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47 リーアの依頼、一緒に昼食

「この村は昔から馬の飼育を生業にしておりまして。 行商用の馬から貴族様の馬まで多くの方々の馬を育ててきました。 この村の近くに生えている餌が馬にはいいようで、馬も元気に育ってくれるのです」 

「餌、ですか。 この辺りにしか生えてないんですか?」

「他にもあるかもしれませんが、村や街の近くで生えている場所は他にないそうです。 ですのでこの国にいる馬はほぼこの村で飼育されています」

「その餌を見せてもらう事ってできますか?」

「構いませんが、人間が食べられるものではありませんよ?」

「ちょっと気になるだけなのでそれでいいですよ」



 馬の餌は煮豆やその葉だっていうのを聞いたことがある。

 もしかしたらここに豆があるかもしれない。



「ではこちらにどうぞ」



 さっきの家の隣にある小屋に入って行く、ここは餌などを置いておく場所のようだ。



「こちらが餌の葉です」



 見せてくれたのは普通の葉っぱだった。

 私は豆の葉なんて知らないので、これが何の葉かわからない。



「これは何という葉ですか?」

「いえ、特に名前はありません。 長細い実のような物に入った少し大きめの種を付けるのですが、人間が食べると腹痛を起こしてしまいます」

「その植物のある場所を教えてもらえませんか?」



 長細い実に大き目の種のような物って豆だよね。

 大き目の豆って何だろう、大豆?そら豆?

 他に比べられる豆がないから、どれくらいを大きいと言ってるかがわからない。



「取りに行くのですか?」

「はい、私の知ってる物なら欲しいので」

「何に使うかわかりませんが、もし取りに行くのでしたら村の外ですのでこの後ご案内しましょう。 私も取りに行く予定でしたので」

「それならぜひ一緒に行きたいです」

「では、フリージア様にもお話をしないといけませんね」



 リーアにこの後の予定を話すため、小屋から出て飼育広場に戻る。


 そのまましばらく待っていると、リーアが広場を1周して帰って来た。



「戻りました、すごくいい子ですね。 乗り心地も良かったです」

「お気に召したようで何よりです」

「ねえリーア、この後馬のエサを取りに行くんだけど、リーアはどうする?」

「馬のエサ取りにユリアさんが行くのですか?」

「さっき葉っぱを見せてもらったけど、それだけだとよくわからないから現物を見せてもらいたくてね。 私の知ってる物なら少し貰って行こうかと」

「それはユリア農場に新しい物が増えるという事ですか? 昨日頂いた唐黍とお砂糖はお父様も感激していました。 今度は普通に売ってほしいと伝言を頼まれています」



 多少売るのはいい。

 それよりもユリア農場ってなんだ・・・・・・



「売るのはいいけどそこまで大量に栽培してないよ? 他にも交渉するかもしれない相手もいるし。 それよりもユリア農場って初めていわれたんだけど?」

「ユリアさんの畑を見て私が名付けました」



 腰に手を当ててふんぞり返るリーア。

 呼んでるのはリーアだけか、ならいいや。



「もしかしたら追加で増やすかもしれないってところかな」

「それは楽しみですね、ならわたしも行きます」

「村の外らしいけどいいの?」

「ユリアさんの近くにいたほうが安全ですし、1人で待っていても暇です」

「なるほど。 それじゃあ案内お願いしてもいいですか?」

「畏まりました。 それでは昼食後、という事でよろしいですか?」



 時間はもうすぐお昼になる。

 今から行くと遅くなるだろうから、先に昼食を済ませておくって事かな。



「私は大丈夫です」

「わたしも構いません」

「では昼食後にまた来て頂けますか? 私はこの後少し馬の世話のをしますので、その後家で昼食を済ませてお待ちしております」

「わかりました。 じゃあリーア、昼食に行こうか」

「はい!」



 元気に馬から降りて、馬を撫でると私の方に来る。

 そのまま2人で家を通って柵の外に出る。



「さて、何食べる?」

「持ってるならユリアさんの作る物が食べたいです」



 あれ、リーアに収納のこと話したっけ?

