55 コウスラ
私はしばらく時計しか見てなかったステータスを開いてみる。
そしてスキルの項目を選ぶと、スキルが2つも増えていた。
スキルを使う時は基本使いたいスキルを思い浮かべれば使えるし、収納もわざわざステータス画面から操作せずに、直接収納の画面を呼び出している。
そもそも入ってる物を覚えていれば出したい物を念じれば出てくるから、収納画面を呼び出す必要もない。
※習得条件「精霊との契約」達成
〇念話
離れた場所からでも契約した者と話すことができる。
しかし、話せない相手の場合は一方的に指示が出せるだけ。
※習得条件「土の上位精霊との契約」達成
〇地脈移動
地中を流れる魔素を使って離れた場所をつなぐゲートを作ることができる。
ゲートは簡易版と設置版があり、簡易版はどにでも作れるが、作成者しか通れず、一度通ったら消える。
設置版は魔素の多い場所にしか設置できないが、設置者以外も通ることができ、何度通っても消えない。
どちらのゲートも設置者の魔力でしか開くことができない。
念話はディアと離れていても話ができるって事かな?
これは便利かも
それと地脈移動。
これがディアの言っていた移動方法か。
便利そうだけど魔素の流れる場所ってどうやって見つけるんだ・・・・・・
「なんかできる事が増えてるね、念話と地脈移動について知ってたら教えて欲しいんだけど」
『念話はこんな感じで相手を思い浮かべながら話しかけると相手に通じるの』
『こんな感じかな? ちょっと不思議な感じだね。 契約した相手しかできないみたいだから今はディアだけかな』
「契約した精霊」だから、もしかしたらお手伝い精霊達にも話はできるのかな?
一方的に指示出せるだけっぽいから、できたとしてもディア経由で指示だししてもらった方が確実な気はするけど。
「地脈移動はちょっと難しいかもしれないの。 でも覚えちゃえば使い方は簡単なの。 魔素が多くてゲートが設置できる場所は、簡単に言えば街がある場所なの。 大きな街がある場所は魔素が多い場所なの。 逆に何もない場所や村には大きな魔素は無いの。 危険地帯で街が作れないような場所にも魔素が多いことがあるから、そこは試してみるしかないの。 でも1人で帰ってくるだけなら簡易版でいいからそんなに悩むことはないの。 どっちを使うにしても移動先は前もって設置しないといけないから、帰ってくる用にとりあえずこの家に設置しておくといいの」
なるほど、念話はまあ予想通り。
地脈移動は前もって移動先を設置しないといけないのか。
街に設置できるって事は遠い街、例えば王都に設置しておけばここからすぐ行き来できるって事だよね?
どのみち設置しに1回は行かないといけないけど、帰りはゲートで帰れるから日帰りで行ける。
「あ、そういえば」
ふと、収納に入れたままになっていた石の事を思い出した。
「これ何だかわかる?」
ディアに前拾った石を2つみせる。
「こっちは五常石で、一般的には属性石って呼ばれてるの。 この色はとても強い土属性の力を得られるけど、五常石は使える人がほとんどいないの」
この五常石は属性石と呼ばれてるようだ。
私は使えるのかな?
試しに収納して使ってみる。
すると忠告文が出てきた。
”使用しても効果がありません。 使用しますか?”
使えるけど効果がないみたいだ。
じゃあディアにあげてみる?
「私は意味ないみたいだからディア使ってみる?」
「精霊には使えないの。 土の精霊のわたしには土の属性石は意味がないし、他の属性は使えないの」
ディアも同じく意味ないみたいだ。
じゃあ温存かな。
「こっちの石は知らないの。 不思議な感じがする奇麗な石なの」
こっちの石は知らないみたいだ。
でも説明を読んだ感じ、魔力を与えれば何かになるみたいだから魔力を与えてみればいいかな?
何かあって落としたら困るので、とりあえずテーブルに移動する。
テーブルでは精霊たちがずっとサトウキビやリンゴを食べてたみたいだ。
精霊たちは小さく、一口毎の咀嚼が長いのでなかなか減ってない。
空腹を満たすためじゃなくて味を楽しむために食べてるわけだし、味がなくなるまで咀嚼するのは当たり前か。
今精霊たちのことはいいとして、椅子に座りテーブルに石を置いたら石に手を置く。
そのまま魔力を流してみる。
5分くらい続けても何の変化もないので流す魔力の量を増やしてみる。
そのまま少しずつ流す魔力を増やしながら30分ほど経過した。
大量に魔力を流しているのでディアが心配してくるけど、今の所特に問題はない。
さらに30分ほど流したところで石にひびが入る。
やっと終わるのかな?
