27 リーアに完成報告
「というわけで、この子は私の子供として育てることになりました」
孤児院のみんなに集まってもらいディアを紹介する。
精霊だという事も私の魔力で生まれたことも話した。
精霊なのはいいとしても、私の魔力で生まれた話はしない方が良かったかな?と話した後に思ったけど、特に変わった反応もなかったので大丈夫そうだ。
恥ずかしいのか興味がないのか、ディア本人はちょっと顔を向けるだけですぐ私にしがみついてしまう。
「精霊は初めて見ました・・・・・・」
「可愛い」
院長先生はいつも通り驚き、サクラは笑顔でディアを見ている。
他の子供たちも精霊がよくわからないのか、小さい子としてみているようだ。
さっき反応がいまいちだったのもただ理解してないだけだったようだ。
いや、私も精霊についてよく知らないけど。
「今はまだ甘えん坊だけど、みんなと遊ぶようになったら仲良くしてもらえると嬉しいな」
精霊が育つとどうなるのかわからないけど、子供同士仲良くしてほしい。
私のお願に、子供たちは笑顔で受け入れてくれたので、あとはディア次第かな。
孤児院への挨拶も済ませたので今度はリーアの所へ行く。
この子の紹介と孤児院のアスレチックが完成したことの報告のためだ。
サクラからリーアの家の場所を聞いてさっそく向かう。
商店通りからのびる大きな道を、北東へ向かうと孤児院があって、北西の方へ向かうとリーアの家、というか領主邸がある。
孤児院は壁の近くにあったけど、領主邸は商店通りからそこまで遠くなかった。
まあ端の方だと不便だろうしね。
領主邸まで行き、門番の人に伝言を頼む。
「すみません、リーアにユリアが話があるって伝えてもらえませんか?」
「失礼ですがお嬢様とどのようなご関係で?」
「友達、かな? リーアに完成したよって伝えてもらえればわかると思いますので」
「・・・・・・少々お待ちください」
門番がお互い見やった後、1人が訝し気な表情のまま屋敷に向かっていく。
もう1人の門番が、中に入れまいと門の正面に立つ。
まあ幼児抱いた子供が領主邸に来たら普通はなんだこいつと思うよね。
しかも領主の娘に伝言を頼むとか怪しすぎる。
もちろんこちらから争う気はないので、のんびり待つ。
喧嘩を売られたら買うけど。
寝ているディアの背中を撫でながら寝顔を眺めていると、屋敷の扉が開きリーアが走ってくる。
相変わらずそんなフリフリな服でよく走れるね。
しかも結構足速いじゃないの。
そんな感想を抱きつつ走ってくるリーアに手を振る。
「ようこそいらっしゃいました。 完成したって聞きましたけど、もう行っても大丈夫なんですか? それとその子は新しい孤児院の子供ですか?」
リーアが私を見てもう行っていいか聞いた後、ディアを見て質問してきた。
忙しい子だ。
「大丈夫だよ。 昨日完成したからその報告と、この子の紹介をね」
子供たちはよくわかってなかったけど、貴族の関係者に広めていいのかわからないので、とりあえずリーアを手招きして小声でディアの事を説明する。
リーアも貴族だけどね。
まあ友達だからいいでしょ。
「え!? この子が精霊ですか!?」
説明にリーアが小声で驚く。
「そうみたい。 で、私が育てることになったからリーアにも紹介しようと思ってね。 名前はデアソリット」
名前は知られてもいいので小声会話をやめて普通に話す。
「可愛いですね、触ってもいいですか?」
「嫌がらなければいいよ」
リーアが恐る恐る頬をつつく。
するとディアは目を開けてリーアを見るけど、すぐに目を閉じてしまった。
でも嫌がってはいないみたい。
というか興味が無い感じ?
リーアの方は恍惚の表情を浮かべている。
「嫌がってはいないみたいだね」
「ではもう1回・・・・・・」
今度は少し長めに頬をつついていたら、ディアは少し不満そうな表情で噛みついた。
リーアが痛がってはいないから本気で噛みついたわけでは無いと思う。
リーアの方は感情が爆発したように顔を抑えたりバタバタしている。
暴れていたら指が離れ、少し落ち着いてくる。
大丈夫かな?
「あ、あの。 1回抱っこしてもいいですか?」
リーアの表情が人に見せられないような感じになってるんだけど、本当に大丈夫?
と思いながらもディアに聞いてみる。
「リーアも抱っこしたいって言ってるけど、いい?」
ディアはしばらく悩んだ後、目も開けずに軽く頷く。
了承は得られたのでリーアに抱っこさせる。
「か、軽いですね。 それにすごく柔らかくていい匂いもします」
そう言いながらディアに頬擦りしている。
表情と発言も相まってはたから見るとひどい光景だ。
しかし、急にリーアが止まる。
「どうしたの?」
「すみません、この子をお返しします」
震える手でディアを返してくる。
何かあったのかな?
「大丈夫?」
「いえ、嬉しすぎて一瞬意識が飛んだのと、頭に血が上りすぎて気持ち悪くなってしまいました」
感情が限界突破しちゃったみたいだ。
リーアの頭に手を乗せて「リカバー」をかけてあげる。
効果があるかわからないけど。
「リカバー・・・・・・これでどう?」
「あ、楽になりました。 ありがとうございます」
ちゃんと効いたみたいだ。
というか今のは状態異常じゃなくて普通の回復でいいのか。
ちょっとよくわからない。
「リーアの面白い姿も見れたし、いいよ」
「恥ずかしいです・・・・・・」
両頬を手で押さえてうつむいてしまった。
確かにさっきのはひどかった。
サクラには見せられない光景かもしれない。
「それで。 当初の目的だけど、いつ来る?」
「あ、そうでした、幸せすぎて忘れていました。 今日行きます、このまま行きます」
「急に決めていいの?」
「はい、お父様には完成次第どんなものか様子を見てくる、という建前で遊びに行くことは伝えてあります」
「いや、遊ぶことまで伝えちゃダメでしょ。 建前だけにしないと」
「許可はもらえましたので問題ありません」
「ならいいけど。 それじゃあ行こうか」
まあちゃんと許可がもらえてるのなら問題ない。
リーアと一緒に孤児院まで歩いていく。
門番が馬車を用意するといっていたけど、リーアが歩いて行きたいと断った。
「どんな物が完成してるのか楽しみですね」
孤児院が見えてきた辺りでリーアがワクワクしだす。
孤児院の建物は一階建てだけどそれなりに高さもあるし横にも広い。
だから孤児院越しにアスレチックが見えていない。
孤児院を回って裏へ向かうとアスレチックが見えてくる。




