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49 リーアの依頼、蛇討伐

「そうだ、ユリアさん。 来るとき聞けなかった冒険のお話を聞かせてもらえませんか?」

「いいけど。 冒険のお話と言われても、冒険者として任務受けたのって、最初にサクラと行った採集とフォレストタイガー討伐くらい? それ以外は遭遇したから討伐しただけだし」

「お父様から簡単に活躍を聞いたので詳細を知りたいです」



 と言う事で、サクラと初めて行った採集で毛虫と戦った事と、常設依頼のために森に行ったら蜂と戦った事を話していたら、森についてしまった。

 なので、オークやフォレストタイガーの話は帰る時にすることになった。



「この森を入ってすぐの所に生えています。 それより奥に行くと沼がありますので、私より先には進まないように気を付けてください」



 おじさんに言われて森に入って行く。

 リーアもいるので常時地図は表示しておく。

 今の所何もいないね。


 入ってすぐの所に背の低い葉の大きな植物がいっぱい生えていて、茎には大量のさやが付いていた。

 大豆だ。



「これが馬の餌になる植物で、葉の部分だけ採集しています」

「これは大豆ですね。 さやの部分をもらって行っても大丈夫ですか?」

「ダイズという名前なんですか? ある程度残しておいていただければ、お好きなだけ持って行ってくださって大丈夫です」

「これがユリアさんの欲しかったものなんですか?」

「これは大豆という植物で、緑の若いうちは枝豆と呼ばれてるの。 私のいた国では欠かせない食べ物や調味料などいろいろな物を作る材料なんだけど、作るのがすごく難しいから私が作れるかどうかはわからないかな」



 作り方がわかったとしても確か凄く時間がかかったはず。

 発酵を促進する魔法とかないだろうか、時間系の魔法とか。



「この枝豆?は食べられるんですか?」

「茹でれば食べられるよ。 食べ過ぎると体に良くないけど小皿での1品として食べる分には平気かな」

「食べても平気なのですか? 命を落とす者はいませんでしたが、腹痛を起こす者がそれなりにいたので食べないように言われていたのですが」

「普通に食べる分には体にもいいですが、栄養価が高いので食べ過ぎると体に悪いです。 お腹を下すこともあるみたいなのでそこも注意ですね」



 観察眼で詳細を確認しながら説明する。

 畑の肉とか呼ばれてたのは知ってたけど、お腹下したりすることもあるのか、知らなかった。



「リーアは食べてみる?」

「すぐにできるんですか?」

「茹でるだけならすぐにできるよ」

「それなら食べてみたいです。 ユリアさんがおすすめしてくるという事はきっとおいしい物なんだと思います」

「食に関して私への信頼度が高いね。 じゃあ茹でちゃおうか」



 テーブルと鍋を用意してお湯を沸かしてる間に自分用の枝豆と馬用の葉を集めていく。

 お湯が沸いたら、さやの両端を少し切って塩もみした枝豆と塩を鍋に入れ、弱火にして数分茹でる。

 採集しながら茹で上がるのを待ち、茹で上がったらザルにあける。



「はい、できたよ」

「ありがとうございます、いただきますね」

「咥えて反対側を軽く押すと中身が出てくるよ」



 手で食べるから洗浄魔法をかけてあげる。



「コリコリしていて美味しいですね、塩もちょうどいいです」

「確かに美味しいですが、やっぱり過去の事を考えると不安になってしまいますね」

「小皿程度なら毎日食べても大丈夫だと思いますけど、その人の体質もあるのでお腹壊すようなら量を減らすとかすればいいと思います。 基本的に体に良い食べ物なので食べて問題ない人は食べるといいですよ」



 2人が食べてる間も地図を確認していると、大きな魔物が少し離れた場所に来た。

 こっちには気づいてないけどどうしようか。



「リーア、大きな魔物が近くにいるみたい。 どうする? もう帰る?」

「え!? そうなんですか!?」



 リーアの大声に反応してマーカーが敵対になる。

 あ、気づかれた。



「リーアの大声で気づかれたみたいだね。 戦うしかないかな」

「あぅ、ごめんなさい・・・・・・」

「まだ馬の餌集めも終わってないし、倒しておいた方が安心して採集できるからこのまま戦っちゃおう」

「わ、わたしたちはどうすればいいですか?」

「私の少し離れた後ろにいてね。 周りの警戒はしておくけど、急に来るかもしれないからリーアも警戒してて。 おじさんも後ろにいてくださいね」

「「わかりました」」



 魔物の反応がある方へ歩いていくと沼があった。

 これがさっきおじさんが言ってた沼か、足を取られないように気を付けないと。



「ここからぬかるんでるね。 足元に気を付けて」


 

 魔物の反応は近くにあるのに何も見えない。

 沼に隠れてる?


