第五話 防衛戦
本日はこの小説をご観覧いただきありがとうございます。
現在ニートで精神を少し病んでいる私ですが、皆さまに見てもらえているという事を糧に少しだけ、前に進めそうな状態になっております。引き続き拙い文章ですが見ていただけると幸いです。
それと次回は夜の7時に投稿します、それ以降はいつも通り朝です。
少しずつ暑さはその正体を隠し続けるが、秋の訪れをまだかまだかと期待しても、紅葉等の目に見えてわかる変化が無ければ秋だとすら気づけない今日この頃。
前回の初陣以降もバケモノ達の襲撃は大規模小規模の差はあれど、起こり続けている。僕も初めはこれなら戦えると思っていたが流石に両手で数えきれない程の回数亀裂が昼夜問わず発生してしまってはそんなことも言ってはいられない。
模擬戦の最中に亀裂が発生、クロと遊んでいる間にも亀裂は発生するし、彼女らの惚気を見させながらの亀裂は少しありがたみすら感じてしまった時もあるが、そんなの希少で時間帯問わず行われる襲撃に正直、僕も扇も心身共に疲労が隠せずにいる。
そんな中変わった事が一つだけ、いや正確には変えざるを得ないから変わったというのが正しいか、住民の僕達に対する態度が明らかに変わった。亀裂が発生するまでの間は本当に衣食住を融通する必要性はあるのかやら、仕事もせず毎回戦闘ごっこをしているだの言っていたはずの住人は居なくなり、自分達から衣食の提供をし始めた事が僕にとって最大の最悪の出来事だった。
もとよりその傾向がある事にはあった、地球の代弁者という明らかに自分達に有益な情報をもたらしてくれる心美君には街中ですれ違う度に、感謝するものが沢山いたが僕達守護者に感謝するものはあの真守という少女が稀有な存在であったが如く、誰一人感謝してくれる者は居ない。実績が無い物に媚び諂えとは言わないが、それでも人間というのは露骨だ、自分達に有益な存在とわかれば賞賛し媚び始める、自分達を覚えて欲しい、自分達を優先して守ってほしいと言わんばかりに、まるで関われる存在でもないアイドルに必死に手を振り関わった気になる変人だ。それを人間らしさと心美君は言ったが僕はそういう人間が嫌いで嫌いで仕方がない。
賀水の事を初見では嫌っていたが、彼は最初から私達に媚び諂い助けを求めた今思えばの話だがこの村で僕が信用できるのは心美君と扇とクロと賀水位なものだ、とても貴重な存在だったのである事を気づいた。
そして今日の朝、珍しく僕当てに荷物が届いた中身は服だったがどうにもこうにも。
「なぁこれ少し、少女趣味が強くないか?」
「そんな事ないですよ、令華先輩めちゃくちゃかわいいですよー」
「そうだな可愛いと思うぞ…っふひひ」
本心でそう思いバズーカみたいなカメラを両手に持ち写真を撮る心美君に対し、完全に面白がっている扇を前にしてクロが必殺の一撃を入れる。
「ニャー」
「痛い!」
ははっ、ざまあみろ。やはりクロは僕と心が通じているのだろうか?こんなに美しい毛並みと外見を持ちながら捨てられていたクロと、自分で言うのもあれだが整った顔を持ち人々からは好かれない僕。似た者同士心が通じ合うのかもしれない。
「でもこのヒラヒラなんとかならないか?邪魔で邪魔で仕方がないんだ」
「とんでもないそのヒラヒラがあるから可愛いんですよぉー」
「にゃー」
クロが今度は心美君に同調するが如く可愛い泣き声を鳴らす。こいつめ、心が通じ合っていると思った僕が恥ずかしい、猫らしく自由奔放だそうだ。
