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45.熱が入っちゃったよ

重い沈黙が、部屋の中に落ちていた。


王国が用意した滞在用の宿の共有スペースの一室は、妙に静かだった。

壁が厚いのか、外の気配はほとんど入ってこない。

誰かが息を吐く音だけが、やけに近く聞こえる。


情報屋は椅子にもたれたまま、向かいのユキトを見ていた。

話はもう終わっている。


アルフィーの惨劇。

今代勇者が一度見逃し、その結果として街が壊れ、最後は自分の手で終わらせるしかなかったこと。

その話を、情報屋は知っている者の顔で語り切った。


今、部屋に残っているのは、その後味だけだった。


ユキトは何も言わない。

フローラも黙っている。

ネムリアも、珍しく眠りに落ちず、ぼんやりと目を開けたままだった。


ヴォルカだけが、ほんのわずかに呼吸を浅くしていた。


焼ける匂いがした気がした。


いや、匂いではない。

もっと古い何かだ。

熱。

乾いた咳。

小さな手。

目を逸らし続けてきたものの断片だけが、胸の奥でかすかに擦れた。


忘れたわけじゃない。

ただ、忘れたふりをしていただけだ。

見ないふりを続けていただけだ。


三千年という時間は、そのためには十分だった。

それに今は、彼らといる毎日があった。

ユキトがいて、フローラがいて、ネムリアがいて。

不格好で、騒がしくて、危なっかしいのに、心から幸せだと思える時間があった。


だから、見ないでいられた。


けれど今、部屋の中の沈黙は、その薄皮を静かに剥がしてくる。


そして沈黙を壊したのは、情報屋だった。


「……ね? 面白い話でしょ」

「いやー、話しているうちに熱が入っちゃったよ」


軽かった。

あまりにも軽かった。


その瞬間、ユキトが顔を上げた。


怒鳴りもしない。

机を叩きもしない。

ただ、その目だけが冷えていた。


「……同情はした」


情報屋が片眉を上げる。


ユキトは目の前の男から視線を外さないまま、低く言った。


「だけど、お前と一緒で俺も理解はしない」

「……でも、今わかった」


情報屋の口元には、まだいつもの薄い笑みが残っていた。

だが、その形がほんの少しだけ固まる。


ユキトは続けた。


「俺は自分でも、もっと腐ってる側の人間だと思ってた」

「綺麗事だけじゃ生き残れないことも知ってる」

「汚い手を選ぶしかない時があるのも分かってる」


そこで一度だけ、短く息を置く。


「でも安心したよ」


部屋の空気が、静かに張った。


「お前は、人の壊れ方を面白がって口にできる」


低いまま、少しも揺れなかった。


「俺は、そこまで腐ってない」


短い沈黙が落ちた。


それからユキトは、まっすぐ相手を見たまま言った。


「人の壊れ方を、金になる話みたいに語るな」


声は低かった。

だが、抑えているぶんだけ余計に冷たい。


「そういうとこ、本当に無理だ」


情報屋が何か言い返そうと、わずかに口を開く。


その前に、ユキトが言い切った。


「やっぱり約束はなし」


一拍。


「お前と今交わした約束も、ここで切る」


言葉が差し込まれる隙はなかった。

最初から最後まで、一方的に線を引いていた。


「これ以上踏み込むなら、今度は本当に終わりだ」


情報屋は黙った。


それは虚勢ではなかった。

何を終わらせるつもりなのか、わざわざ確かめる気にもなれない。

一歩でも踏み違えれば、今度こそ本当に切られる。

そう思わせるだけの温度が、その声にはあった。


ユキトはさらに続ける。


「今後も俺たちを監視したいなら勝手にしろ」


そして最後に、完全に関係を断つ声で言った。


「でも、二度と俺に話しかけられると思うな」


部屋が静まる。


情報屋はそこで初めて、自分が何を読み違えていたのかを、まだ形にはできないまま悟った。

戦闘力1。

なのに危険の匂いだけは異様なほど嗅ぎ分ける。

竜を三体抱えた不格好な集団の要。

綺麗事より、生き残るための汚い手を選べる男。

だからもっと冷たく、もっと割り切った種類の人間だと思っていた。


だが、違った。


もっとも、その答えは後になって思い出すことになる。

そういえばこの男は、雷竜を救いに行った時にも、妙に甘いことをしていた。

あの場にいた王国の兵士を殺さず眠らせるだけに留めていた。

あの時点で気づくべきだったのかもしれない。


だが今は、もう遅い。


ユキトは立ち上がった。


「行くぞ」


フローラが静かに立つ。

ネムリアも、それに合わせて身体を起こした。


ヴォルカだけが、ほんの少し遅れた。


ユキトの横顔を見る。

さっきの言葉が、胸の奥に残って離れない。


壊れ方を面白がるな。


それは勇者を庇う言葉ではなかった。

壊れた人間を見世物にすること、その語り口そのものを嫌悪する言葉だった。


ヴォルカは何も言えなかった。

ただ、その一言だけがやけに深く残ったまま、部屋を後にした。


   