 待っていても敵対反応のまま動かない。

 警戒してるだけでこっちの場所がわかってない?

 この先は沼で進めないし、先制攻撃してみる?

 それとも呼んでみるか。



「おーい、ここにいるよー、でておいでー」

「ユ、ユリアさん何を・・・・・・?」

「このまま進むと沼だしこっちに来てもらおうかと思って」



 声に反応したのか近づいてくる。

 声をかけてから思ったけど、沼の中でも声が聞こえてる?

 沼から出てきたのは大きな蛇だった。

 直径が私の身長より大きい。



「これって、スワンプヴァイパー、ですか? 猛毒に加えて鱗がすごく硬くて普通の剣では切れないと聞きいたとがあります。 見た目通り人間を簡単に丸のみにしてしまいますし、生きてる間は内臓もすごく硬いらしく、切れないそうです」



 驚きながらも情報をくれるリーア。

 意外と度胸あるね。

 というか、私が前に買った魔物の本に載ってない魔物にばかり出会うんだけど・・・・・・



「情報ありがと、硬くて毒があるって事ね。 まあ何とかなるでしょ」



 いざとなったら土魔法で2人を守ればあとは1人で何とかできると思うし。



「さて、たまにはこっちから攻撃してみようかな。 アイスニードル!」



 離れた場所で動かず、睨み合っていた蛇に先制で細長い氷魔法を撃ちこむ。 

 これ魔法でダメージを与えられるかな?と思っていたけど、あっさり胴体数か所に突き刺さる。

 刺さった場所がそのまま凍り付き、標本のピン止めのように沼地に固定された。

 ぜんぜん硬くないね・・・・・・



「貫通したね、あっさりと」

「今のは何ですか? 魔法ですか? 見たことないんですけど!?」

「私オリジナル?の氷魔法だよ。 うーん、思ってたより硬くないし弱そうだね。 このまま倒しちゃうか」



 動けなくなって頭と尻尾の方でもがいてる蛇に向かって「ウィンドカッター」を放つ。

 しかし風魔法は弾かれてしまった。



「あれ? 風魔法は効かないのかな?」

「スワンプヴァイパーは物理攻撃にも魔法攻撃にも強いですが、特別風の魔法に強いと言うのは聞いたことありませんね」

「そうなんだ。 じゃあこのまま氷魔法で倒しちゃおうか」

 


 頭含めて数か所に追加でアイスニードルを打ち込んでみる。

 うん、氷魔法は刺さるね、何でだろう?


 動かなくなったので地図を見てみると、反応が無くなっている。

 倒せたみたいだ。

 風魔法は効かなかったけど、思ってたよりはかなり弱い。

 あの時の蜂とどっちが硬いんだろう? 

 まあ今更比べる事なんてできないし、周りに何もいないからさっさとこの蛇も収納しちゃおう。

  


「倒せたし採集の続きしようか。 ん?どうしたの?」



 蛇も倒し、収納もして安全も確保したけど、リーアたちが動かない。

 なに?