「と言ってもだね、こんなスカートより僕は大人びた服装をだね」
「その身長じゃ大人びた服装もクソもねぇだろよ」
即座に天成し刃を彼に向ける。
「ナニカイッタカナ?」
「ナンデモナイデス……」
「ちょっと令華先輩、傷はつけちゃ駄目ですよ?ただでさえ最近の戦いで疲労困憊の現状なんですから…」
そう言われ天成を解きつつクロを探すがどこかへ行ってしまったようだ、だがあの子は夜になればすぐに帰ってくる僕と同じで頭のいい子だから心配はあるまい。
「確かにそうだったね、全くどこぞの馬鹿が余計な事をいうものだから少し気が立ってしまったよ」
「誰が馬鹿だ、誰が」
実際馬鹿だろう君?僕と心美君がやっている勉強に一人混ざれずに自主トレしてくると言い出し逃げ出したのは何処のどいつだ?と言ってやりたい気もするがこれ以上ややこしくなったら困るので少し黙る事にする。
「令華先輩次はこれ来てください!」
そんな事知ってか知らずか心美君は自分の欲望を丸出しで僕に違う種類の服を着ろと言い出す始末だ。
「はぁー、しょうがないな、住民の相手をして疲れているだろうし今日だけは君の着せ替え人形になってあげるよ」
「本当ですか?やったぁー」
心の底からのガッツポーズを見せられてしまえば、流石にそこまで気乗りしない行為ではあるが、彼女為にひと肌脱ぐことにしよう。そう思い僕はおもむろに服を脱ぎ始める。
「ちょ、おまっ」
「ダメーーー」
どんがらがっしゃんと大きな声と同時に服を脱ぐと心美君が扇を抱いている。
「君達そういうスリルを味わいたい年頃なのは、僕も理解を示しはするけど…できれば僕の居ない所でやってくれないかな?」
「令華先輩の所為ですよ?何さも私達がいちゃついているみたいな風貌で話しているですか!早く服を着てください!」
「服?ああこれは失敬いつもの癖で脱いでしまったよ、そこの馬鹿少しの間部屋からでてくれないか?」
「誰が馬鹿だっ……」「はーいでますよー」
そう心美君が彼を部屋から連れ出し、こちらに戻ってくる。
「もう、本当に先輩ったら、先輩にも好きな人ができるまでに治した方がいいですよ、その脱ぎ癖…」
「すまないね、でも僕は君と違って好きな人なんてできないよ、知ってい居るだろう君が一番知っているだろう?僕の人嫌いを」
「そんな事言っていないで早く服を着てください」
そう急かされるが一つだけ彼女に聞いておきたい事があった、この場でこの質問をするのはずるいと分かっている、だけれど言葉として聞いておきたかった。今の私はどう見えるかを。
「心美君」
可愛らしい僕が自然と着る事の無いワンピースに袖を通しながら彼女に聞く少し前にも聞いたことのあるはずの質問を、一か月で自分がどれ程変わってしまったかを確認するために。
「なんですか?」
彼女は優しい口調で返答してくれる。
「僕の肌はまだ綺麗かい?」
「それは…」
彼女に詰まる、それもそのはずだバケモノ達との戦闘もあったりそもそも、日々の模擬戦もあってか僕の体は痣だらけの擦り傷だらけ、この状況下でもなんとか理想の自分で居る為にも肌のケアは出来る限りしているはずだ、しかしそれでも足りない程僕の肌は傷ついていた。それでも彼女はこう答える。
「先輩はいつ見ても綺麗ですよ、そんな傷が出来てもその傷が霞んでしまう位綺麗な肌そして整った顔をしてますよ、女性として羨ましい限りです」