夜は静かだった。


宿の廊下を歩く足音も、ひどく小さく感じる。

誰も大声では喋らなかった。


部屋に戻ってからも、ヴォルカはほとんど口を開かなかった。

フローラも何も聞かない。

ネムリアもただ見ているだけだ。


しばらくして、ヴォルカは一人で部屋にこもった。


扉が閉まったあと、ユキトはしばらくその前を見ていた。

何かあったことは分かる。

だが、何が起きているのかまでは分からない。


フローラが静かに言った。


「今は、そっとしておいた方がいいと思います」


ユキトはそちらを見る。


フローラの顔に怒りはない。

ただ、静かな配慮だけがあった。


「踏み込んでほしくないことの一つや二つ、あなたにもあるでしょう?」


その言い方は優しかった。

けれど、止めようとしていることは分かる。


ユキトは短く息を吐いた。


「……あるな」


「なら、今は」


「ありがとうな」


フローラの言葉を、ユキトはそこで切った。


「でも、俺はアイツの恋人だから」


フローラの目が、わずかに揺れる。


止める理由はある。

でも、それを言われてしまうと、それ以上は押し返しづらい。


ユキトはヴォルカの部屋の扉を叩いた。


返事はない。


もう一度叩く。

それでも返事はない。


少しだけ待ってから、ユキトはそっと扉を開けた。


部屋の中は暗くはなかった。

灯りはついている。

けれど、妙に静かだった。


ヴォルカは寝台の端に座っていた。

泣いていたことだけは、すぐに分かった。

目元が赤い。

息も少し乱れている。


だが、なぜ泣いているのかは分からない。


ユキトは、静かに扉を閉めた。


「……ヴォルカ」


名前を呼ぶ。


ヴォルカは少しだけ顔を上げた。

泣き顔を見られたことよりも、来られたことの方に困っているような顔だった。


「……来たんですね」


ユキトは少しだけ眉を寄せる。


「……なんだか、すごく悲しんでるように見えたから放っておけなかった」


ヴォルカは、弱く息を吐いた。

それが笑おうとして失敗した呼吸にも見えた。


ユキトはすぐには近づかなかった。

何を言えばいいのかも分からない。

ただ、距離を取りすぎない場所で立ち止まる。


沈黙が落ちる。


先に口を開いたのは、ヴォルカだった。


「……あの勇者の話を聞いて」


声は掠れていた。


「少しだけ、自分と重なって見えたんです」


ユキトは何も言えなかった。


ヴォルカは俯いたまま続ける。


「止められなかったことも」

「壊れていくのを見ていたことも」

「終わらせた後で、生きていることも」


息が震える。


「……少しだけ、自分と重なって見えたんです」


そこで一度、言葉が切れた。


「だから、取り乱しました」


小さな告白だった。

でも、その一言の方が説明より重かった。


ヴォルカは喉を押さえるみたいにして、一度目を閉じる。


「……見ていることしか、できなかったんです」


何も言えない。

何の話なのかも分からない。


「私、強いはずだったのに」


声が掠れている。


「何も届かなくて」

「炎も、力も、あったのに……」


そこで言葉が切れる。


息を呑み、一度、深く吐いてから、ヴォルカはまた少しずつ吐き出した。


「……父も、母も、妹も」

「病で倒れました」


ユキトの表情がわずかに変わる。


「私だけ、最後まで残ったんです」


涙がまた落ちる。


「妹が、小さくて……まだ幼くて」

「私の後ろをついてくるのが好きで」

「強いお姉ちゃんだって、ずっとそう思ってくれてたんです」


