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71 王様とカーミトの街についての話し合い

「デイジーとマリー以外にもいたんですね」



 王様の年齢を知らないけど、見た目通り40歳くらいだとすれば、11歳のマリーの上にもう1人2人いてもおかしくないか。



「父上、この失礼な少女はいったい誰なんですか? 冒険者だというのはギルドカードで確認しましたが、とても強そうには見えません」



 少し苛立ちながら王様に詰め寄る。

 今まで我慢してた不満が爆発したようだ。

 王様の呼び方も周囲を意識した「陛下」呼びじゃなくて家族同士の「父上」呼びになってるし。


 まあ私を初めて見て強い冒険者だと思う人は世界中探してもいないだろうけどね。



「人は見かけで判断しない方がいいぞアルフ。 ユリアが本気を出したらこの城の騎士たちが束になっても勝てないだろう。 それほどの偉業を成し遂げた冒険者だ。 それに食料についての知識も豊富で、国に大きく貢献する情報をもたらしてくれた」

「僕をからかっているのですか?」

「からかってなどいない、本当の事だ。 前に話したジャガイモやチーズの情報もこの前のリンゴの酒もユリアの知識によるものだ。 それにカーミトの街の魔物を単独で討伐したのもこのユリアだ。 魔物は俺も確認しているしな」



 説明されても納得していない表情で私の方を睨む少年。

 この少年が信じようが信じまいがどうでもいいので話を進めたい。


 少年とか言ってるけど、私より当然大きい。

 たぶん今の私の年齢より上じゃないかな。



「私の事を信じなくてもいいので、話を進めていいですか?」

「ああ、すまんな。 報告を頼む」



 私の言葉でさらに機嫌を損ねたようでずっと睨まれている。 

 しかし私は気にせずそのまま話を進める。



「まずカーミトの街ですが、精霊たちを新たに雇って整地してるところです。 結構範囲が広いのでまだまだ時間はかかると思いますけど」

「精霊をそんなことのために雇っているのか・・・・・・しかし追加で雇うなんてそんな事して大丈夫なのか? 精霊との契約はかなり魔力を消耗すると聞いたことがあるぞ?」

「今の所問題ないですね。 雇うと言ってもお手伝いを呼んだだけですし」

「そうなのか。 という事は前ユリアの家に行った時、見かけた精霊たちはそのお手伝いという事か?」

「ですね。 その子たちはそのままうちの畑にいて、新たに8人雇って整地してます」

「合計12人も精霊が・・・・・・そういえばさらに大きな精霊もいたな」



 精霊の数に王様が少し呆けているが構わず話を続ける。



「今整地しながら無事そうな物を回収してるので、整地が終わったら一度ここに持ってきますね」

「無事な物?」

「貴重そうな物、ですかね? アクセサリーなど身に着ける物や貴金属や宝石、工芸品などでしょうか。 硬貨もありましたし、家具でも高そうな物で無事な物は回収しておこうと思います」



 壊れた家具や建物で木製の部分は加工して木材として収納に入れてある。

 必要になってから集めに行く必要がなくなるし。



「もうカーミトの街はユリアに譲ったのだ。 そこで手に入った物は好きにしてかまわんぞ?」

「一応国として保管しておきたい物があるかなと思ったんですが、いらなければ私が回収しておきますね」



 回収しても私もいらないから、新しく領主になるサクラにあげるか、収納の肥やしになるだけかな。



「あー、書類の類が残っていれば欲しいな。 金になりそうな物であれば街の復興に使ってくれ」

「わかりました、書類関係も集めておきます。 それ以外の物は新しい領主に丸投げするとします」

「なんだ、ユリアはいらんのか?」

「うーん、今の所見つかった物って宝石だとかのアクセサリーや金でできた道具だったり絵やお金なので特別欲しくはないですね。 面白い魔道具とか武器とかあれば欲しいですけど」



 宝石やアクセの類が嫌いなわけではないし、どちらかと言えば好きだけど。

 この世界のアクセはあまり可愛くない。

 可愛さよりゴージャスさ重視のような物ばかりなんだよね・・・・・・



「本当に変わっているな。 まあいい、書類以外はユリアの好きにしてくれ。 それで領主の話を聞いてもいいか?」

「カーミトの領主の娘って知ってますか?」

「カーミトの領主の娘は・・・・・・サクラ、だったか? 最後に会ったのが何年も前だし小さかったからあまり覚えていないが。 生きているのか? 街のゴタゴタの時に行方不明になったと聞いてもう亡くなっているものだと・・・・・・」



 サクラの事は知ってるみたいだけど、どこにいるかわ知らないのか。

 ロイドさんは話してなかったのかな?

