70 謎の少年貴族
孤児院に着いた私は、裏に回りサクラを探す。
ちょうどブランチの時間が終わった後だったようで、子供たちが外に出てきた。
私に気付いた子供たちが挨拶をして、そのまま遊具の方へ遊びに行く。
その中にサクラもいたので、話があると呼び止め、孤児院の中に入る。
誰もいなくなった食堂で話をすることにした。
「今日はどうしたの? 回収した卵は小屋に置いてきたけど」
「卵の話じゃなくて、今日は大切な話があって来たの」
「大切な話?」
私のまじめな表情を見てサクラもまじめな表情になる。
「前にカーミトの街の話をしてたよね? 復興したいって」
「うん。 いつになるかわからない、というか無理だとは思ってるけど、復興できたらいいなって」
「もし復興したらどうするの? 領主になるの?」
「もう貴族じゃないから領主にはなれないかな。 復興できれば私はそれだけで・・・・・・」
「領主を継げるなら継ぎたかった?」
「うん。 街にいたのは小さい頃だったけど、私も街は好きだったし、お母様の後を継ぎたかった・・・・・・」
街に居た頃を思い出したのか、少し寂しそうにするサクラ。
領主になる気はあるみたいでよかった。
「ならサクラ、領主になってみない?」
「え?」
「実はカーミトの街なんだけど、もう魔物も倒して今整地してるところなんだよね。 で、王様には私が選んだ人に領主をしてもらう約束をしてるから、サクラに領主をやる気があるならお願いしようと思ってるんだけど」
「へ?」
サクラは目を丸くしたまま固まってしまった。
まあいきなり言われても意味わからないよね。
何度か呼びかけたり目の前で手を振っていたら正気に戻ってくれる。
「えっと、冗談、じゃないんだよね?」
「冗談じゃないよ。 魔物もちゃんと倒してきたし最近はディアたちと壊れた建物を取り壊して整地もしてる。 王様にもちゃんと話は通してあるよ。 あ、サクラが受けてくれるかわからなかったから、王様にサクラの名前は出してないよ」
「いきなりでまだ現実感が無いんだけど・・・・・・でもいきなり領主は無理だと思う。 まったくお勉強もしてないし・・・・・・」
「そこも大丈夫。 王様に教育係とか呼んでもらえるように頼んであるから」
「国王様にそんなこと言えるなんて、ユリアちゃん本当はどこかの国のお姫様だったり?」
「なんでみんな同じこと言うの、普通に一般人だよ。 ただ王様と話す機会があっただけ」
みんなが同じ反応するのでため息が出る。
「それで、今準備が進んでる状態だけど、まだ完成には時間かかると思うの。 だからそれまでに心の準備と、もしできるなら王様に頼んで領主の教育を受けない?」
私の提案にサクラは目を閉じて思案している。
それから数分して目を開く。
「わかった。 早い方がいいんだよね? 私、教育を受ける。 私のためにそこまでしてくれてるのに、それに答えないわけにはいかないよね」
私としては街の管理とか面倒、というかできないし、だれかやってくれないかな?と思っていただけだ。
サクラに押し付ける感じに話を進めてたけど、本人もやる気なんだしいいよね?
「なら王様には話をしておくね、どうなるかわかったらまた来るから」
サクラが領主になるのを了承してくれて、教育も受けると言ってくれた。
なので、王様にも話をしないといけない。
街で私の土地をどうするかと、孤児たちを街に集める話は今度でいいかな。
今話しても余計混乱させそうだし。
話が一段落した所で、孤児院を後にする。
孤児院から家に戻った後、一度カーミトの街に行き、ディアたちとお昼を食べる。
昼食後は畑の水撒きなどを手伝い、少し時間を潰してからお城に向かう。
お城が昼食の時間の可能性もあるからね。
カーミトの街からそのままお城のゲートに繋いでお城に行くと、部屋の家具は奇麗になくなっていた。
せっかくお城に来たので、デイジーとマリーの部屋に来たことを告げに行ったけど、2人ともいなかった。
仕方なくそのまま王様の所に行こうと思ったけど、王様の場所がわからない。
私はこのお城で行った場所は謁見の間と門から自分の部屋までの道だけだ。
そしてもう謁見の間までの道は忘れているし、ゲームじゃないんだから普段から謁見の間なんかにいないよね。
「どうしようかな。 このまま歩いてたらメイドさんや騎士の人に会えるだろうか・・・・・・」
しばらくうろうろしているけど、誰にも会わない。
警備手薄過ぎない?
見回りの騎士にも会わないんだけど・・・・・・
そのまま何度目かの曲がり角を曲がった時、やっと人に会えた。
見た目はいかにも貴族ですよと言わんばかりの豪華な服装の少年で、壁に寄りかかったまま手元の書類を見ている。
10代半ばくらいかな?