その言葉は、誰かの思い出話ではなかった。

今この場にいるみたいな、生々しい痛みを伴っていた。


「でも、私は何もできませんでした」


ヴォルカの肩が震える。


「敵なら焼けました」

「襲ってくるものなら、止められました」

「でも、病には届かなかった」


そこで初めて、声がひび割れた。


「妹が苦しんで、痩せて、声も出なくなっていくのを……」

「私は、ただ見ていることしかできなかったんです」


ユキトは、黙って聞いていた。


慰めの言葉も、軽い相槌も、今は違う気がした。


ヴォルカは自分の手を見つめる。

炎を生み出せる手。

何千もの敵を焼き払える手。

それなのに、あの時は何一つ掴めなかった手。


「外ではもう広まっていたんです」


ぽつりと落ちる。


「人間も、竜も、関係なく……もう、あちこちで」


ユキトの呼吸がわずかに止まる。


「だから全部、焼きました」


声は小さい。

けれど、その内容はあまりにも重かった。


「命を守るためなんかじゃ、なかったのかもしれません」

「思い出したくないから」

「もう二度と、あんなふうに弱っていくのを見たくなかったから」


ヴォルカは唇を噛んだ。


「身勝手な理由で、全部」


涙がまた落ちる。


「私は、そういう側なんです」


そこで一度、言葉を飲み込む。

それでも、もう止まらなかった。


「私は……あなたより、周囲にずっと酷いことをしました」


その告白は静かだった。

静かすぎて、余計に重かった。


「以前、ミラさんのことを見て、あなたを責めました」

「最低だと思いました」

「本当に、そう思ったんです」


「……ああ」


ユキトは短く答える。


「でも」


ヴォルカの目から涙が落ちる。


「責める言葉の半分は、そのまま昔の私にも返ってくるものでした」

「私があなたを裁くみたいに責める資格なんて、最初からなかった」


ユキトは少しだけ首を振った。


「そんなことは――」


「あります」


ヴォルカは遮った。


「あります」


強く言ったくせに、その最後はひどく弱かった。


「……本当に今は、出たことを後悔しています」


その言葉に、ユキトの眉が寄る。


ヴォルカは急いで続けた。

言わないと、その言葉だけが本心みたいになるのが怖かった。


「ここまで痛い思いをするくらいなら、封印の中にいたままの方がよかったんじゃないかって」

「そう思ってしまうんです」


言葉が乱れる。


「だけど、あなたたちと出会って」

「みんなといて、毎日楽しくて」

「だからずっと、忘れたふりをして、見ないふりをして……」


声が途切れる。


「でも、今日……無理でした」


その一言は、今までで一番か細かった。


しばらく沈黙が続いた。


ユキトは少しだけ近づく。

ヴォルカは逃げなかった。

ただ、泣きながらそれを見ている。


「……だから」


ヴォルカは、ようやく言った。


「私は抜けます」


ユキトの目が細くなる。


「恋人も」

「この輪の中も」

「もう、ここにいちゃいけないです」


言葉ははっきりしている。

覚悟を決めた声だった。


けれどその奥では、別の何かが軋んでいた。


これで終わらせなければいけない。

自分から離れなければいけない。

そう思っている。


そのくせ、心のどこかでほんの少しだけ、終わってほしくないとも思っている。

引き留められたいと願ってしまう自分が、どうしようもなく醜く思えた。


だからこそ、今ここで切らなければならない。


ヴォルカが唇を開く。


「私はもう――」


最後まで言わせなかった。