 もしかしたら街を失って貴族じゃなくなったから話さなかったとか?



「サクラはモウイの街の孤児院にいますよ。 私はサクラがカーミトの街を復興したいと言ってたので、そのお手伝いをしてるんです。 お手伝いと言っても勝手に話を進めてましたけど」

「という事はそのサクラが新しい領主という事か?」

「そうですね。 本人も母親の後を継げるなら継ぎたいと言ってましたし」

「なるほどな、領主の娘なら資質として問題はない。 まだ幼いだろうし知識に関してはこれから蓄えていけばいいだろう」

「それで前に言ってた教育ですが、場所をどこにするかの相談をしたかったんです」



 教育を孤児院でやるわけにもいかないから、リーアの家の一室を借りるのが現実的かな。

 サクラが嫌でなければ毎日お城に来てお勉強してもいいけど。



「ユリアのゲートは知っているのか?」

「まだ知りませんが、教えてもいいかなとは思ってます」

「それなら城で教育するのがこちらとしては人員の移動が無くて助かるな。 娘の教育係にそのままサクラの教育もさせることができる。 一応優秀な教育者を見繕ってはいるが、娘たちの教育担当がこの城で一番優秀だからな」



 お姫様と同じ人に教育を受けられるのは、サクラにとっても美味しい話じゃないかな?

 お城で一番って事はこの国で一番の教育を受けられるって事だよね?



「ならサクラにはお城で教育を受けるように説得してみます」

「他にカーミトの街について何かあるか?」

「他には・・・・・・あ、この国って孤児院はどのくらいあります?」

「孤児院? 孤児院は各街にあるぞ。 街で孤児になった者はもちろん、村で孤児になった者も領地内の街にある孤児院に入ることになっている」

「なるほど・・・・・・その孤児をカーミトの街に集める事ってしても大丈夫ですか?」

「孤児院の維持にも金はかかるから、正直なところ手放せるならどの街も手放したいだろう。 特別国から支援金を出してるわけでもないしな。 だから孤児を集めても街の負担が大きくなるだけだぞ?」



 私はカーミトの街に孤児用の小さな学校でも作ろうかと思っている。

 簡単な読み書き計算と畑仕事、できればいろいろな職業体験もできたらしたいけど、それは街に来る職人たちが受け入れてくれるかかな。



「将来的に安定してきたら孤児院だけで運営してもらいたいですけど、しばらくの間は私が全体的に負担するつもりです」

「そんなことしてユリアに何の得があるんだ? 自分の子供でもないのに面倒を見るのか?」

「私は子供が好きなんです。 だから子供たちに幸せになってほしいんですよ。 毎日生活できるお金を渡すだけじゃなくて、大きくなってからもちゃんと生きていけるようにしてあげたいんです。 親のいない孤児たちは冒険者になるしかないと聞きました。 もちろんそれが本人の意思ならそれも良いです。 でもやりたくない子も結構な数いると思うんですよ。 でも仕事がないから仕方なく冒険者になるしかない。 だから私は冒険者以外の道を作ってあげたいんです」



 途中から身を乗り出して語ってしまい、王様たちも少し気圧されている。

 私は元の位置に座り自分を落ち着かせる。



「ユリアの子供たちを想う気持ちはわかった。 もしカーミトの街に大きな孤児院ができたら、俺の方から各街に孤児を集める御触れを出そう」

「ありがとうございます」

「なに、ユリアがどんなことをするのか興味もあるからな。 協力しようという気持ちと好奇心半々といったところだ」

「それは失敗できませんね」



 私は笑顔で王様に答える。

 学校の先生は各街で今孤児院の先生をしてる人たちにお願いできるかな?

 もしダメなら王様に人を借りれるだろうか?