 そう言えば昨日砂糖と唐黍渡した時、特に反応が無かったね。

 もしかしてギルドから情報が行ってたりする?

 貴族とか偉い人に言われたら仕方ないのかもしれないし、収納くらいなら広まってもいい。

 収納くらいと言ってもかなり凄い物らしいけど、特別隠す気はないし。

 でも余計なことまで広まってないか不安になってくる。

 いや、買い物を一緒に行ったこともあるし、収納は見せたことがあるか。


 それよりも今はお昼をどうするか。

 今持ってる物で作れそうなのは・・・・・・チーズパンとジャムパンにバターパン、野菜は・・・・・・いつものサラダでいいか。

 そういえば食べてなかったロードのお肉があるから、ステーキでも作ってあげようかな?

 揚げ物もできるようになったし、とんかつでもいいんだけど、まずはそのまま食べてみたい。


 後は場所だけど・・・・・・向こうの広場でいいか。



「よし、作る物は決まったから通行の邪魔にならないよう、あそこの広場に移動しようか」

「わかりました!」



 広場の端の方に移動し、椅子とテーブルと日よけの屋根、それから調理用のテーブルを出す。

 小さい子供たちが遊んでるけど、端なら邪魔にならないでしょ。



 まずはロードの肉を大き目に切って筋切りをし、フォークで全体に穴をあけた後、フライパンに乗せて塩を振り、中火で焼く。

 ガロニ野菜用のニンジンを火が通りやすいように少し薄めの輪切りにし、水にバターと砂糖を入れて茹でる。 

 その間にサラダ作り。

 キャベツにキュウリにトマトにコーン。

 これはいつも通りかな、早くレタスが欲しいところだ。


 ニンジンの鍋が沸騰したら弱火にして、肉の片面が焼けたところでスライスしたジャガイモと細切りにしたピーマンを入れ、肉をひっくり返して弱火にし、蓋をする。

 次にパンを切り、チーズをのせたものとジャムを乗せた物となにも乗せてない物を何枚か用意して、表面を加熱していく。

 何も乗せてないのは焼けたらバターを塗るやつだね。

 パンは余ったらしまっておけばいいので多めに。

 焼いてる肉に串を刺し、赤い油が出てこないのを確認したらまな板に移して食べやすく切っていく。

 切った肉をそれぞれのお皿に乗せ、ニンジンとジャガイモとピーマンを添えてステーキも完成。



「はい、完成。 オークロードのステーキとうちで採れた野菜のサラダ、パンは大皿から自由に取ってね」

「・・・・・・」

「どうしたの? 嫌いなものあった?」

「ユリアさん、こんなにお料理できたんですか・・・・・・うちの食事よりも良い香りがします」

「そうなの? 貴族ってもっといい物食べてるんだと思ってた」



 そう思ってガッカリさせないようにステーキにしてみたけど、ここまでしなくてよかったかな?

 チーズやジャガイモなど、今まで食べられてなかった物は仕方ないとしても、ステーキとかは普通にあるよね?



「たまにお砂糖が使えるのと、唐黍のように遠くから運ばれてきたものが食卓に並ぶことがあるくらいですね。 それ以外は味が少し濃い目だったり、食材の質が良かったりする感じでしょうか」

「そうなんだ、思ってたより貴族も質素なのね。 まあ食べてみてよ、気に入ったのがあればまた作ってあげるから。 このステーキはロードのお肉だから数量限定だけどね」

「オークロードのお肉なんて凄く珍しい物ですね。 では頂きますね」



 食べる前に洗浄魔法をかけたあと、リーアは真っ先にお肉に手を出す。

 高級なお肉だもんね、気になるよね。

 という事で私もロードのお肉を食べてみる。


 うん、美味しい。

 普通のオーク肉は、なんというか少し臭みのある豚肉だった。

 それに比べてロードのお肉は臭みが無く、食べやすい。

 生姜焼きとかにもしてみたいけど、塩だけでも普通に美味しい。



「これがオークロードのお肉ですか・・・・・・前にも食べたことがありますが、その時よりも格段に美味しいです。 もう別のお肉だったんじゃないかと思えるほどに。 この添えてある人参もいい香りがしますし、このピーマンもいつものより全然苦くないです。 いつもサラダはあまり好んで食べませんが、これは瑞々しくて甘くてとても美味しいです。 パンもこの前食べてからまた食べたかったので嬉しいです」



 そう言えばオークロードを討伐したんだから、そのお肉が販売されて、貴族であるリーアも食べたのかな。

 でも焼いただけのこのお肉で全然違うとかある?



