91 ピザパン作り
マリーはチーズパンがいいと言っていたので、チーズパンをメインで作ろうかな。
そういえばトマトもあるから簡単なトマトソースならできるし、これならピザパンが作れるか。
まずはトマトソースづくり。
と言っても材料がそんなにないのでトマトと塩と玉ねぎだけで作る簡単なものだ。
最初に玉ねぎをみじん切りにして、オリーブオイルはないのでバターで軽く炒める。
次にトマトのへたを取って皮をむき、小さく切ってそのまま玉ねぎの入っている鍋に入れ、塩を少し入れて煮る。
沸騰したら弱火で10分弱ほど煮詰めて完成。
トマトソースが完成したら他の食材の準備をする。
ジャガイモとお肉をスライスしておき、ピーマンの種を取って縦に細切りしていく。
乗せる具材の準備できたので、パンを少し厚めに切っていく。
スライスしたパンにトマトソースを乗せ、その上に他の具材も乗せていき、細かくしたチーズを散らしていく。
前回窯を作ったので、広めの台を作ってその上に窯を置く。
火魔法を設置したらパンを天板に並べて窯に入れ、蓋をする。
その間にサラダを作っておこう。
キュウリとキャベツと人参、あとコーンでいいかな。
レタスが欲しいけどまだ見かけてないんだよね。
あ、リンゴを小さく切って入れてあげようか、リンゴサラダだ。
近くで見ていた皆を座らせ、洗浄魔法で手をキレイにしてサラダと水、フォークなどを皆の前に並べて行く。
途中で戻って来たマリーと、一緒に連れられてきたデイジーもいる。
窯を開け、チーズがいい感じでとけてるのを確認して大皿に乗せていく。
多分足りないので追加で窯に入れて蓋をする。
大皿をテーブルの中央に置いて私も椅子に座る。
「今日はトマトソースのピザパンを作ったよ」
サクラ以外はピザに視線がくぎ付けで、私の話を聞いていないようだ。
「熱いから気を付けて食べてね? 聞こえてる?」
「食べていい?」
最初に反応したのはマリーだった。
「いいよ。 でも熱いからね? 気を付けて食べてね」
「わかったわ!」
マリーがピザパンを手に取ると、続いてデイジーも手を伸ばす。
それを見てリーアやサクラも手を伸ばす。
「あっつ!」
「だから言ったでしょ・・・・・・」
最初に食べ始めたマリーがあまり冷まさなかったようで口を押えている。
何をわかっていたのか。
しかしそれを物ともせず幸せそうに食べるデイジー。
ほんと熱さに強いね。
リーアとサクラはマリーの反応を見て、冷ましながら少しずつ食べている。
「トマトの酸味とチーズがすごく美味しい」
「トマトをこんな食べ方するのは初めて見ましたが、とても美味しいです」
みんなを眺めながらサラダを食べていた私もピザパンを食べてみる。
うん、少ない調味料で作ったわりには美味しくできてる。
マリー以外は熱さになれたのか、結構な速度で食べていく。
サラダが全く手つかずだけど。
次に焼けたピザパンは大皿に乗せて収納しておく。
先に生野菜を食べさせないとね。
更に第3弾を窯に入れて焼いておく。
これは収納で保管用。
「ユリア、パンのお代わりは?」
「先に野菜を食べてからね。 ピザだけだと栄養偏るからちゃんと野菜を食べてね。 食べやすいようにリンゴも入れてあるから」
私に言われてみんな野菜を食べ始める。
「やっぱりユリアの所は野菜も美味しいのよね。 ユリアの家に住みたいわ」
「わたしもいくー」
姉が変なこと言うから妹も便乗してしまった。
と言うか、いつも同じこと言ってる気がする。
皆がサラダを食べ終わったところで保管用と思っていた第3弾が焼けたのでそれを空いた大皿に乗せていく。
それをテーブルに持っていこうとした時、扉をノックされた。
「誰ですか?」
「俺だ。 アンドレもいる」
「王様と料理長さんですか? どうぞ」
そう言うと王様とアンドレさんが入ってくる。
「わざわざこんなところまで・・・・・・何かありました?」
アンドレさんが来たという事は料理がらみの事だよね?
「マリーが『デイジーと一緒に夕食はユリアの作った料理を食べるからいらない』とアンドレに言ったと聞いてな」
「あ、もしかしてもまずかったですか?」
「いや、うまそうな物があれば俺も食べてみたくてな。 アンドレも気になったみたいでつれてきた」
今回は1人1個とかではないので、数はある。
でも、マリーやデイジーの分を食べると思っていた王様までこっちで食べたら、王子1人で4人分食べるの?
「まだあるので食べるのはいいですが、王族3人もここで食べると、もともと作ってた料理は大丈夫なんですか?」
「それは問題ない。 他の者が食べるだけだから捨てたりはせん」
マリーと同じ答えが返ってくる。
王族用の料理を使用人の人たちが食べるのかな?