そう言ってこちらに笑顔を見せる。ありがとう本当に君は優しい後輩だ、なのに先輩である私の方が助けられてしまっている、これじゃあどちらが先輩か等と傍目から見たらわからないであろう。
ワンピースを着終わり彼を部屋に居れる。
「先輩とても綺麗ですよ本当に…」
「まぁいいんじゃねーの、その服は」
自分には可愛らしすぎると思ったがそうでもないようだ、反応は良好と見えるここにクロが居たら満場一致かどうかわかるのだが生憎あの子は何処かにいってしまったのであの子に見せる為にも今日はこのままこれを着る事にしよう。
「そうかいそこまで言われたら、この服だけは着続けようかな?クロにも見せたいし」
「てかそのクロってどうしたんだ?」
「どうしたって?」
「いや祝勝会みたいな後で家に帰って次の日になったら家の前で門番みたいに佇んでいたからよ」
ああそういえば彼にはクロとの経緯を話していないかったな丁度良いここでクロとの思い出語りをするとしようか。
令華先輩は自分の肌が少し前と比べて荒れていることを気になっているようだった、彼女にとって肌と顔と髪は自分が唯一人間社会に馴染むための武器と言っていた、それの一つが失われる事が怖いのかそれとも肌をきれいと褒めた私が見限るのが怖いのか、そんな事少なくても私はしないというのに、しかし彼女の肌は傷だらけで見る人が見たら酷いというかもしれない、だが私から見たらどこまでも白い手足に整った顔に艶のある髪の毛同じ女性と言う観点からみて、これほど羨ましいと思ってしまう人間は居ないであろう。だから私はこう言う「綺麗です」本当に嘘偽りなく真実を述べる。
そうすると彼女は少しだけ笑顔を見せワンピースに袖を通し着飾る。その姿は流麗でそれでいてどこかに可愛らしさが残るそんな姿だった。そんな少ししんみりしてしまった空気はどこへやら、次はクロの話しになった。
私もクロを飼っていいかいと言われただけで外で飼うならと言う事で了承したが、今では普通に家の中にも入ってきているとことん愛いらしいあの子は、襲撃でボロボロになった彼らを癒す存在にもなってくれているので問題はない。少し扇君には令華先輩同様少し辛辣な気もするが…。
「それでクロ君とはいつ出会ったんですか?」
「心美君クロは雌だよ?」
「そうだったのか、通りで飼い主にと同じようによく似ている訳だ」
また余計な事を言って、先輩に刃を向けられている彼の姿が見えたが、今回ばかりはというか今回も彼の自業自得なので見て見ぬふりをする。
「そうだったんですね、でも猫の雌って警戒心強いイメージあったのによく連れてこられましたね、逃げられなかったんですか?」
「逃げるも何もあの子自ら僕についてきたからね、実の所なんでついてきてくれたのかはわからないんだ」
「それもそれで凄い事だけどな、見ず知らずの他人に捨て猫が付いてくるなんて」
それもそうだ、捨て猫は私も見た事があるがじっとその場に佇みずっと来るはずも無い飼い主を待ち続けている印象があったが、それ程先輩に何か惹かれる魅力があったんだろうか?
「まぁ出会いはどうでもいいさ詳しくは心美君スマホを貸してくれるかな?」
スマホ?あぁ写真を見せたいのか、そんなによく借りて見るなら自分でスマホかカメラでも買えばいいのにと思ってしまうが今の彼女にはスマホは要らないものらしい。
「見てくれ扇!このクロの可愛さを!」