ユキトは一気に距離を詰めた。


反射的にヴォルカが半歩下がる。

けれど、すぐ背が壁に触れた。


逃げ道がなくなる。


ユキトはその細い顎を片手で軽く持ち上げ、そのまま唇を塞いだ。


強引だった。

優しさはあった。

けれど、それ以上に、終わらせないという意志の方が強かった。


ヴォルカの目が見開く。

息が止まる。

肩が大きく震える。


離れようとするより先に、頭が真っ白になった。

何を言おうとしていたのかも、一瞬で飛ぶ。


ユキトはすぐには離さなかった。


逃がさないように。

もう勝手に自分を切らせないように。

泣いたまま全部を終わらせることだけは、させないように。


壁際に追い込んだまま、唇を重ねる。

ヴォルカの呼吸が乱れる。

指先が行き場をなくしたように揺れて、やがて震えながらユキトの服を掴んだ。


ようやく唇が離れた時には、ヴォルカは浅く息をしていた。


目の前が滲んでいる。

頬が熱い。

言葉が、うまく出てこない。


それでもユキトは近いままだった。


「お前が本気を出せば、俺なんて一瞬でバラバラだろ」


ヴォルカが息を呑む。


「でも、お前はそうしない」


「……っ」


「できないんじゃない。しないんだ」


その言葉は慰めではなかった。

ヴォルカの逃げ道ごと塞ぐような、まっすぐな断定だった。


「だったらお前は災厄なんかじゃない」


ヴォルカの喉が震える。


ユキトはさらに続けた。


「前にも言っただろ」

「何があっても俺がフォローするって」


雷竜を救いに行った、あの時の言葉。


ヴォルカの目が揺れる。


あの時、自分はあれをその場限りの言葉だと思っていた。

あの戦いのだけのことだと。

その場で信頼されたから、応えた。

ただ、それだけのことだと思っていた。


ユキトの声は低いまま続く。


「あれはあの場だけの話じゃねえ」

「今回限りでもねえ」


ヴォルカの呼吸が乱れる。


「お前が壊れた後まで含めて言ってる」

「一生だ」


そこで、何かが完全に崩れた。


ヴォルカは一歩も動けなかった。

ただ、目の前の男を見た。


あの時の言葉は、その場の覚悟じゃなかった。

今ここで慰めるための言葉でもなかった。


最初から。

あの時から。

この人は、そのつもりでいたのだ。


自分だけが、勝手に短く受け取っていた。


涙が溢れる。


「……ずるいです」


かすれた声だった。


「そんなの、ずるいです」


ユキトは何も言わない。


ヴォルカは唇を震わせたまま続ける。


「私、あの時……その場限りのことだと思ってました」

「信頼されたから、応えたんです」

「でも……あなたは、最初から……」


言葉が途切れる。


「ほんとは、終わってほしくなかった」


ぽろりと、本音が落ちた。


「引き留めてほしくなかったわけじゃないです」

「そんなことを思う自分が嫌で、醜くて、だから自分から切るしかないって……そう思ったのに」


嗚咽が混じる。


「それでも……止めてほしかった」


そこでユキトは、ようやくヴォルカを抱き寄せた。


今度はキスで止めるためじゃない。

完全に崩れた相手を、支えるための腕だった。


ヴォルカはユキトの服を掴む。


強くはない。

でも離す気のない手だった。


ユキトは低く言う。


「今さら気づいたのかよ」


泣きながら、ヴォルカが少しだけ笑う。

ひどく情けない顔だった。

でも、そこにさっきまでの絶望はなかった。


「遅い」


「……はい」


ユキトはヴォルカの頭を抱くようにして、続けた。


「お前たちだって、俺がミラに最低なことをした時、最後まで見捨てず向き合ってくれただろ」


