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67 新たに精霊契約

 ギルドを出た私たちはそのまま家に帰って来た。

 ナノハちゃんにコロッケの試食もしてもらったし、スズランさんにディアの紹介もした。

 まさか精霊契約するとは思わなかったけど。


 鶏小屋も作ったし、お世話もサクラに頼んだ。

 あとコウスラの登録もしたので、この街でやらないといけないことは多分やったと思う。


 畑の物をリーアの家に販売する話があったけど、あれはこっちから行った方がいいのだろうか?

 それとも待ってればいいのかな?


 まあ今はそれよりやらないといけないことがある。

 カーミトの街の整地だ。


 建物を全部壊して埋められる物は埋めて、埋められない物は・・・・・・燃やすか収納して処分すればいいか。


 サクラに話すのは更地にした後でいいかな。

 サクラの意見も聞いて建物とか作りたいし。



「よし、しばらくはカーミトの街の整地をしようかな」



 畑にいるディアを眺めながら考え事をしていた私が次にやる事を口に出すと、ディアが反応する。



「他の街の整地をしに行くの?」

「うん、魔物に襲われて壊滅した街をもらったんだよね。 魔物は倒したから、整地して大きな農場作っちゃおうかなって思ってるの」

「大きな農場・・・・・・それはいいの、楽しみなの」



 大きな農場で果物を育てるのを想像してるのか、ディアが笑顔になる。

 本当に食べるのが好きな精霊だ。



「まだどれくらいを農場にするかは決めてないんだけどね。 今はとりあえずボロボロの街を整地しようかなってだけだし」



 まずは物をどかさないと何もできない。

 瓦礫と壊れた家しかないし。



「整地なら手伝うの。 土の精霊の得意分野なの」

「いいの? 結構広いからかなり時間かかると思うけど」

「大丈夫なの、でもママが良ければまた精霊を雇いたいの」

「整地のために土の精霊を雇うの?」

「農地を広げるならまた人手が必要になるの、その時のために精霊を今から雇っておくの」

「農地の大きさもまだ決まってないよ?」

「今の農地でも今の何倍も雇ったって問題ないくらい収穫も多いし人気の畑なの。 次の畑ができてなくても今の2~3倍くらいは追加で雇ってもここの作物だけで賄えるの」



 確かにほとんどがサトウキビやリンゴの搾りかすを食べていて、畑の物はそこまで減っていない。

 そう考えると多少人数が増えても報酬面での問題はないのか。



「じゃあディアに負担が無いならお願いしようかな」

「わたしは指示を出すだけだから負担は無いの、どちらかと言うとママの魔力に負担がかかる方が心配なの」

「いや、私の魔力の心配はしなくていいから、ディアが必要だと思った分を雇っていいよ。 私も自分の魔力の限界を知りたいし」



 今まで何回も魔法を使ったり魔力をあげたりしたけど、魔力切れになったことがない。

 いざというときに魔力切れになると困るから、自分の限界を知っておきたい。

 契約時にギリギリだったとしても、普段の生活なら問題はなさそうだし、ギリギリだったとしても目安にはなる。



「・・・・・・わかったの。 でも辛くなったらすぐに言ってほしいの。 今雇ってる精霊たちだけでも、普通の人間なら魔力が無くなって干からびてもおかしくないほど魔力を持っていかれてるはずなの」



 干からび・・・・・・そう言われるとちょっと怖いけど、それでも私は死なないんだよね?

 どうなるんだろう?



「じゃあ4人ずつ雇ってみようか。 4人雇っても特に問題なかったら追加で4人、少しでも違和感があったら途中で終了」

「もちろんそうするの。 不老不死だと魔力切れはずっと苦しむことになるの。 だからちょっとでもおかしな事があったらすぐにやめるの」

「ありがとう。 じゃあ準備ができたらカーミトの街に行こうか」

「帰ってくるのは整地が終わってからなの?」

「夜には終わりにして帰ってくるつもりだよ」



 急ぐ必要もないし、暗い中照明の魔法を使ってまで作業しようとは思わない。

 疲れないとはいえ小さい精霊たちを酷使するのも嫌だし。



「それならわたしはいつでもいいの」

「じゃあこのまま行っちゃおうか」



 私たちは家に入り、屋根裏のゲートまで行く。

 ゲートに手をかざして、カーミトの街のゲートを思い浮かべながらゲートを開き、カーミトの街に移動する。



「ここだよ」



 ゲートを閉じてディアと一緒に周りを見回す。



「思ってたよりは壊れてないの。 修繕じゃなくてこのまま壊しちゃっていいの?」



 あちこち倒壊してるし、見える範囲の家は全部崩れている。

 ディア的にはこれでそこまで壊れてない判定なの?



