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42 砂糖作り

 朝、私はマリーが起きる前に朝食の準備をする。

 ディアは起こす必要もなく、いつも私が起きると勝手に起きる。

 そもそも寝てるわけではなく、私にくっついたまま目を閉じてジッとしてるだけみたい。


 今日はいつものパンのスライスを焼いてバターを塗ってみた。

 なんだかんだ今まで一度も使ってなかったバター。

 機会があればじゃがバター作りたいな。

 後はいつものサラダを作って朝食完成。



「よし、朝食の準備はできたからマリー起こしてくるね」



 ディアに一言言ってから私は2階へ行き、マリーの寝てる部屋まで行く。



「マリー、朝だよ」 



 返事がない。



「マリー? 入るよ?」



 部屋に入ると、マリーはベッドの上で横向きに丸くなっていて、掛け布団を抱き枕にして寝ている。

 横向きに寝ているせいか髪がベッドから垂れて地面についている。

 寝相悪いな・・・・・・

 ベッドまで行き、揺すって起こす。



「マリー、朝食できたよ、起きて」

「もう少し・・・・・・」

「おーい」

「デイジーは? もう起きたの?」



 目を閉じたまま眉を寄せ、妹のことを聞いてくる。

 どうやら寝ぼけてるようだ。

 お城だと思ってる?



「デイジーはいないよ、ここはお城じゃないからね。 ディアも待ってるから早く起きて。 それとも本当にまだ寝てる?」

「おきるわ・・・・・・おきるわ・・・・・・スゥ」



 起きると言いつつそのまま寝てしまったので、脇を突っつく。



「ひゃっ! なに!?」



 びっくりして飛び起きた後、周囲を見渡し、自分がどこにいるのか理解できてないようだった。



「起きた? ここは私の家だよ」

「あ、ユリア、おはよう」

「おはよう。 朝食の準備はできてるけどどうする? まだ寝る?」

「いえ、もう起きるわ」



 マリーが着替えると言うので、1階に降りてディアと一緒に待つ。

 ディアは特に怒ったりはしてないみたいでよかった。



「待たせたわね」



 少し小走りで2階から降りてくる。

 意外と待たせたこと気にしてる?



「今日はバタートーストにしてみたよ、どうかな? チーズと同じところで作ってるんだけど」



 トーストの感想をマリーに聞いてみた。

 ディアは甘い物や品質の高い野菜以外は反応がいまいちなんだよね。



「これも美味しいわ。 それにいい香り。 チーズの村で一緒に作ってるのよね? これもお城に欲しいわ。 デイジーにも食べさせてあげたいし」

「バターは難しいかな。 作ってから2~3日しか持たなかったはずだから、凍らせたりできないと持って帰るのは無理だと思う」



 手作りバターは日持ちしないと聞いたことがある。

 保存技術が発達してないこの世界なら尚更だろう。 



「少しくらいなら冷蔵できるけど、それじゃダメなの?」

「冷蔵で2~3日だね。 常温ならその日のうちに溶けちゃうんじゃないかな? 今日食べてるのはちゃんと保存した物ね」



 私には収納スキルという最強の保存方法があるからね。

 でも冷凍倉庫はあるんだし、それを馬車に使って冷凍倉庫付きの馬車にはできないんだろうか?

 まあ無いって事は難しいんだろうけど。



「むー・・・・・・それなら今度お城に来た時デイジーにも食べさせてあげてほしいんだけど。 もし約束してくれるならお城への入場許可は私が取っておくから」

「それくらいならいいよ。 いくつか作りたい物もあるから、完成したらそれも持って行ってあげる」

「それは楽しみね、私の分もよろしくお願いするわ」

「いつ行くかわからないけどね。 そういえば今日はどうするの? 目的は果たしたし帰る? それとももう少しいる?」

「帰るわ。 お父様に無理言って出てきたから、目的を果たしたらすぐに帰らないと」

「そっか。 それじゃあ途中まで送るよ」



 朝食後、ディアはついてくる気はないようで畑に行ってしまった。

 なので私1人で門まで送る。 


 門まで行くと護衛なのか騎士が2人いた。

 護衛2人は少なくない?と思っていたら、私たちの後ろから4人ほどやってきた。

 離れた場所から見守ってた人がいたようだ。


 無事に街を出て行ったので、私は家に帰って来た。

 比較的安全な街の中とは言え、見えないくらいお姫様から離れてていいのかな? 