そのまま魔力を流し続けていると、石が割れて中から丸い金属?が出てきた。
いや、金属のように見えるけど生き物みたいだ。
つついてみると見た目の割に柔らかい。
「何だろこれ、凄く柔らかい」
「これは多分スライムなの、柔らかそうだけど色的には金属系のスライムみたいなの」
観察眼でこの子の種族を見てみる。
〇ステータス
名前:
種族:スティールスライム
年齢:0
「スティールスライムって言うみたいだよ」
「鋼のスライムなの? 見た目は鋼っぽく見えないけど、もしかしたら硬化の能力を持ってるかもしれないの。 そもそも何で石からスライムが生まれたのかわからないの」
「よくわからないけど、生き物ならちゃんと育てないとだね。 名前は・・・・・・鋼からとってコウスラとかどうかな」
スライムがうねうねしている。
いまいち感情が読めない・・・・・・
「気に入ったのか気に入らないのかわからない・・・・・・あ、でも反応したって事は言葉通じるのかな? ならコウスラでいいなら手に乗ってくれる?」
スライムの前に両手を出すと、スライムはゆっくり手に上ってくる。
名前は気に入ったみたいだ。
たぶん。
「こっちの言葉は通じるみたいだね。 名前も気に入ったみたいだし、この子は今日からコウスラ、新しい家族だよ」
「わたしはディアで、ママの娘なの。 よろしくなの。 そこにいる精霊たちは畑の手伝いをしてくれてる子たちなの」
ディアが精霊たちを含めて自己紹介している。
そういえばスライムって何を与えればいいんだろう?
「ねえ、スライムってどうやって育てればいいか知ってる? 特に食べ物とか」
「スライムは雑食でなんでも食べるの。 狂暴なスライムなら魔物や人も食べるの。 でも生まれたばかりのスライムは同じ物を与え続けるとある程度食べ物を偏らせることができるの。 だから食べさせたい物を与えればいいの」
「うちで食べさせるとしたら畑で採れる物かな? 野菜や果物あげてみようか」
とりあえず今日採れたリンゴを与えてみる。
スライムはリンゴを取り込むとそのままうねうねしだす。
消化してるのかな?
「どれくらいあげたらいいんだろう・・・・・・まだ食べる? もうお腹いっぱい?」
「スライムはそんなに食べなくても平気なの。 この大きさのスライムならリンゴ1個あげたら2日は食べなくて平気なの。 あげればあげただけ食べちゃうから、あまりあげすぎると重くなって自分で動けなくなっちゃうの」
「うーん、毎日一緒に食べるなら少しずつあげないといけないのね。 あ、さっきの属性石この子にあげてみようか。 私もディアも使えないし」
「すごく貴重なものだけどママがいいならいいと思うの」
貴重と言っても売ったりするよりは家族のために使った方がいいでしょ。
飾っておく場所もないし。
コウスラに儀の五常石を使ってあげる。
が、特に何も起きない。
「あれ?」と思って収納から取り出すと、コウスラが近づいてきて、五常石を取り込んでしまった。
「あっ。 えっと、もしかしてスライムには使うんじゃなくて普通にあげればいいのかな?」
「使ったことが無いからわたしはわからないの」
「とりあえず使えた、取り込んだ?みたいだけど。 土の力を得るって具体的にどう変わるの?」
「見た目は変わらないの。 土属性の魔法が強化されたり適性があればスキルを覚えることもあるの」
観察眼でスキルや魔法を見てみる。
〇スキル
〇魔法
何もなかった。
成長しないと覚えないのかな?
それとも、ちゃんと使ったわけじゃないから使ったことになってないとか?
「まあいいか、どうなるかは成長してからのお楽しみという事で。 この子はどうやって運ぼうかな・・・・・・頭の上に乗せたら落ちちゃうかな?」
ディアを抱っこすることを考えると、コウスラを抱っこすることができない。
大きくなったらどうかわからないけど、今は移動が遅いので並んで歩くこともできない。
試しに頭に乗せて「落ちないようにしてみて」とお願いして頭を傾けてみる。
結構しっかり固定されてるみたいで、普段の生活で落ちることはなさそうだ。
頭をテーブルの方に傾けたまま「降りて」と言うと、するっとテーブルに降りてくれた。
賢い。
よしよしと撫でてあげるとふるふる震えている。
これは喜んでる?くすぐったいだけ?
コウスラの感情を理解するにはもうちょっとかかりそうだ。
今日は珍しく遅くまで起きていたので、そろそろ寝ることにする。
こっちの世界に来てから家族が増えて、今夜はディアとコウスラと3人で一緒に寝た。
1人になりたいと思っていたのに、結局家族が増えることに喜んでる自分がいる。
私は気ままに生きたかっただけで別に1人になりたかったわけじゃないのかもしれない。




