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29 酪農の村へ

「アスレチックはどうだった?」



 みんなでお風呂に入った後、リーアを送るために孤児院を後にした。

 そして、リーアを送る道中アスレチックの感想を聞いてみる。



「楽しかったです、どれもそれぞれ面白かったんですがやっぱりブランコが良かったですね。 とても風が気持ちよかったです。 滑り台も楽しかったのですが、下りた後また上らないといけませんからね。 その手間分ブランコの方が高評価です」

「高い所や丘なんかを利用してすごく長い滑り台も作れるけど、結局上る工程があるのは同じだし、何なら長く高い分上るのも大変かな。 それに高い遊具は落下の危険度も増すから、子供たちが落ちたらと思うとどうしても作れないんだよね」



 全体的に屋根や柵を作れば大丈夫かもしれないけど、そうすると滑ってる時の景色が悪くなるんだよね。



「ユリアさんは優しいですね、そこまで他所の子供たちの安全を考えてるなんて」

「そう? 普通だと思うけど」

「世の中、自分のことしか考えていない人の方が圧倒的に多いですから」

「そうかな? 自分を優先する人はたくさんいるし、普通だと思うよ? 自分のことしか考えない人は少数じゃない?」



 自分を優先するのと自分のことしか考えないのはイコールじゃない。

 私だって初めて会った時はサクラより自分を優先したし。



「ユリアさんの周りは恵まれていたんですね。 私の知っている貴族だけでもたくさんいます。 盗賊のような野蛮な人たちも、自分たちのために商人や旅人を襲っていますし」

「そうなんだ・・・・・・私が知らないだけなのかな。 貴族もリーア以外多分知らないし、盗賊にもあったことないし」



 リーアの周りがそうなだけなのか、本当に多いのかは私にはわからないし調べようもない。

 わかったとしても世直しの旅なんてできないし、出来たとしてもやるつもりはないけど。

 私は自分の好きなように生きて、手の届く範囲の人を助けるだけだ。

 主に子供たちを。



「そんな人たちに負けないように私は賢く強くならないといけないのです。 利用されたりしないように!」



 歩きながら拳を空に向けるリーア。

 この年からそんなに将来の事を考えて勉強を頑張るなんて、私には無理だね。

 元々勉強は苦手だし今だって戦う力があるだけだ。

 でも、その「力」でよければリーアの手助けはできるかな。



「何でも自分でやる必要はないんだよ。 1人で抱え込むと視野も狭くなっちゃうし。 頼れる相手がいるなら頼ったっていいと思う。 リーアにはサクラって親友がいるんだから。 勉強は協力できないと思うけど、戦力としてなら私でも協力できるし」

「・・・・・・ありがとうございます。 気持ちが少し楽なった気がします。 ですが、だからと言って努力しないわけにはいきません。 自衛ができる程度には文武両道を目指します!」

「向上心があって素晴らしい。 私は好きなことして生きていくことしか考えてないよ」

「次期領主になるべく頑張るのも私のやりたいことですから、方向は違えど気持ちは同じです」

「向いてる方向が180度違う気がするね、その気持ち」

「でもユリアさんの向いている先にも、周りの人の笑顔がありますよ。 村を助けたり孤児院の子供たちの遊び場を作ったり。 なによりサクラを救ってくれました」



 そういって笑顔を向けてくるリーア。

 私がサクラを助けたことで守れた笑顔だ。


 オークと戦った時は村を助けるという気持ちはななく、ジャガイモが欲しくて買いに行ったら襲われたから倒しただけだ。

 治療も効果があるのか試したかったという気持ちが強かったし。

 それでも結果として村は救えた。

 どうせ難しく考えたって私の頭でいい答えが出るとも思えないし、このまま好きに生きてたほうがいいってことかな。

 


「ありがとう、それなら私はこのまま好きなことだけしていこうかな。 難しく考えるだけ時間の無駄だし」

「まったく考えないのは問題な気もしますが、ユリアさんはそのままでいてほしいです」



 そのまま、か。

 私がやりたいことはどんどん消化していると思う(思いついたことをそのまま実行してるだけとも言う)。

 後は食材を何とかしたいところ。


 ジャガイモは植えたから育つのを待つだけ。

 後、育てやすいのはトウモロコシだっけ?

 あとは砂糖や、ジャガイモがあるからバターも欲しい。


 確かトウモロコシも粒をそのまま植えればできるんだよね?