 サクラの教育者を見繕ってくれてるわけだし、その中から来てくれるい人がいるかもしれない。

 まあその時に聞けばいいか。



「カーミトの街についてはこのくらいだと思います。 あとは整地とサクラの教育が一段落してから・・・・・・ですかね?」

「教育係には今日中に伝えておくから、明日以降であればいつからでも構わんぞ。 もし城で教育を受けないのであればまた連絡をしてくれ。 別の教育係を手配する」

「わかりました」

「では次はこちらからの話だな。 ルドルフ、買取一覧の書類を持ってきてくれ」



 王様の指示で近くにいたおじさんが机に戻り、一枚の紙を持ってくる。

 すぐに出せるように用意してあったみたいだ。

 さすが王様のそばに居る人だね。


 書類を受け取った王様はそのまま書類を私の前に置く。



「これが今回の各部位の単価と売上金額だ、確認してくれ」



 そこにはお肉や牙や骨などの材料がどれくら取れて、それぞれ単価がいくらになったかが書いてあった。

 牙などの単価が高いけど、お肉の取れる量が多くてお肉の合計金額だけやたら高いね。

 いや、数字だけに気を取られていたけど単位ががそもそもおかしい。

 単位が金貨な上に、全部4~5桁だ。



「それなりの値段になったと思うが、不満があれば再度調整しよう」

「いえ、ずいぶん高く売れてるなと。 相場の無い物だから商人とかに買いたたかれるかもとか思ってたので」

「さすがに国が仕切っていた値付けだからな。 そんなことする商人はいないだろう。 この金額で清算して構わんか?」

「はい、お願いします」

「見ての通りの金額だがどうする? そのまま持っていくか? それともギルドカードに入れるか?」



 そういえばサクラと一緒に金貨を入れたけど、使ってないや。

 ギルドカードでも支払いできるんだっけ?

 全部のお店で使えるわけじゃないけど、自動で引き落とされるから楽そうではある。

 でも収納してるからお金を持ち歩くことは問題ないんだよね。 

 いや、逆に手持ちはあるからカードに入れててもいいのか。



「カードで買い物とか支払いをした事無いんですけど、カードの難点てあります?」

「そうだな・・・・・・使えない店がある、くらいか? 村だと使えないことが多いからある程度は持ち歩く必要があるな」

「収納できるので、それなら自分で持ってたほうがよさそうですね」

「定期的な支払いがカードでできるから、今後孤児院や街の事をするならカードに入れておいてもいいんじゃないか?」



 定期的な支払い?

 毎日食材を持ってきてもらう契約とかした時に自動で払ってくれるのかな?

 それは楽だけど支払いの信用はあるんだろうか?

 知らないところで勝手に引き落とされるとか怖いんだけど。

 この世界セキュリティ緩そうだしな・・・・・・



「自動支払いって勝手に引かれるんですよね? 信用できるんですか?」

「定期支払いの管理は商業ギルドの方でやるし、自動支払い自体は水晶版で指定した日時に指定した金額しか支払われない。 だから勝手に金が無くなることはないからそこは安心していいぞ」



 その商業ギルドが信用できるのかわからないんだけど。

 一国の王様が信頼しているなら大丈夫なのかな?



「それならとりあえず半分だけカードに入れてもらってもいいですか?」

「わかった。 ルドルフ、登録の水晶板を持ってきてくれ」



 王様に言われて再度机に向かうおじさん。

 机の引き出しからよく見る水晶板を持ってくると、王様の前のテーブルに置く。



「ここにカードを置いてくれ」



 水晶板のカードを置く部分を指さすので、私は言われた通りにカードを置く。

 すると王様が水晶板を操作して、しばらくすると水晶板をこちらに向ける。

 そこには数字が表示されていた。



「この金額をこれからカードに登録する。 先程の書類の金額と照らし合わせて確認してくれ、問題が無ければ登録する」



 言われた通りにさっきの書類の金額を確認する。

 さっき単価と数量から各合計金額は確認したので、今度は書かれた金額を足していき、最終合計金額に間違いがないかを確認した後、その金額の半分が水晶板に表示されているのを確認する。



「大丈夫です」

「本当に確認したのか?」

「はい、各金額を足して合計金額に間違いがないかの確認と、水晶板にその半分の金額が表示されているかを確認しました」

「紙もペンも使わず暗算だけで計算したのか、ずいぶん早いな」



 そこまで暗算が得意なわけではないけど、これでもこの国では早い方なの?

 いや、学校とか無いし、学がある平民が珍しいのかな?



「まあいい、確認したなら登録しよう」



 王様が再度水晶板を操作するとすぐに登録が終わり、カードを返してくれる。

 返してもらったカードを確認してみるとさっきの金額+最初サクラと一緒に入れた金貨の合計が入っていた。

 ちゃんと登録されたみたいだ、それよりも気になるものが追加されている。

 名前やランクなどの情報が書かれていた下にどこかで見たような絵が描いてあった。

 どこで見たんだっけこれ・・・・・・



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