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26 新たな家族

 今日もいつもどおり朝食後に水やりをしに畑に向かうと、小さな女の子が畑をいじっていた。

 孤児院の子じゃないね、どこの子だろう?


 女の子はブラウンの背中まである長髪のくせっ毛で、ブラウンで半透明のドレスのようなものを着ている。

 ドレスは半透明だけど、下には白いワンピースのような物を着ているね。

 貴族の子? 何でこんな所に?


 この世界で半透明な服って言うのも気になるけど、それ以上にどこの子か気になるし、何で畑をいじってるのかも気になる。

 女の子に近づきしゃがんで話しかける。



「おはよう、こんな所でどうしたの?」



 怖がらせないように優しく話しかける。

 畑に夢中になっていた女の子が声に反応して、ゆっくりとこちらを向く。


 すごく眠そうな表情に綺麗な緑色の目でジーっと見てくる。



「?」



 私が首を傾げてると、女の子が立ち上がった。 

 立った状態で改めてみると異常に小さい事がわかる。

 赤ちゃんのような身長なのにしっかりと両足でバランスを崩すこともなく立っている。

 それによく見ると裸足だ。


 驚きながらその子を見ていると、さらに驚くことが起きる。

 女の子が浮いたのだ。

 雰囲気が浮いてるとかではなく、文字通り物理的に浮いている。

 そのまま私の方に両手を伸ばし、抱っこをせがむ子供のような仕草をする。


 このまま無視もかわいそうなので私も両手を広げて「おいで」とやると、女の子はふよふよ近づいてきて私に抱き着いて来る。


 抱っこのように支えて立ち上がり、少し揺らしながらよしよしと背中をポンポンする。

 どうしようこの子。

 そう思っていると。



「・・・・・・ママ」



 うわー、迷子か。

 とりあえず名前だけでも聞いてみよう。

 言葉をしゃべったって事は会話はできるだろうし。



「ねえ、名前はなんていうの?」



 名前を聞くが、肩にのせていた頭を左右に振る。

 わからないみたいだ。

 仕方ないので観察眼で名前を確認する。



〇ステータス

名前:

年齢:



 え、何これ怖いんだけど。

 見れないって事?

 それとも・・・・・・


 一瞬背筋がゾッとする。

 とはいえ、このままというわけにもいかないので、とりあえず院長先生にも聞いてみることにした。




 孤児院まで行き、院長先生とサクラに女の子を見せてみたが、わからないという。


 結局すぐ家に戻り、抱っこしたまま椅子に座る。

 この子も椅子に座らせようとしたけど離れようとしてくれない。

 もしかして取り憑かれた・・・・・・とか?

 もう一度話してみようか。



「あなたはどこから来たの?」

「・・・・・・畑」



 寝るように寄りかかっていた頭をこちらに少し向けて答えてくれる。

 畑・・・・・・地縛霊ってやつ?


 名前も住んでる場所もわからない。

 この小ささを考えると自我を持つ前に亡くなった霊?

 でも言葉は理解してるし喋れるんだよね。

 しかもさっき普通に立ってたし。

 もしかしたら幽霊になってからできるようになった可能性もある・・・・・・のかな?



「うーん、あなたの事で何かわかる事教えてもらえないかな」



 とにかく何か情報が欲しいので女の子の知ってることを聞いてみる。

 この家の下がこの子のお墓という可能性も無きにしもなのだ。

 女の子に質問してみると答えてくれた。



「わたしは土の精霊。 畑に溜まってたママの魔力で体を得たの」



 精霊?ってゲームとかに出てくる自然を司るとかそんな感じの?

 畑の魔力で体を得たというのもよくわからないんだけど。



「精霊って事は幽霊ってわけじゃないんだよね?」

「魂や精神だけの存在という意味では似たようなものなの。 自然などから生まれたのが精霊で、人や動物から生まれたのが幽霊なの」



 普通の幽霊と違うってことは呪ったり取り憑いたりはしないのかな?