貴族ってかっこいい人や可愛い人多いよね。
私はその人に近づき話しかけることにした。
「こんにちは。 道に迷ってしまったんですが、王様の場所を教えてもらえませんか?」
書類を見ていた少年は私の方を見ると鋭い目つきで睨みつけてくる。
あれ、もしかして怪しまれてる? まずい?
「君は誰かな? 僕の事を知らないのかい?」
「えっと、私は冒険者のユリアです。 あなたとは多分初対面だと思います」
「ふむ。 城で冒険者を名乗ると言う事は貴族ではないんだよね? 何で城にいるのかな? 侵入者・・・・・・には見えないけど」
少年が私の格好を確認している。
「王様にお願いしたいことがあったので会いに来ました。 忙しいようであれば日を改めるので、いつならいいかを聞きたいんですけど」
私の言葉を聞いた後、ため息とともに目を閉じ、再び睨むように私を見る。
「わからないな。 一般人である君が国王陛下にお願い? そんなことができると思っているのか?」
「王様からは手を貸すとは言われてますのでたぶん? あれが社交辞令の可能性もゼロではないですが。 その場合は普通に諦めます」
「身分証を見せてもらえるかな?」
言われた通りギルドカードを見せると、カードを受け取ってみた少年が驚いている。
「13歳でランクB? ふむ・・・・・・少し待ってくれ」
カードを返してくれた少年が懐からベルのような物を取り出して鳴らす。
少し待つとメイドさんが足早に近づいてくる。
「お呼びでしょうか、アルフレッド様。 と、そちらにいらっしゃるのはユリア様ですね」
この人はアルフレッドと言うらしい。
「なんだ、このお嬢さんを知っているのか?」
メイドさんは私の事を知ってるようだけど、私はこのメイドさんを知らない、と思う。
前に案内してくれたメイドさんのだれかかな?
「はい、国王陛下のお客様でございます。 お城に来るようなことがあれば、優先的にお話を聞くようにと仰せつかっております」
「そうなのか、君が言うのなら本当なんだろう。 なら僕が直接陛下の元へ案内しよう。 こちらもちょうど向かうところだ。 ありがとう、君はもう下がっていいよ」
「失礼いたします」
私たちに頭を下げてメイドさんは去って行った。
「こっちだ」
アルフレッドさんは私についてくるように促すと歩いていく。
歩いてる間一言もしゃべらないまま部屋まで案内してくれる。
誰だろうこの人。
そのまましばらく歩くと少年は扉の前で止まり、ノックをして部屋の中に呼びかける。
「アルフレッドです、書類を持ってまいりました。 それと、お客様をお連れしました」
「おおアルフか、入っていいぞ」
部屋の中から許可が出たことでアルフと呼ばれた少年が扉を開けて中に入って行く。
私もその後について中に入っていく。
「アルフよ、ご苦労だったな。 書類はルドルフに渡してくれ。 それで、客というのは誰だ? 今日は人に会う約束はしてないはずだが?」
少年の後ろについていったから王様からは私が見えないようだ。
そんなに小さいかな私・・・・・・
私は少年の後ろから横に移動して挨拶する。
「こんにちは王様」
軽く手を振りながら挨拶をする。
隣から睨むような視線を感じる気がするけど、気のせいだよね?
「おおユリアか、よく来たな。 ここに来たという事は報酬の受け取りか?」
「いえ、例の領主の話が進んだのでその報告と相談に。 報酬の準備が終わっているならそれもついでに持っていきますけど」
「わかった。 おいルドルフ、書類は一旦休憩にしよう。 話を聞くからお前も来い」
「畏まりました」
立ち上がった王様が移動したので、どこか違う部屋に行くのかと思ったらソファに移動しただけだった。
隣のおじさんに「お前も来い」とか言うから別の場所に行くのかと思ったよ。
ルドルフと呼ばれたおじさんは王様の斜め後ろに立っている。
「アルフ、お前もここに座れ。 ユリアはそこに座ってくれ」
少年が王様の横で、私がテーブルを挟んで王様の正面のソファに座る。
王様の横に座るって事はもしかして王子様とかだったりする?
それともただ偉いだけとか?
あ、マリーの婚約者とか言う可能性もあるか、将来の王様的な。
「話の前にこやつの紹介をしておこうか。 こやつはアルフレッド、俺の息子だ。 デイジーとマリーの兄だな」
マリーのお兄さんか。
婚約者ではなかった。
現時点でep200を予約投稿(予約投稿の限界)したところでしたが、急に登録できなくなって焦りました。
200という切りのいい数字だったのもあって、最初は「作品登録数に上限でもあるの?」と思っていたのですが、調べたらちょうど今日のメンテでAIを使用してるかの項目にチェックが必要になったようで、作品の詳細画面に項目が増えたみたいです。
項目にチェックを入れたら無事投稿できたので、一安心です。