「ユリアさん、強すぎませんか? スワンプヴァイパーをこんなあっさりと・・・・・・」

「そうなの? 氷魔法は普通に効いたけど」

「いえ、わたしも危険な魔物としか知りませんので、実際にどれくらい強いのかまではわかりません。 しかし、少なくとも1人で倒すような魔物ではないはずですよ?」

「まあ倒せちゃったし、もしかしたら弱い個体だったのかもしれないね。 さあ遅くならないように早めに採集して帰ろう」

「そう、ですね。 そういう事にしておきましょう」



 いまいち納得しきれてないリーアを促して採集に戻ろうとした時、ふと見覚えのある植物が目に留まった。



「あれ、これって・・・・・・稲?」

「これも食べられるんですか?」



 私が気になってつまむと、リーアが間髪入れずに食べられるのか聞いてくる。



「・・・・・・なんで私が気になった物が食べ物だと思ったのかな?」

「あ、違いましたか? ユリアさんが反応した植物は食べ物なのかと思いまして」



 リーアの中で私がどんどん農家の人になってる気がする・・・・・・



「その植物はとても食べられるような物ではないと思いますが・・・・・・すごく硬いので茹でないと食べられませんし、茹でて柔らかくしたとしても美味しくありませんよ?」

「あ、そうだったんですか? てっきり食べるのかとばかり」

「いやまあ食べ物なんだけどね。 ただこのままじゃ美味しくないかな」



 確かお米って品種改良だとかで野生の物とだいぶ違ったはず、おじさんが言ってるように美味しくないならこのままだとダメなんだろう。

 調理方法や精米方法が間違ってる可能性もあるけど。

 これは帰ってからディアに頼んで水田を作ってもらって、自家栽培してみて美味しいのができるかどうか、かな?



「これは食べられるかどうかまだわからないね。 美味しくできたらリーアにも持って行ってあげるから」

「ありがとうございます。 ユリアさんが言うなら美味しくなるんだと思いますし、楽しみにしてますね」



 村ではいらないみたいだからちょっと多めに稲を採集していく。

 といってもこのまま食べるわけじゃないから、植える分だけあればいいんだけどね。


 稲の採集が終わったら枝豆と葉を集めて村に戻る。

 帰りにはリーアに冒険話の続きを話してあげた。



「ユリアさん今日はありがとうございました。 ユリアさんがいなければ餌集め中にあの大きな蛇に襲われていたかもしれません」

「いえいえ。 私の方も欲しい物が手に入りましたし、思わぬ収穫もあったので、こちらとしても感謝です」



 そもそもリーアが大声出したのに反応してたっぽいし、おじさん1人だったら安全だったのでは?



「そう言って頂けると少しは気が楽になります。 あんな大きな魔物の討伐依頼を出すほど村にお金はありませんでしたし・・・・・・その代わりと言っては何ですが、私たちにできる事があったら何でも言ってください。 と言っても馬に関するお手伝いしかできませんが」

「うーん、私としても今日入手した稲と大豆は、私のいた国では食卓に欠かせない食材なんですよ。 なのでその食材が手に入っただけでも、こちらがお礼をしたいほど感謝してるんです。 なので本当に気にしなくて大丈夫ですよ」



 大豆と稲なんて日本食に必須な食材だ。

 うまく美味しい物ができるかわからないけど、もしできたら連れてきてくれたことにお礼をしたいくらいだ。

 もしうまくいくなら魚も欲しいところだけど、海ってどこにあるんだろう?



「ありがとうございます。 しかし本当に食べるのですか? いえ、大豆?枝豆?も大丈夫でしたし稲も食べられるのでしょうが、いまいちピンときませんね」

「ユリアさんの食べ物への知識は凄いですから、きっとすごくおいしい物ができると思います」



 なぜリーアが偉そうなのか。



「そうなのですか。 それならそうなることを祈っております。 ところでフリージア様、明日は何時ごろお帰りになられますか? それまでに馬を準備しておきますので」

「そうですね・・・・・・ユリアさんは何時がいいですか?」

「あ、あの馬連れて帰るんだ。 そうなると馬の速度に合わせないといけないって事だよね?」

「そうですね。 来た時よりだいぶ遅くなるとは思います」

「馬でどれくらいかかる?」


 ディアには明日の夜帰るって言ってしまった。

 なので明日の夜か、遅くても明後日中には街に帰りたい。



「そうですね・・・・・・明日の朝出たとしても、馬の速度でも2日ほどかかるかと」

「馬連れて帰るなんて思ってなかったからディアに明日の夜帰るって言ってきちゃったんだよね。 どうしよう」

「そういえば言ってましたね、それなら今すぐ出ますか? 急げば近くの村までは行けると思います。 夜にはなるでしょうけど」

「うーん、なら今すぐ出ようか。 それで真っ直ぐ街に向かって途中で野営しよう」



 1人用想定の家だけど、リーアと2人なら大丈夫でしょ。



「野営道具も持ってるんですね。 私は構いません。 私が帰りに馬も一緒なことを伝え忘れてしまったせいなので、野営でも我慢します」

「お急ぎのようですので、すぐに馬の準備をしてしまいますね」



 村に着いた後、おじさんはリアカーを外に放置したまま急いで家に入って行った。

 こっちのわがままで申し訳ない。



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