 普通の幽霊を知らないけど。



「魔力で体を得たっていうのは?」

「畑にはすごく強い魔力がたまってたの。 その魔力に惹かれて近づいたらその魔力がわたしの身体を作ってくれたの。 だかならあなたが私のママなの」



 私の魔力で体ができたから私がママだってことか。

 いや、そんなこと急に言われてもね・・・・・・


 でもどうしよう。

 今の話が本当なら放っておくことはできないし、知らないと見捨てるわけにもいかない。

 このまま育てる?

 精霊ってどうやって育てるの?

 誰にも聞けないじゃん。

 本人に聞いてみる?



「精霊って何を食べるの?」

「体を得た精霊は魔力を吸って大きくなるの。 普通の食べ物は食べられるけど、食べなくても平気なの」


 

 それって母乳みたいに吸うって事?

 胸平たいけど平気?



「吸うってどうやって?」

「ママに触れてるだけでいいの」



 そういって少し強く抱きつく。

 それだけ?

 特に吸われてる感じはしないんだけど。

 微々たるもの?



「でも、触れてる間は吸い続けるから、辛かったらわたしを離していいの」



 さっきは離れてくれなかったけど・・・・・・

 そう思いながら試しにこの子を包むように抱きしめてみる。

 しばらくそのままでいるけど特に何も感じない。



「触れてる部分を増やすと何か変わるかもと思ったけど、特に何ともないね」

「元気な状態だと何ともないの。 でも、このままずっとだと多分疲れちゃうの」

「なるほど、ならどれくらい大丈夫かも試さないとだね」



 抱きしめたまま女の子の頭を撫でる。

 あ、そういえば名前がないままだ。



「名前ないんだよね? なんて呼ぼう。 それとも私が名前つけちゃっていい?」

「・・・・・・ママが、いいなら、付けてほしいの」



 なんか間があったしはっきりと肯定してくれないけど大丈夫?

 嫌ではなさそうだし考えるだけ考えてみようか。

 気に入らなかったら違う名前にすればいいし。



 えっと、この子は土の精霊だっけ。

 ツチノコ?いやいやそれはないな。

 土、土、ディルト?アース?ソイル?・・・・・・うーん、他に思いつかない。

 あと、精霊は・・・・・・スピリットだっけ。


 ・・・・・・頭文字を合わせてデアソ、それとスピリットを合わせてデアソリットとか?

 言葉の響的には悪くないかも、愛称は・・・・・・ディアかな。

 意味的には土地土精霊だけど。



「デアソリット、でどうかな? 愛称はディアで」

「であそりっと・・・・・・でぃあ・・・・・・」



 何度か呟いた後、小さく頷く。

 気にいってくれたかな?

 頷いたのに安心してるとディアが光る。

 そのまま少しして光は収まった。



「今のは?」

「契約なの」

「契約?」

「名前を付けられた精霊は名付け親と主従関係になるの。 だからわたしはママの娘であり従者でもあるの」

「娘なら従者は嫌だな・・・・・・娘だけじゃダメなの?」

「契約しちゃったから解除はできないの」



 こっちの意見を聞かず勝手に契約とかしないで欲しいんだけど・・・・・・



「後はママしだいなの」

「私しだい?」

「ママが命令するとわたしは逆らえないの。 その場合は従者として行動するの。 命令じゃなくてちょっとしたお願い程度なら断ることもできるから、その場合は娘として行動できるの」

「つまり『○○しろ』って言うと従者として断れないけど『○○してくれない?』って言うと娘として断れると」

「そうなの」



 つまり命令しなければ娘として接することができる。

 それなら問題はないかな。



「ちなみに、私の命令を聞くなって命令した場合はどうなるの?」

「その場合は聞いても聞かなくても片方が達成できないから、命令違反で苦しんだりするの」

「こわっ! 気を付けよう」



 今後話をするときは少し気を付けて話さないといけないね。

 あ、解決したし孤児院のみんなにもちゃんと紹介しないと。

 私はディアを抱っこしたまま家を出て孤児院を目指す。



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