そうして私から借りたスマホ彼に見せ指を舐めたりしている映像を延々と垂れ流し恍惚といったような表情をしている先輩を見るのは少し面白い、普段完璧超人である彼女がここまでだらしなく見えるのは貴重な状態なので写真を一枚撮っておく。
すると横から扇君が小声で話しかけてくる。
「心美ちゃん今更だけどなんで忍野はスマホ持ってないんだ?」
そう聞かれるがこればかりは本人に聞いた方がいいと思うのでその話題を振ろうとした瞬間だった。
胸が痛む張り裂けそうなほどに。
「くっーっは!?」
まるで胸を刃物で刺されたかのように鋭い痛みが走る、息が詰まり上手く呼吸ができない。
「大丈夫心美ちゃん!?」「大丈夫か?心美君!」
慌ててこちらに二人が駆け寄ってくる、どこにも体には異常はないはずなのにどうして?すると地球から言葉が降りてくる。その痛みは結界の痛みと、と言う事が結界に亀裂が発生するかもしれないのか、考えられるとしたら巨大な敵が来ている可能性が…。
「令華先輩、扇君出撃準備を。大きい敵が来る可能性があります、私も役場へ報告へ」
そういった瞬間令華先輩に抱きとめられる。
「大丈夫だ君は僕が運ぶ、扇もしも亀裂が入ったら足止め頼むよ」
「ああ、任せとけそれと心美ちゃんを頼んだぞ」
「わかっている」
両者天成して真逆の方向へと飛び立つ、急がなくては今までの防衛戦とは違い犠牲者もでるかもしれないとそう考えてしまうが先輩が体を更に強く握ってくれる。
「大丈夫だ、犠牲者は出さないようにする僕達も決して死なない、折角君が幸せを噛み締めているんだ約束するよ」
「令華先輩…よろしくおねがいします!」
役場に着きフルブーストともいうべき速度で彼女は扇君が向かった方向へ向かう。その時だった亀裂が発生したのは、今は胸の痛みも無いがまた言葉が降りてくる結界についての詳細が。
扇を追いかけている瞬間、いつも通りいやいつも以上に大きい亀裂が発生する。いやな予感がして更に加速し扇と合流する、幸い十数回も防衛を繰り返していたら連携もなれ情報共有も専用の無線で行えるようになっている。
「扇、情報を」
「ヤバい、一先ず量がヤバい押しとどめるので精いっぱいだ」
「わかったあと数秒で着く、待っていてくれ」
そういい亀裂の中に入るそこには大量の人型とリスと蝙蝠のバケモノそして奥には前にも戦ったイタチとモグラそして巨大な蝙蝠までいた。
「一先ず蝙蝠は僕が処理する大型は後だ」
「わかった、頼んだぞ」
彼の言葉を聞いてから僕は飛び立ち奥へと近づくが何か違和感がある敵の間に一か所空白があるそこに何か居たはずなのに今は隠れていると言わんばかりにしかしそれどころではないまずは目先の蝙蝠を落とす。
少し刃が長い光の剣を形成し、回転しながら相手に突っ込む。
「ハァァァァァァア」
触れたただの回転であれば、剣に当たらなければ意味が無いかもしれないが僕は回転するときに光の少しずつ放出しながら突っ込んでいった、ので相手には見えない微粒な粒子の刃が少しずつ少しずつコイツらの体を崩壊させる。
一頻り回転が終わると遠くにはまだ蝙蝠が残っているがそれ以外の敵は一旦空中から消え去った次の瞬間、扇の位置を確認すると扇の方も物凄い物量に押されてはいるがなんとか抑えきっていた、しかし次の瞬間だった。
扇に向かって地面から這い出てきたモグラが彼にとびかかろうとしているしかもアイツは輪っか付きこのままじゃマズイ!