 砂糖もサトウキビを切って植えれば育ったはず。

 さすがにバターは牛とか山羊を飼わないといけないし、自家製は厳しいかな。



「それなら、私のやりたいようにするために、リーアにちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なんですか?」

「トウモロコシ、唐黍?とサトウキビが欲しいんだけど売ってる場所知ってる?」

「サトウキビはミノコウ王国の南端で育てられていますので、そこから来る行商に頼めば買えると思います。 砂糖を注文するついでに頼むようお父様にお願いしてみましょうか?  唐黍なら今うちにあると思いますのでお譲りできると思います」

「唐黍譲ってもらえるなら欲しい。 多少高値でも欲しい。 サトウキビも多少高くても買うからできたらお願いできるかな? あ、あとはバターを売ってる村があれば教えてほしい」

「大量には無理だと思いますが、少量でもよければすぐにお譲りできると思います。 大量に欲しいのであらばこちらも頼んでおきますが。 バターを売ってる村は、西へ向かって2つ目の分かれ道を南に行って1つ目の分かれ道を西に行った所の村で売っています。 ただ、売っているという情報があるだけで、実際に見たことはありません。 バターは日持ちしないようなので、他の街や村に売るのが難しいそうです」



 こんなにポンポン情報が出てくるなんて、本当に頭が良くて記憶力もすごいなリーア。

 というか、何気なく聞いたけどバターを普通に売ってるのか。



「ありがとう。 唐黍は切ってある小さいのでも十分だと思う。 バターの村には明日あたりさっそく行ってみるよ。 保管方法も知ってるし」

「いえいえ、これくらいお安い御用です。 他者に教えるのは自分の勉強にもなるとお父様にも言われてますし。 もちろん機密情報は教えられませんが」



 そう言って笑顔で人指し指を口の前に持ってくる。

 可愛い子がすると可愛い仕草だ。

 私にはできない。


 そんなやり取りをしていたら屋敷の門まで来ていた。

 リーアが唐黍を持ってくるから少し待っててというので門の前で待機する。


 ちょっと時間がかかってリーアが戻ってくる。



「お待たせしました、唐黍です。 あとこれ、お父様が砂糖と一緒に興味本位で買ったと言っていたサトウキビです。 皮を切ってそのまま齧るしか使い道がないようなので、よかったらどうぞ」

「え、いいの?」

「はい、お父様は私のおやつにでも渡すつもりだったみたいなので、遠慮なくどうぞ」

「それはリーアのおやつを奪うことになっちゃうね・・・・・・あ、それなら代わりにリンゴのジャムをあげようか」

「いいんですか?」

「大量に作ったからいろんな人に食べてもらおうと思ってたしね」



 収納からリンゴジャムの入った手つかずの容器を取り出す。



「あまり日持ちはしないから早めに食べてね。 あと保存する場合はなるべく涼しい場所で保管して」

「わかりました、お父様と一緒に頂きますね」



 お互いに食べ物を交換して私は家に向かう。

 ダッシュで他国まで行くか、しばらく我慢しないとダメかと思っていたのに、いきなり両方手に入るとは思ってなかった。


 家についた私は、ディアを落とさないように気をつけながら早速畑を拡張する。

 耕した後に穴をあけて唐黍の実を数粒ずつ入れていく。

 次はサトウキビ、これを節の所で切って横にして地面に埋める。



「よし、よくは知らないけどこれでいいかな。 ダメだったら栽培してる人の所に聞きにけばいいし」



 最後に水を撒いて私は家に入った。




 翌朝、私はいつもどおり朝食後に畑の水やりをしに行こうとディアを抱っこしたら、昨日より少し大きくなっていることに気が付いた。

 精霊は成長が早い?


 水やり後にバターの村に行こうとしたけど、ディアは畑のそばにいたいからお留守番をすると言い出した。

 仕方ないのでお留守番を頼む。

 1日で成長してもう親離れ?

 ちょっと寂しい。


 街の外へ出て西へ向かい、ある程度離れたら全力ダッシュしてバターの村へ進む。



「えっと、バターの村は西に向かって2つ目の分かれ道を南だったよね」



 3時間ちょっと走ったところで2つ目の分かれ道についた。

 南へ向かい、少し走ると分かれ道があったので西へ、分かれ道からは結構近かった。


 前回と同じく村の近くまで行くと歩きに変え、村の様子をうかがう。



「え、また村人が見えないんだけど。 まさかまた魔物とか来てないよね・・・・・・」



 アニメとかで毎回事件に巻き込まれる探偵や刑事を思い浮かべてしまう。

 不安になりながら今回も少し小走りに村へ入って行く。


 村に入ると、また見える範囲に人がいなかった。

 何かあったんだと思い、地図を表示しながら村の中を歩く。

 すると、1か所に人が集まっているのがわかった。



「魔物の気配もないし何かの行事かな?」



 緊急な状態ではなさそうなのでゆっくり近づいていくと、兵士も何人かいた。



「村に鎧を着た兵士? どこかの街とかから来たのかな? え、そうなると兵士がわざわざ来るような状態だったって事に・・・・・・」



 私は少し不安になりながら眺めていると、村人が何人か拘束されて連行されていた。



「何か問題でも起こして捕まったのかな?」



 拘束されていた人たちが兵士に連れられ、野次馬から離れて村の入り口の方へ向かう。

 当然入り口から入ってきた私は入り口に向かう兵士たちの進行方向に立っている。


 連行されてる人たちを見てみると「悪事が見つかった、ちくしょー!」という表情ではなく「何でこんなことに・・・・・・」といった絶望的な悲しみの表情をしていた。


 ちょっと事情を聴いてみようかな。

 教えてくれるかわからないけど。



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