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32 王都へ

 翌日から私はディアと一緒にずっと畑にいた。

 ジャガイモや唐黍たちも育ってきて畑らしく見えるようになってきた。

 リンゴは早くも芽が出てきたけど、相変わらずスポンジかというほど水をあげても全部吸っていく。

 そのせいか、他の作物の成長がちょっと遅くなっている気がする。

 いや、もともとかなり早いんだけど。


 それにしても本当に大丈夫?

 変な植物型魔物みたいなの生まれない?

 ディアがいるから大丈夫だと思うけど・・・・・・


 そして、ここ数日ずっと畑に付きっきりだったのでパンがなくなってしまった。

 なので気分転換も兼ねて商店通りでパンを買っていたら、ふと思い出した。



「あ、そういえばオークのお肉貰ってないや。 あれから何日たってたっけ・・・・・・」



 私はしばらくぶりに冒険者ギルドに顔を出した。



「あ、ユリアさん!」」



 私に気付いたスズランさんが少し大きな声で私の名前を呼ぶ。

 呼ばれたのでそのままスズランさんの元へと向かう。



「お久しぶりですね、最近来てませんでしたけどどうしました?」

「あの後引っ越したんですよ、それに畑を作ったりといろいろしてたら大分たってましたね」

「引っ越しちゃったんですか!? どこの街ですか!?」

「あ、家を建てたというだけで、宿屋暮らしから自分の家に移っただけですよ。 なのでこの街にいます」

「そうですか、それはよかったです。 ランクBになって王都にでも行っちゃったのかと思いました」

「わざわざ王都になんて引っ越しませんよ。 それで今日は魔石やオークのお肉を引き取りに来たのと、買取れるようなら新たにオークを置いていこうかと思いまして」

「なるほど。 お肉は冷蔵倉庫の奥の冷凍倉庫の方に保管してありますので、オークを置きに行ったときにそのまま回収してください。 魔石はオークの買取り金と一緒にお渡ししますね」

「わかりました、それじゃあ倉庫に行ってきますね」



 ギルドを出て裏から倉庫に入ると、ギルド職員の人が何人かいた。

 私が来た説明をすると、話は聞いていたみたいでお肉の場所を教えてくれる。

 お肉を回収した後、そのままオーク10体を置いて受付に戻る。



「それではこちらがオークの買取り金とロードの魔石です」

「ありがとうございます」



 前回の一割程度のお金と、10cm弱ほどの大きな魔石を受けとる。

 どうやって使うんだこんな大きいの。

 魔石板に入んないよ。


 買い物とギルドでやる事も終わったので、畑仕事を再開するのために家に戻る。



 家に戻るとディアが鎧を着た人を睨んでいる。

 え、なにごと?



「何かありました?」



 私は鎧を着た人に話しかけてみる。



「あ、えっと、私は王国騎士団第二騎士隊隊長のカシナートと申します。 この辺りにユリアという冒険者が住んでると聞き、来たのですが・・・・・・」

「ユリアは私ですね、何の御用でしょうか」



 まあ王都から来たって事はこの前のチーズの事だよね。

 さて、どう出てくるかな。


 まずはギルドカードを見せて本人だと信じてもらう。



「ランクBのユリア殿・・・・・・はい、確認しました。 国王陛下が面会をしたいとのことでお迎えに上がりました」

「面会? 内容はなんですか?」

「そこまでは知らされていません。 話をしたいから王城まで連れてくるようにと」



 めんどくさい。

 でも国王相手に用があるならお前が来いとは言えないしなぁ・・・・・・



「王都までどれくらいかかります?」

「今回は特別に早馬車をご用意いたしました。 片道3日ほどです」


 

 めっちゃ時間かかるじゃないの!