「扇!その場所はいい横に飛べ!」
そう叫ぶこの敵を目の前に彼の無線に僕の声は届いていなかった、扇とモグラの距離は10mあるかないか、少なくても2秒あれば彼の元へと届くであろう。
「多少のずれはいいんだ、最速で行くぞ!加速!」
僕全開で光を圧縮させブースターの様に使い一瞬で敵との間合いを詰めるその瞬間だけは敵からも、そして扇からも僕が消えたように見えたであろうそのレベルの速さで彼の元へ。
目の前から大量の敵が押し寄せてくる、捌くので精一杯だ。大量の人型、そしてリス上の蝙蝠を忍野に任せているからなんとか間に合っているが、一度集中力を乱すと一瞬でこの大群に飲み込まれゲームオーバーであろう。だからこそ、心美の為に無事に帰る為に必死に捌く、目の前を火の海にしそれでも近づいてくるものは軍配を振るってなぎ倒す、そこそこの耐久力のあるリスは水圧で固めた刃にして切り捨てる、その瞬間も自分と忍野がしっかり離れている事を確認して竜巻を起こしそれを火に変え火柱を起こすこれで雑魚は一先ず足りるかもしれないその時だった緑の光を纏った、忍野が高速で近づき俺を吹き飛ばすなにをやっているんだ?コイツはこんな時にと思った瞬間、自分の居た場所が爆発し周囲を確認すると今まで見た事の無い、小さなと言っても数mはあるがそれが自分達より後ろに居た。
「忍野?忍野ぉぉぉぉ」
「うるさい僕は生きているよ」
すぐに生存報告が自分の上からする少し衣装は燃え衣服は焦げて火傷も見えるがそこまで重大なものでもなさそうだった。
「よかった、でもどうして?」
「どうして?君に危険を知らせても目の前の事に精一杯で後ろを見えていない馬鹿を助けてあげたんだ、感謝しろ」
「それは本当に助かったけど」
コイツはどうして一言多いんだ、折角いい雰囲気だったのにその一言で場の空気が最悪にまで下がる。
「それより携帯を貸してくれ、今すぐ外に出て心美君に話さなくてはならない事があるんだ」
そう言われるがままにスマホを差し出す、この状況でなお彼女と話したいという事そして後ろからやってきたモグラつまりはそう言う事だろう。
「わかったここは任せとけ」
「すまない扇、もしも時はここを捨てて下がってきてくれ、もしくはこちらから降りてこいと指示を出すかもしれないから聞き逃さないでくれ」
「ああ、今度はちゃんと聞いておくよ」
「頼んだぞ」
そう言って亀裂の外にでて行く彼女の背中は何処か悲しそうに見えた。
彼を庇い爆風を一身に受け光を盾回していなければ爆風で四肢は弾け飛び、焼け焦げて死んでしまっていたかもしれない。自分が盾持ちだったことに感謝して少し上に飛び立つ、その景色の先は亀裂の外。忍野村がある方向、そこにはモグラの大群が亀裂から外に降り立つ姿が見えた。彼の安否を確認しスマホを借りて外に出て心美君に電話を掛ける。
「もしもし扇君?なにかあった?」
「扇じゃなくて、申し訳ないね。僕だ忍野令華だ」
「令華先輩どうしたんですか?まさか扇君が?」
彼氏の携帯から別の女しかもこの状況下だとその判断に至るのも間違ってはいないが今は違う、こちらから求めるのは一つ、そして質問が一つ。
「今結界の中に数体バケモノが入りこんだ、そこで聞きたい事が一つある」
「言わなくてもわかっていますその情報は届いてますし私に何を求めているかも理解しているつもりです」
ならばと言おうとするが彼女は僕の言葉を遮る。
「ですが、私の一存では決められません、だってこれは…」
「下の人を助ける賀水と話し合って決めてくれ、ただこれは僕の一生に一度のお願いだ、今その選択をできないとこれから大勢死ぬ事になる、それはわかってくれ、そしてできるのであればもう一度電話をかけなおしてくれ頼んだよ」
そう言い電話を切り下に向かう。
そこは地獄絵図と言ってもいい光景だった、今回も守護者様が守ってくれると思い勘違いして逃げ出さなかったものたちの末路と言えば笑えてくる、モグラに刃を刺しこみ消滅させると逃げている人から声を掛けられる。