「更地にして新しく道とか畑とかの区分けをしたいから、一回全部壊しちゃおう」

「壊した後の瓦礫とかはどうするの?」

「使えない物は埋めるなり燃やすなりするつもり。 そこの判断はディアと相談かな。 土の精霊的に埋めてほしくない物とかあるかもだし」

「わかったの。 まずは精霊契約をするの」

「うん、お願い」



 さて、追加で4人呼ぶとどうなるかな。

 今までの4人+ディアは特に違和感もなかったけど、一気に倍近くに増えるとなると、どうなるかちょっと怖い。


 私が身構えていると、ディアが目を閉じ、以前と同じように精霊とコンタクトを取っている・・・・・・んだと思う。


 しばらく待っていると4人の精霊が現れた。

 見た目は少し違うけど、服装や髪の質感はうちにいる子たちと同じだ。


 これで私の魔力が減ってるのかな?

 今のところ何も感じないけど・・・・・・これから減る?



「4人契約したの。 ママの魔力を結構使っちゃったけど、なんともないの?」

「うーん・・・・・・今のところ変化はないかな」

「疲労感や眠気なんかも無いの?」

「無いね」



 状態異常にならないから魔力切れで疲労や睡眠状態にならない可能性もある?

 いまいち状態異常の睡眠と普通の睡眠の違いが判らない。

 自分で寝るか眠らされるかの違い?



「不思議なの。 ママと魔力が繋がってるから、ママの魔力の最大量はなんとなくわかるの。 だからママの魔力量が少ないのはわかってるの。 でもママの魔力は減ってもすぐ回復するのか、今回結構な量の魔力をもらったのに何ともないのは本当に不思議なの」



 私は回復が早いだけで魔力量は少ないのか、強いのか弱いのかわからないね。


 回復するのはいい、それは強いと思う。

 でも回復できないような状況になったら最大魔力量が少ないとあまり戦えないという事だ。

 魔法の乱発は避けたほうがいいのかな?



「今の所大丈夫みたいだから、このまま追加で契約しちゃおうか」

「わかったの」



 ディアが再び精霊たちに呼びかけ、4人の精霊が現れた。

 これで計8人増えた。



「魔力減ったのかな? やっぱり何も感じないね」

「12人契約できるなんて前代未聞なの。 しかもママはすでにわたしとも契約してるの」

「それはいいんだけど、何で4属性呼んだの? 必要なのは土の精霊じゃないの?」



 最初に呼んだのが4人だったからなんとなく4人ずつ雇おうとは言ったけど、まさか4属性×2回呼ぶとは思わなかった。

 整地が得意なのは土の精霊だって言ってたし、畑のことをするのも土の精霊のが良いんだよね?



「精霊は同じ属性だけ集めると自然に悪影響が出るの。 火属性が多いと気温がどんどん上がって行って誰も住めなくなるの。 水属性が多ければ湿気が多くなって雨ばかり降って水害が起きるの。 土属性が多ければ雑草が伸び放題になって家が壊れるの。 風属性が多ければ嵐や突風が頻繁に起きるようになるの。 だから精霊はバランスよく存在させないといけないの。 特に強い精霊は気を付けないといけないの」

「ディアがいる分は大丈夫なの?」

「その力を畑に向けてるからうちの作物が普通より早く育ってるの」

「あ、なるほど。 納得」

「それにわたしは育てるものをちゃんと選んでるの。 だからちゃんと作物だけ育つの。 でも他の精霊たちはそんな面倒なことしないで、周囲全部に影響を出してそのまま放置なの」



 ディアがずっと畑にいるのはそのためなのかな?

 いやそれ以上に美味しい物を食べたい気持ちが強いのか。



「いつもありがとうね」



 ディアの頭を撫でてあげる。

 しばらく嬉しそうにされるままだっただったディアが、精霊たちの方を向いて指示を出し始めた。

 と言っても私には聞こえないので何を言ってるのかはわからない。



「指示を出し終わったの。 ママはこれからどうするの?」

「どうって、私も整地をするけど? 精霊たちだけにやらせるのも申し訳ないし、そもそも私が言い出したことだし」

「できれば整地は精霊たちにやらせてあげて欲しいの。 精霊たちは建物壊すのを楽しみにしてたの」

「壊すのが楽しいの? まあ全力で壊せるのはストレス発散になりそうだけど・・・・・・」



 もしかして精霊たちって結構狂暴だったりする?

 精霊の被害が、なんて話は聞かないから、勝手に壊したりはしないとは思うけど。



「ママは街全体を見てどこに畑や道を作るか決めてほしいの」

「それはまだ先になるかな、私が全部決めるわけにはいかないからね。 最終的にこの街の統治はサクラにお願いするつもりだから、サクラにも街の事は聞きたいし」

「わかったの。 それならママは貴重品の選別をお願いしたいの」

「貴重品の選別って?」

「壊れた家にはいろいろな物がそのまま残ってると思うの。 貴重な物や高価な物を一緒に壊していいならこのまま全部壊すの」



 そう言えばそうだよね、全然気にしてなかった。

 街や国にとって必要な物とかもあるかもしれないし、形がちゃんと残ってる物は回収しておけばいいかな?



「なるほど、それぞれの家から火事場泥棒しろと。 いや、空き巣かな?」

「放棄された街なら誰の物でもないの。 強いて言うなら街の所有権を持ってるママの物なの」

「そういう見方もできるか。 じゃあ、お宝探しでもしようか」



 それから私たちの整地の日々が始まった。



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