ヴォルカの肩が小さく揺れる。


「なら俺も、その思いに応えたい」


声は低いまま、けれど前より少しだけ柔らかかった。


「罪は消えないかもしれない」

「でも俺も一緒に背負う」

「一緒に悩んで、一緒に苦しむから」


ヴォルカが顔を上げかける。


ユキトは、逃がさないように見た。


「それにお前、言っただろ」

『だからって一人にしていい理由にはならない』って」


ヴォルカの目が揺れる。


以前、自分が言った言葉だった。


「だから今度は、俺にも返させてくれ」


その一言で、ヴォルカはとうとう声を上げて泣いた。


泣き方は綺麗じゃなかった。

ずっと見ないふりをしてきた痛みと、今ここで差し出された救いの両方に耐えきれないみたいに、ぐしゃぐしゃに泣いた。


ユキトは何も綺麗にまとめなかった。

許したとも、正しかったとも言わない。

ただ、最後まで抱きしめていた。


夜は、まだ静かだった。


どれくらい時間が経ったのかは分からない。


ヴォルカがようやく落ち着いた頃には、泣き疲れて目元も声もひどいことになっていた。

それでも、さっきよりずっと生きている顔だった。


ユキトは立ち上がる。


「……少し休め」


ヴォルカは小さく頷いた。


「……はい」


返事は弱い。

だが、その弱さの中に少しだけ安心が混ざっている。


ユキトが扉を開ける。


廊下は静かだった。


ネムリアの姿は、もうなかった。


少し前まであった気配すら、綺麗に消えている。

ユキトが行ったなら大丈夫だろう。

そう判断して、とっくに寝たのだと分かる消え方だった。


そして廊下に残っていたのは、フローラだけだった。


静かに。

にこやかに。

逃げ道を塞ぐような位置で立っている。


「……フローラ」


「お疲れさまでした」


やわらかい声だった。

やわらかいのに、妙に嫌な汗が出る。


フローラは微笑んだまま、少しだけ首を傾げる。


「それで?」


ユキトの背筋が冷えた。


「……何が」


「私が一番最後ですか?」


にこやかだった。

にこやかすぎて怖かった。


「い、いや、その……順番とかそういう話じゃ――」


「ええ、怒ってはいません」


即答だった。


ユキトがほんの少しだけ安堵しかけた、その直後。


フローラの笑みが深くなる。


「ヴォルカに必要だったのでしょう?」

「それは分かっています」


「……お、おう」


「ですが」


その一言で、空気が締まる。


フローラは一歩だけ近づいた。


「この後、場を整えもせず」

「安いキスで済まそうとするなら」


にこり、と笑う。


「その時は、本気で怒りますからね?」


ユキトは青くなった。


完全に読まれていた。

何なら、ほとんど最初から見抜かれていた気さえする。


フローラはすっと手を伸ばし、逃がさないようにユキトの肩を掴む。


「私とも、少々お話があります」


「待って、今のはちゃんと事情が――」


「ええ、もちろん伺います」


花のように綺麗な笑みだった。

だからこそ、逃げ道がない。


「私の部屋で」


終わった、と思った。


そのままユキトは、まともに抵抗もできないまま、フローラに連行されていった。


半開きの扉の向こうで、ヴォルカが小さく息を呑む気配がする。

たぶん少しだけ申し訳なく思っていて、

たぶん少しだけ、安心もしている。


静かな廊下には、それ以上の言葉は残らなかった。







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