「守護者様、これはどうなっているんですか?我々は死んでしまうのですか?」
「あんなに貢物もしたのに私達の事は守っていただけないんですか?」
「早く敵を倒してくれぇー死んでしまうー」
そういう人間共わかっていた事じゃないか、人間という生物がこういうものだという事はなのに何故僕はショックを受けているのだろうか。まさか浮かれていたのだろうか?僕は。だからこそそれを切り捨てるように大声を出す。
「今ここにバケモノ共が侵入した、生き残りたければ避難所まで逃げろ」
「ですが我々には守護者様のような俊敏性はないんです」
「じゃあ走れ住民全員この区画から逃げるまでの時間稼ぎはする」
無性にイライラする自分にかそれとも人間にかわからないが今は彼女の為に戦おう、僕にはそれしかできないのだから。
地上に居る敵を殲滅し上へ戻ろうとするとき彼が亀裂から降ってきた、それを僕は空中で受け止める。
「どうした?」
「大型が動き出したもう限界だった、すまない」
「気に病む事はないよ僕も君一人に任せてすまなかった」
謝るのは後にしようと思った瞬間視界の端に見覚えのある影が見えた。
そこへ向かわなくてはあの子も失う訳には行かないんだ。今の僕にはあの子だけが寄り添える場所なんだ…。
その瞬間スマホから着信がなる、申し訳ないがそれどころではない彼に携帯を渡し応対は彼に任せる私はいち早くあの子の元へ…。
あの子の元へと駆けつける、私と思って近づかないでいてくれたのだろうか、初めてあった時同様、道の真ん中にあの子は居た。ただあの時と違うのはあの子の瞳はこちらを向いておらずどこかへ向いている、口から内臓が吐き出されている。
あぁ逃げ惑う人の中、君はここに居て逃げ惑う愚かな人間共の車に引かれたんだね、ちらりと先を見ると助けを求めている子供の声がする。そちらに向かうとあの子同様轢かれてしまったのか足を骨折してる子供を見つけた。
「守護者様ぁ助けてぇ」
めそめそ泣きながらこちらに助けを求めると同時に扇が僕の元へと駆けつける。
「お前が言っていた事をやる許可が得たって言ってたけど…」
彼の口は止まる、僕が抱きかかえているこの子を見て絶句したのか、目の前の轢かれた子供を見て絶句したのか、それとも僕の瞳を見て絶句したのかはわからないが今はもういい。
クロ…少しの間ここで待っていてくれ必ず迎えに来るから。
「扇この子を安全な所で他にも歩けない人がいたら助けてやってくれ、僕はここを防衛する」
「僕はここを防衛するって、一人で大型三体を相手にできると思っているのか?」
「あぁできるさ、僕は自分で言うのもなんだが…君より強いしね」
彼は何か言いたげな顔をしていたが、こちらの顔を見ると話そうとしていた口を閉じて少女を抱きかかえる。
「任せだぞ」
「ああ、任せたまえよ。なぁに心配は要らない一瞬で方が付くよ」
彼は何とも言えない顔で飛び立つが僕には、しったこっちゃないこの原因を作ったお前達に復讐してやるだけ、いや正確には八つ当たりかお前達はここに来ただけで、直接的要因ではない、直接的要因は別にいるのだから。あぁ心美君、君の望み通り僕は人類を守るよ、君を死なせる気も僕が死ぬ気も無いだけど、僕はもう人間が嫌いだ。
その考えに至った瞬間視界が変わるここは何処だろうか?僕は立つ場所も限られている程小さい黄色のような茶色のようなそんな世界の上に立っている。
「ここは?」
『ここは貴方が証明を完了させた星です』
「証明?」
『貴方が天成するときに言った言葉を我々に証明したからこそ貴方は今ここに居ます』
「そうか大体わかった、それじゃあ頼むよ」
『わかりました例え貴方が全ての人を嫌い、嫌われたとしても我々だけは貴方に最大限の敬意と感謝』
その言葉を最後の元の世界へと元の景色へと戻ってくる。
九つの球体が僕を中心に回転する、そして僕は一番遠い球体を手に取る。