「無駄にならないのなら別にいいです。 席を用意しますね」
王様とアンドレさん用にテーブルを出して椅子も2つ用意する。
しかしアンドレさんは、王様と一緒の席に座るわけにはいいかないから床で食べるとか言い出した。
床が汚れるし、気分的にもいじめてるみたいな気になるからやめて欲しい。
幸い王様が今は気にするなと席に座るように言ってくれたので、アンドレさんも座ってくれた。
持っていた大皿はマリーたちの方に持って行って、王様たち用のサラダや食器の準備をする。
準備が終わったら収納してた大皿を真ん中に置く。
予備用に焼いてた物が無くなってしまった。
王様たちの分を並べ終わって席に戻ろうとしたら、ピザパンを眺めながら王様が話しかけてくる。
「これが新しい料理か?」
「新しいというよりは、初めてお城に呼ばれた時に作ったチーズパンの完成形、でしょうか?」
「あれもうまかったが、未完成だったのか」
「うーん、チーズパンはチーズパンでありますけど。 あの時作ったのはこのピザパンからトマトソースを抜いた物として作ったので、私の中ではこのピザパンがあの時のパンの完成形と言うだけですね」
だからあの時はチーズだけじゃなくてジャガイモやお肉を乗せていた。
「あの時のパンの完成品か、それは楽しみだ。 アンドレ、頂くとしよう」
「ご相伴させていただきます」
「熱いのでマリーみたいにならないでくださいね」
「何で私を引き合いに出すのよ!」
マリーの反応に王様も笑いながらピザパンを食べる。
アンドレさんは真剣な表情で、トーストをいろんな角度から見たり匂いを嗅いだりしながら、少しずつ齧っていく。
「トマトとチーズの相性が素晴らしいな。 これだけトマトが乗っているからひたすら酸っぱい物だと思っていたが、チーズと一緒に食べると酸味が心地よくなるな・・・・・・いやぁ、本当にうまい」
「このトマトに混ざっているのは玉ねぎでしょうか? かすかに食感が残っていて味だけでなく食感も楽しめますね。 これはお城でも作れるのでしょうか?」
王様に聞かれると思ってたけど、アンドレさんに聞かれた。
「チーズとジャガイモがあるなら作れると思いますよ。 他はトマト、玉ねぎ、お肉、あとは彩り用のピーマンだけですので王都でも買えます。 調味料は塩を少しと、バターを使ってますがバターは無くても大丈夫です」
「チーズとジャガイモはありますね。 他の材料もお城にありますし、試行錯誤して再現できるように頑張ります」
「これからもう1回作りますからソースから教えましょうか?」
「よろしいのですか?」
「簡単ですしいいですよ」
さっきのソースもまだ残ってるけど、教えるために一から作っていく。
途中窯で焼いてる間は席に戻って自分の食事をしてもらった。
「これで完成です。 わかれば簡単ですよね」
新しく焼けたものは王様たちのテーブルに運ぶ。
案の定足りなかったらしい。
「工程としては簡単ですし早くできますね。 それにしてもリンゴといいトマトといい、このような液体状にしてしまうのは考えつきませんでしたね。 これだけ美味しくなると他の物でも試したくなりますね」
「王都で売ってる物だとあとはビワやイチゴの果物系でしょうか? リンゴのようなジャムにできますよ、砂糖はお好みで。 他の野菜はどうでしょう・・・・・・」
他の野菜だと野菜ジュース的な物しかできないんじゃないかな?
私の知識がないだけだと思うけど。
果物だと普段はジャムにするよりそのまま食べたいかな。
ジャムは選択肢の1つとしてあるといいねって感じだし。
そのまま食べる場合、今持ってる中ではリンゴが一番好きだけど、リンゴに飽きてもびわを食べるので、イチゴは収穫したまま収納に眠っている。
イチゴジャムとかイチゴ牛乳とか作って食べようかな。
ケーキが作れればイチゴのケーキが作りたいんだけど、生クリームがネック過ぎる。
「ビワとイチゴですか、それも試してみたいですね。 ユリア殿が来てから作れる物が増えて料理をしていて楽しいです。 ジャガイモが食材に追加されてから、スープにジャガイモを入れたものが好評なんですよ。 ありがとうございます」
「スープに入れても美味しいですよね。 ジャガイモは焼いて塩を振るだけでも美味しいですし」
「チーズパン以外では焼いた物は作ってませんでしたね。 今度作ってみます」
「一口サイズに切って焼いたものに塩振るだけでいいので簡単です。 そこに玉ねぎやお肉を入れると尚美味しいですよ」
ジャーマンポテトのような物。
胡椒はないけど。
「なるほど、参考にしてみます」
再度食べ始めた王様とアンドレさんたちの席から移動して、シアの所に行き抱っこしてあげる。
「終わったの?」
「あとはみんなが食べ終わったら片付けるだけかな」
子供たち4人を見てみると、デイジーとマリーが食べすぎたのか苦しそうにしている。
サクラはちゃんと自制してたみたいで平気そう。
リーアはお姫様の前だからかそこまで食べてないみたいだ。
「ユリア、リンゴのシュワシュワしたの頂戴」
「わたしもー」
マリーの要求にデイジーも便乗する。
「そんなに満腹な状態で炭酸飲んだら余計に苦しくなるよ。 少し落ち着いたらね」
「うー・・・・・・」
マリーが椅子に寄りかかってお腹をさすりながら呻いている。
いいのかお姫様。
でも王様は特に何も言わないからいいのかな?
しばらくして落ち着いたマリーとデイジーに炭酸ジュースをあげて、それが気になっていたサクラとリーアにもあげる。
2人とも炭酸にびっくりしてたけど慣れてからは美味しそうに飲んでいた。
大人組が食べ終わったところで夕食はお開きになり、私は全部収納していく。