 でも行かないわけにはいかないし・・・・・・



「ごめんね、しばらく留守にしちゃうかもしれないけど大丈夫?」



 私はディアに聞いてみる。



「畑にはあまりよくないから早めに帰ってきてほしいの。 一時的に加護を下げてリンゴの木の成長は抑えておくけど、何週間もかかるとまずいの」

「わかった。 さすがにそんなにはかからないと思うけど、なるべく早く帰ってくるね」



 畑の事はディアにお願いし、孤児院にはしばらく出かけることを伝えると、そのまま馬車で王都に向かうことになった。




「暇すぎる・・・・・・」



 しばらく馬車に乗って景色を眺めていたけど、こんなの速攻で飽きる。

 やわらかいクッションがあるからお尻が痛くなったりはしないけど、結構揺れるし。


 この馬車は普通の馬車より速いのかもしれないけど、私が走るより圧倒的に遅い。

 広い馬車に1人で話し相手もいないし、景色を眺めるか寝るしかない。



 退屈なまま日が暮れていき、道から少し離れたところで馬車が止まる。

 ここで野宿するみたいだ。

 騎士の人たちが火をおこしたり、干し肉のような物を齧ってそのままマントみたいな物に包まって寝てしまう人。

 見張りなのか周りを警戒してる人など各々行動している。


 私は周りにお構いなしに収納してあった1階建てのミニハウスを少し離れた場所に出す。

 周りの騎士が驚いて声も出ない状態だったけど、私は野宿なんてする気が無い。

 ちゃんとベッドで寝るよ。



「これはいったい・・・・・・」



 カシナートという騎士の隊長さんが、家を見ながら私の所に来る。



「見ての通り家ですよ。 その辺で雑魚寝なんてしたくないですし」

「家なのは見てわかりますが、いったいどこから」

「土魔法で家を作って収納しただけですよ?」

「土魔法でこのサイズの家を作ったのですか・・・・・・さらに収納までできるという事はとてつもない魔力をお持ちなのですね。 その若さでランクBというのは正直疑っていましたが、これを見れば優秀な魔法使いであることはわかります」

「そうなんですか? 私は他の魔法使いを見たことが無いので比べたことが無いですね」



 そもそも冒険者としてたいして活動してないし、戦うのも基本1人だし。



「土の魔法で建材を作っていき、それを組み合わせて家を建てる者はいますけど、それを収納できる魔法使いを見たことがありません。 しかも木材でこのサイズを作るとなると相当時間もかかるでしょうし、維持も大変そうです」



 普通はそのまま建てるんじゃなくて、材料作って組み立てていくのか。

 というか維持するのに何か必要なの?

 今住んでる街にある方の家は作ってから放置なんだけど、今の所何ともない。

 私が作ったから平気だったのか、それとも近くにいるだけで魔力とかが吸われてたりしたのかな?

 全然実感はなかったけど。


 もしかしたらディアが何かしてくれてる可能性もある?

 家は土魔法で作ったし、ディアは土の精霊だし。



「お邪魔してすみません、私は警戒に戻りますのでごゆっくりお休みください」



 頭を下げて離れて行こうとする隊長さんを見ていて、ふと気になった事がある。

 私はどういう扱い何だろうか?と。


 前回村にいた騎士とは結構険悪な状態だったと思う。

 その状態で王様に報告をしたなら、私は反逆者として処刑と言われてもおかしくないと思っていた。

 なのにこの隊長さんは丁重に扱ってくれているし、最初に会った時から敵対心は無かった。

 ディアには睨まれてたけど。


 その事が気になったので聞いてみることにした。



「ちょっと聞いてもいいですか?」

「はい、何でしょうか?」



 去ろうとした隊長さんが振り返る。



「私ってどういう扱いなんでしょうか?」

「私は国王陛下より、冒険者ユリアを急ぎ城へ連れてくるように、という命令しか受けておりませんので、詳細などはわかりかねます。 陛下の声色から犯罪者を捕まえて来いと言うようなものではなかったのと、王族所有の早馬車を使って呼びに行くということで、国の要人として扱わせていただいています」



 この隊長さんの雰囲気や態度からも嘘ではないのだろう。 たぶん。

 それに聞く耳持たないというわけではなさそうだし、お願い事をしたら聞いてくれるかな?



「それじゃあ、1つお願いがあるんですがいいですか?」

「私にできる事であれば何なりと」

「私が魔法で壁を作るので、見張りの人たちにも寝てもらい、朝早くから出発することはできますか?」



 交代で見張りをするって事はその分睡眠に時間を使うという事だ、それが無くなればその分早く移動できる。

 早く出発しても馬のために休憩回数が増えるだろうけど、少しは早くなるはずだ。

 馬車でのんびり移動は私には退屈過ぎて辛い、サクラやリーアでもいれば話し相手になってもらえたのに。



「それは・・・・・・壁の強度次第、でしょうか。 申し訳ありませんが、私としてはユリア殿の作った壁が安全だと確信できなければ見張りをなくすことはできません。 万が一があっては困りますので」



