委員会全面戦争⑦
「さあ審判を下そう。早乙女女女」
氷上は狂喜染みた笑みでそう言った。
この状況下では焦るはずの早乙女であったが、彼女は心境を一切表情には表さず、冷静沈着な表情で周囲を見渡す。
「おいおい。ポーカーフェイスってやつか。駄々漏れだけどな。滅茶苦茶焦っているというのは」
「誰が焦っていると?」
「お前だよ。早乙女」
すると、早乙女は口元に扇子を当て、いやらしい目付きで言う。
「はしたない」
「私を怒らせようとしているのか?」
「さあ。だけど警戒しておいた方が良いのではないか。まだわらわは隠している武器が幾つもあるのだからのぅ」
「早く出さないと、冷気でどんどん動きが鈍くなるよ」
現在、氷上の腕から生える蛇から出る冷気はこの一室に漂っていた。しかし氷上たちは熱を纏っている。
氷上、神代は階段の前に立ち、最上階への道を塞いでいる。落雷は早乙女らの背後に立ち、出口を塞いでいる。
「強がりなんか言ってないでさ、早くぶつかってきなよ。そしたら速攻で倒してやるからさ」
早乙女は冷静に周囲を見渡したまま、沈黙をする。
「どうした?手詰まりかな」
「いいや。今ひとつ策を思いついただけよ」
「策?この状況を打開できるとでも」
「わらわは決闘委員会委員長、誰よりも勝利に貪欲である。故に、ここで負けるわけにはいかないのよ」
「だが今負ける」
「それではお見せしよう。わらわ特製の武器、百器夜后を」
早乙女は扇子を閉じ、袖にしまった。
それが合図だったのか、早乙女とともにやって来ていた傘を持つ二人の少女ーー焚と宴と、柵を飛び蹴りした少女ーー椿は窓を蹴り破り、焚と宴は傘を広げ、椿を抱えて風にのって城の外へと退散する。
「逃がしてしまった。だが逃げ方が分かった以上、お前はもう逃がさない」
「氷上、絶対わざと逃がしただろ」
「神代、それは言わない約束だろ。まあ、あいつら三人は逃がしても差し支えないと思っただけだ。だが早乙女、お前は逃がさない」
窓は氷上によって氷で凍てつき、出口がなくなっている。残るは上層への階段か、それとも下層への階段か。
逃げるには二つの選択肢がある。だがそのどちらにも、四天王が立ち塞がっている。
「早乙女、お前が何を隠しているかは知らないが、もう無駄なことくらいは分かるだろ」
「いいや、わらわには分からぬな」
「無駄だよ。既に外の連中は皆捕獲網によって身動きもとれず、戦えねえ状態だ。その上城に入った連中はもれなく罠に引っ掛かり、足止めを受けている。この状況でどう俺たちを倒すんだ」
落雷の言っていることは確かだ。
どう考えても劣勢下にある。それでも早乙女はまだ諦めてはいないように思える。
「さあ決闘を始めよう」
「逃げはしないのか?」
「わらわは勝利に貪欲だ。だからそこに勝利があるのなら、上層へ続く道があるのなら、わらわは迷わずその道を選ぶ。たとえ相手がどれほど強大な相手であろうともだよ」
「そうか。ならばかかってこい。私の蛇で噛んでやる」
四天王三人に対し、早乙女はたった一人で立ち向かう。
「喰らえ。蛇ども」
四天王、氷上&神代&落雷VS決闘委員会委員長、早乙女女女
衝突する四天王と早乙女。
そんな中、密かに姿をくらましている者がいた。彼の目的は一体……。




