕は同じなんだ、こんなにも美しいのに誰からも相手にされないよう自分を作ってきた罰が当たっている、この子はそんな事はしていない人間という種族のエゴによって生み出され捨てられた、僕も自分自身というエゴで固め周りから捨てられた人間なのであろう。
「一緒に来るかい?なにも用意してあげられないし家にも居れてあげる事は出来ないが小屋とご飯くらいは融通してやるさ」
そう言うとまるで僕の言葉が理解できてるかのように、私にすり寄り一緒に歩いていく。君は優しいんだね、私と言う人間にも歩み寄ろうとしてくれるなんて。
「じゃあ一緒に帰ろうか、名前はとりあえずクロにしておこうかな?」
すると彼も気に入ったのか、にゃーと返事をし僕の後ろをゆっくりゆっくりついてくるのだった。
第四話完
本文を読んでいただき誠に感謝します
ここまで読んでいただいた皆様、ここまで読まなくても本文は読んでくれた皆様、そして前書きで読むのを止めた方や途中でつまんないと思ってブラウザバックされた皆々様全てにこの作品を一度開いていただいた事を感謝します。
現在私は、ボイスボックスというアプリケーションを使い、自分の小説を読み直しております。そうすると句読点が足りないわ、意味を語ってないわと酷い所が沢山見えてきて、現在修正中です。恐らく山梨編も修正するので山梨編後はかなり時間が空くと思われます。
そして一つ皆さんにマーケティングを一つ、小説を書く気でいる方、若しくは書いている方で、私の小説を読んでくださっている方、ボイスピークというものがあります、それを僕というか友人がオススメしてきて、それでその実力もdiscordを通して見せてもらいました、不自然な所は不自然に読み上げてくれ、そしてデフォルトでもスイスイ読み上げてくれます。お値段は現在2万なにがしとお高くなっていますが、dlsiteなどでお安くなっていますので、お金に余裕のある方は買ってみてはいかがでしょう?それ位の価値があるものだと、私は感じました。
かく言う私はお金が無くて買えませーん。