僕に願いなんてない、そんな中途半端な人間だからこそ彼女の人類愛を信じた、だけど人間ってやつはどうも自己中心的な奴ばかりだったよ。証明は完了した。
「僕に着き従え『解放』」
そう唱える同時に盾がパージし盾に剣が付いたまま自由に空中を舞っている。服装は真っ白だった姿に黄色の色が追加されている。
「さぁかかってこい、ここより前に進めると思うなよ?」
敵に突っ込む盾が外れたといえど光を出す鞘は私に着いたままだ、これを盾にする事もできるだろうし、そもそもコイツらはもう僕に指一本触れる事ができない。
巨大な蝙蝠が寄声を発し、僕の動きが止められ今がチャンスだと噛みつこうとしてくるが僕は少しにやける、コイツは僕の動きを封じたが僕にはもう一つ手札がある事を忘れているんじゃないだろうかと剣の付いた盾があと一歩の所まで迫った巨大な蝙蝠を貫く。そして動けるようになった僕は、コイツを微塵切りにする最初に言った通りこれは八つ当たりだできるだけ残虐に残酷に殺す事が目的だった。その僕の心情を悟ってかイタチのバケモノも爪で引っ掻こうとしてくるがそれも二枚の盾によって防がれ僕の元には来ない。
あぁいい気味だ清々する、荒れくれた心を癒してくれるが如くこの盾は自分の思った通りに空中を動かせる、まるで人形のように。
今度は盾についている剣で千切りにイタチを切り刻んでいくそれをみて勝てないと悟り亀裂に戻ろうとするモグラを僕は見逃さない。もとはと言えばお前の子供みたいなモグラの所為でクロは死に僕の人嫌いは確実なものとなった。だから殺す慈悲なんてくれてやるつもりはないが一切の加減も無く、自分のそこまでありもしない残虐性をフル稼働してなるべく傷つけるように簡単に消滅させてしまわないように前脚の一本ずつ、指の一本ずつ紐に括りつけた人形を動かすように盾も使いながら斬りおとしていく、しかし終わりは一瞬だった、もう勝てないと悟ったのかそれとも単純に人で言う失血状態だったのかはわからないがもうそんな事はどうだっていい。消える前に心臓部に一発殴りを入れ、圧縮した光を中ではじけさせる。
「ハハハハッハハ、汚い花火だ、ハハハッハハハ」
一頻り笑うと天成が解け地面へと落下していく、このまま死ぬのはやだなと思っていると扇が僕を抱きかかえる。
「満足したか?」
「いーや、これっぽっちもさっきの子供が居た所まで運んでくれるかい」
「わかった」
無言で彼はさっき骨折していた子供がいる場所まで送り届けてくれる。
そこに力なく佇んでいる、クロを抱きかかえる、真っ白なワンピースが血で汚れようとかまうものか。
「お前がやりたかったって事はこれだったんだな」
「何がだい?」
ふと辺りを見渡すとさっきまで結界内だったこの地域は結界外になっている。その通りだ彼女も理解していたのだろうもしくは今回の尋常ならざる敵の量を見て、地球が言葉を与えてくれたのかもしれない。
「彼女という個人が地球の代弁者たる彼女がこの結界を管理している」
「管理…」
「その仮説を僕は立て賭けに出た、もうこの地域が守り切れないのは確定していた大型は退けてもまだあの亀裂の向こうには人型もリスもモグラも蝙蝠も恐らくいるだろう、ならばくれてしまえそれで全員助かるなら不味い話ではないだろう?」
「そうだけど…でも…」
「それにこれを決めたのは心美君ではなく賀水だろう、それに彼女に火の粉は飛ばないよ、人間はより一層彼女に心酔する、私達を守ってくれる文字通り最後の壁としてね、そして僕達の風当たりは強くなるだろうから覚悟しておくといい」
「わかった、納得はできないけど、飲み込めはした」
続けて彼は言葉を話す。
「帰ったら庭に埋めてやろうな」
「ああ、そうだね」
そう言い僕達は結界内に戻っていった。
第五話完
本文を読んでいただき誠に感謝します
ここまで読んでいただいた皆様、ここまで読まなくても本文は読んでくれた皆様、そして前書きで読むのを止めた方や途中でつまんないと思ってブラウザバックされた皆々様全てにこの作品を一度開いていただいた事を感謝します。