 家に戻って畑に行くと、ディアが土いじりをしている。

 私はディアの指示通りに水を撒いたあと家に入る。


 本当に私のすることがない。

 することが無いというかできる事がない。

 私に畑の知識が無いのも原因の一つではあるけど。


 そもそもディアは精霊の力を使って畑の管理をしてるのか、普段は畑を歩いたり浮いてるだけにしか見えない。

 たまにしゃがんで畑を見ていて、その時に土が動いてる。

 そんな特殊能力みたいな力で畑を管理してるので、私がなにかしても足を引っ張るだけだ。


 落ち込んでいても仕方ないので、油と砂糖を作ってみることにする。 



「まずは砂糖から。 観察眼でサトウキビを見て・・・・・・えーっと、まずはサトウキビの皮を切って中身をなるべく細かくすると」



 サトウキビの皮を野菜の皮むきの要領で切ろうとするが硬い。

 私の力なら何とか切れるが滑りそうで怖いね。

 まあ滑っても指を切ったりはしないんだけど。


 結局薪割のような感じに刃先を食い込ませ、台に叩きつけて皮を切っていく。


 次はそれを細かくしていくんだけど、包丁では限界があるのでミキサーが欲しい。

 なので今後も使いそうだし簡易ミキサーを作ることにした。


 作り方は簡単。

 土魔法でちょっと大きめのピッチャーを作り、下部に刃を付けるだけ。

 後は中にカットしたサトウキビを入れて蓋をし、土魔法で刃部分を回転させればいい。

 土魔法で作った物は壊れないから、多少力加減を間違えても大惨事にはならないし。



「結構あっさり細かくなったね。 えーと次は・・・・・・これを絞るのか」



 絞る道具は何がいいだろうか・・・・・・ハンドジューサーが使いやすいかな? 

 今なら身体強化で結構な力が出るので、大きめのハンドジューサーを土魔法で作ってみる。

 作ったハンドジューサーに細かくしたサトウキビを入れて蓋をし、普通に搾ってみる。

 搾った物は漉さないといけないので、目の細かい木製ザルを土魔法で作ってフライパンに置き、搾った物をザルに移した後、身体強化をして再度絞る。

 するとまだまだ搾れる。



「搾るのは身体強化しないとダメか。 まあいいや、このまま細かくしたサトウキビを全部搾っちゃおう」



 お試しで細かくしたサトウキビ1本分を全部絞ってザルに移して漉す。



「で、トロトロになるまで灰汁を取りながら煮詰めると」



 木べらで攪拌しながらしばらく眺める。



「トロトロになったら今度はボウルに移して湯煎でドロドロになるまで混ぜる・・・・・・時間かかるなこれ・・・・・・」



 水分が無くなるまでひたすらへらで混ぜる。



「へばり付かないように剝がすように混ぜるって書いてあるけど。 土魔法で作ったボウルならくっ付かないからこれは気にしなくてもよさそう。 で、カチカチに固まった物を砕くと砂糖になるのね」



 熱してカチカチに固まった砂糖の塊を、キレイにしたさっきのミキサーに入れ、粉々にする。

 細かくしたものを大き目のお椀に入れて完成!

 さっそく味見をする。



「・・・・・・ふむ、普通の黒糖だね。 でも自分で砂糖を作るのはちょっと感動かも」



 うまくできたのでディアにも食べさせてあげようと畑に行く。



「ディア、砂糖できたよ」



 声をかけると、ディアが作業を中断してふよふよとこちらに来る。

 私は砂糖をスプーンで掬い、近づいてきたディアの口元に運ぶ。

 食べたディアの表情が一気に変わった、両頬に手を当てて幸せそうな表情をしている。



「もっと食べる?」



 口の中で砂糖を溶かしながら大きく頷くディアに再び砂糖をあげると、また幸せそうな表情をする。

 結局今回作った分は全部ディアにあげてしまった。

 まあ作り方はわかったし、また作ればいい。



「じゃあ次の物を作ってくるね」



 幸せそうなディアの頭を撫でて再度家に入る。

 かなり砂糖を食べさせちゃったけど精霊だし大丈夫だよね?

 根拠はないけど。


 まあダメだったら本人が何か言うでしょ。



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