 まあそうだよね、私の魔法で作った壁がどれくらい硬いか知らないもんね。

 でもそれなら実際に作って見せればいいだけだ。


 私は周りを見て、騎士が見張りをしている場所からさらに外側に土魔法で3mほどの壁を作る。

 いきなりできた壁に見張りをしていた騎士たちが驚いているが、私はそれを無視してどんどん作っていく。

 上を歩けるように厚さは1mくらいにして、さらにその内側に2mの高さの壁を作り、更に内側に1mほどの壁を作る。

 ちょっと高いけど階段状になっている。

 大人の男の人なら鎧着てても普通に登れるでしょ。


 壁は完成したので、次は柵を作っていく。

 3mの壁の上面の外周に落下防止ように柵を作る。

 これで魔物が来ても上から狙撃ができるし、中に入られることはない。

 更に柵の上部をドーム状に蓋をする。

 これで上空からも攻撃されない。

 問題は日が昇ってもちょっと暗そうな事かな。

 明かりだけは照明魔法だしておけばいいけど。

 あと見えないところ、地面の下も土魔法で固めてあるので、地面を潜っても進入できないようにしてある。



「こんな感じでどうです? 耐久面が気になるなら壁を全力で攻撃してもいいですよ」

「・・・・・・わかりました、身体強化も使い試させていただきますね」



 いきなりできた壁に隊長さん含め全員が固まってしまった。

 私が話しかけると、少しして隊長さんが正気に戻って壁の強度を試しに行く。



「おい、予備の剣を持ってきてくれ」



 隊長さんが近くにいた他の騎士に武器を持ってくるように言うと、その騎士は馬に積んであった荷物から剣を持って来て隊長さんに渡す。



「どうぞ」

「ああ、少し離れていろ」



 隊長さんがそう言うと騎士は離れていく。

 それを確認した隊長さんは、何やら力をためた後、勢いよく壁を攻撃する。

 すると「ガキン」という大きな音と共に剣が折れてしまった。

 折れた剣先が結構な勢いで飛んで行き、私は思わず「おお、凄い飛んだ!」と少しテンションが上がった。


 隊長さんは折れた剣と自分の手、そして攻撃した壁をしばらく眺め、握りこぶしを作る。

 何かを確認した隊長さんは近くにいた騎士に剣を渡し、私の所へ戻って来た。



「強度としては恐ろしい物でした。 今まで魔法使いが土魔法で作った物を訓練用に使ったことがありますが、まったく欠けも凹みもしないどころか、剣の方が折れてしまうのは初めてです」

「じゃあ問題なさそうですか?」

「問題ありません、これほどの防御力があれば安心でしょう」

「なら最後の仕上げをして完成させちゃいますね」

「え?」



 私の言葉に隊長さんは驚いているが、このままでは寝てる間に梯子などをかけられれば柵の隙間から盗賊などに外から狙撃されてしまう。

 なので内側にも柱4本で支えたドーム状の屋根を作り、外から山なりの狙撃されても中までは届かないようにする。 

 あとはその内側の天井に照明魔法を使って内側を照らして明るくする。

 これで安全な場所は完成した。


 最後は休む場所だ。

 こんな明るくて、しかも地面ではちゃんと休めないと思う。

 私の家を端の方に移動して、反対側に騎士たちの寝る場所を用意する。

 寝る場所と言っても大部屋にベッド用の低い台が人数分あるだけだ。

 そのベッドは内側が凹んでいて浅めの箱状になっている。

 私はその中に木材を風魔法で削った木屑を敷き詰めていき、いっぱいになったところで、土魔法で薄くした木をシーツ代わりにして蓋をする。

 この木を薄くしたものがかなり使い勝手が良くて、木目はあるけどザラザラしたりしないし木屑も出ない。

壊れないのもあって、このようにシーツみたいに使う事もできる。


 まあ全員分の布団やシーツなんてないし、藁とかがあればそれを使いたかったけど持ってないので、これで我慢してもらおう。


 騎士用の寝床ができたら次は馬小屋だ。

 私の家と騎士たちの寝床の間に馬小屋を作る、敷くのは騎士たちと同じく藁ではなく木屑と木のシーツだけど。



「これくらいあればいいですか?」



 完成した後、隊長さんに軽く寝床と馬小屋の説明をする。

 説明と言っても見たままわかると思うけど。



「ここまで揃っていては村に泊まるのと変わりませんね。 本当によろしいんですか?」

「ちゃんと休んで元気になって、昼間に頑張ってもらえればそれでいいですよ」

「ありがとうございます。 それでは我々もしっかり休み、明日に備えます」

「あ、寝る前に全員馬小屋に集合してもらっていいですか?」

「? わかりました、招集をかけましょう」



 首を傾げながらも騎士たちに声をかけ全員集合させる。



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