「ピーマンは縦に切ると苦みが抑えられるらしいよ。 それに今後も機会があれば作ってあげるしよ。 在庫が減ってきたし、買いに行く機会がある時にチーズやバターはまた仕入れに行かないとだけど」



 まだまだ在庫はあるけど、いつ買えるかわからないからね。

 いや、買いに行こうと思えば日帰りで買いに行けるけど、移動に時間がかかるからね・・・・・・



「ユリアさん! うちで料理を作ってもらえませんか!? いえ、いっそユリアさんをお嫁に貰えば毎日作ってもらえますね!」



 リーアがテンション高めに変なこと言いだした。

 料理人になんてならないし結婚もする気はない。

 そもそもできないでしょ。

 できないよね?


 それに貴族の夫人は料理するのかな?

 料理人が作ってるんだと思うけど。



「いやいや、リーアは跡継ぎのために婿を取らないといけないでしょ。 それに私は美味しい物を食べたいと思ってるだけで、料理人の話はマリーにも言われたけど断ったし」

「マリー? マリーって、もしかしてアマリリス様ですか!? お姫様に誘われたのに断ったんですか!?」



 マリーで通じるって事は知ってる人が多い愛称なのかな?

 よくそれを偽名として使おうと思ったね・・・・・・



「料理を作るのが特別好きなわけでもないしね。 マリーは妹のデイジーの話を聞いたみたいで、一昨日わざわざうちに食べに来てたよ。 その時に勧誘されて断ったの」

「うちの街にアマリリス様が来てたのですか!?」



 再び驚きの声をあげるリーア。

 あれ、知らないのかな?



「門の所に護衛の騎士もいたし、マリーは普通に商店通りうろついてたよ?」



 リーアが驚きの表情から一転、青ざめたような表情になる。 

 門番から領主に報告が言ってそうなものだけど、お忍びだから連絡するなと言われたとか?



「お父様は知っていたかもしれませんが、わたしは聞いていませんね。 わたしに話が来たとしても気軽に会える相手ではありませんから、お屋敷に呼ぶようなことが無ければわたしに話は来ないかもしれません」

「うーん、それはどうだろう」

「え?」



 リーアが自分なりに答えを出して納得していたのを私に否定され、少し体がビクッとなる。



「たとえば門番から領主に報告があって、リーアがそれを知らずに街でマリーに会ったとする。 その時リーアが来てたの知らなかったらちゃんと報告してるの?って思われないかなって」

「たしかに。 わたしが街で会った場合、来てたのを知らなかったらすごく失礼ですね」

「マリーが来てすぐ会ったのなら連絡が行く前に会ったと思われるかもしれないけど、昨日リーアはお昼に来たよね? マリーは一昨日来て、うちに1泊した後、昨日の朝帰ったの。 だからリーアがもうちょっと早く来てたら鉢合わせてた可能性もあったんだよね」

「もしそこで会っていたら、1日たっても門番からの報告が届かない街と思われてしまうと・・・・・・」

「私はリーアのお父さんを知らないから、何とも言えないけどね。 もしかしたらマリーがお忍びだから報告するな、って門番に言ってた可能性も0ではないと思うよ?」

「そう、だといいですが。 帰ったら一応確認してみます」



 リーアが心配そうな顔をしている。

 報告するなと言われてたのならいいけど、そうでないなら連絡がちゃんとできない街と思われてしまうのだ。

 しかも王女に。


 あ、しまった、また余計なこと言って心配させてしまった。

 しかも明日帰る予定だからすぐに確認できない。



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