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25 アスレチックを作る

「メイスはあくまでも魔法が必要ないような雑魚相手か、近づかれたときに距離を取るために振り回すくらいの物だと思え。 それで大型の魔物を倒せると思わない方がいい」



 私がまた銅のメイスを買ったのを見て、複雑そうの表情をしたおじさんが説明してくれた。



「今回は他のオークを殴り飛ばしてる間に近づかれて斬りかかられたので、咄嗟にメイスで防ごうとしたんですよ。 あっさり切られちゃいましたけど」

「嬢ちゃんは近接職なのか?」

「いえ、魔法使いですよ?」

「何で魔法使いがオーク殴り飛ばしてんだよ! おかしいだろ! 近接職だって普通出来ねえよ!」



 また余計なこと言ったっぽい。



「私は身体強化ができるので、メイスでどれくらいの敵を倒せるかなと思って叩いてたんです」

「身体強化ってのはな、元の筋力を強化するんだよ。 だからな、身体強化でオーク殴り飛ばせるやつは元々やばい怪力だってことだ」



 おじさんは怒ってるのか興奮していて顔が真っ赤だ。

 鼻息も荒い。

 このままでは今度はおじさんの血管が切れそうだ。



「え、えっと、次の予定もあるのでそろそろ帰りますね」



 武器は買ったので、私はリーアの手を引いてそそくさと店を出てそのまま冒険者通りを歩く。



「ユリアさん、オークロードまで倒したんですか・・・・・・」



 お店を出てから少し歩いた辺りでリーアの手を放した。

 すると、今まで黙っていたリーアが話し出した。



「リーアが教えてくれた村を覚えてる?」

「ジャガイモの村ですか?」

「そうそう。 その村に行ったらさ、ちょうど行った数日前にオークが襲撃に来てたみたいで、畑でジャガイモ食べてたのよ。 で、近づいたら襲ってきたから全部ぶっ飛ばして、突っ込んできたロードを魔法で倒したの」

「それを1人でですか、信じられませんね。 王族に知られたら召し抱えられそうです」

「王族の下につく気はないけどね。 自由でいたいし」

「でもユリアさんなら容姿も綺麗ですし、その強さでしたら王子殿下と婚約の話が来てもおかしくはないと思いますけど」

「誰とも結婚する気はないし、そんなことするくらいなら旅に出る。 もし王族がしつこかったら国外に逃げるつもり」

「そこまで嫌がらなくても・・・・・・王族になれるかもしれませんよ?」

「まったく興味ないね。 リーアは王子様と結婚したい?」

「お姫様には憧れますが、結婚してもお姫様ではないですし、王妃様になりたいかと言われるとそうでもないですね。 あくまでも私個人の意見ですので、お父様にそうしろと言われればそうするしかありませんけど」

「貴族って大変だね、結婚したくない相手とも結婚しないといけないなんて」

「私は伯爵家の長女ですのでまだいい方だと思います。 それなりの地位の婿を取ることになりますので。 男爵家とかだと何倍も年が離れたおじさんと結婚させられることもあるそうです」

「一般市民の私とは考え方も違うと思うけど、そんなことされたら絶縁してでも家を出る」



 不老不死の私は結婚なんてできない。

 相手が死のうが私はこのままだ。

 でも、相手も不老不死ならワンチャン? 



「一人娘の私が絶縁したら我が家はお父様の代で終わってしまいますね」

「もし絶縁したら私が引き取ってあげるよ、リーア1人くらい養うのは簡単だろうし」

「そんなことしたらお父様が泣いてしまいます」



 リーアとあまり人には聞かせられない冗談を言った後、リーアと別れて孤児院に向かう。



「あ、ユリアちゃんいらっしゃい」



 いつもどおりサクラが出てくる。



「ちょっと増築しようと思うんだけど、院長先生を呼んでもらってもいいかな?」

「増築? 孤児院を?」

「うん」

「わかった、呼んでくるね」



 サクラはすぐに院長先生を呼んでくれた。



「増築、と聞きましたけど・・・・・・」

「はい、ちょっと大きめの部屋を追加しようかと思ってまして。 いいですか?」

「さすがに私の一存では決められませんね。 建物も土地も領主様の物ですので、勝手にいじるわけには・・・・・・すみません」

「あ、大丈夫ですよ、許可は貰ってますので」 

「そうなんですか?」



 さすがに土地を譲ってもらったなんて言ったら、領主に捨てられたと思って領主の印象が悪くなるかもしれない。

 だから権利書は見せずに許可を貰ったことにしておく。



「はい、なので建物を管理している院長先生が反対でなければ問題ないですよ」

「ユリアさんの事ですから子供たちのためなんですよね? それなら私には反対する理由がありません」



 院長先生の許可が出たのでお風呂を作ることにする。

 問題はどういう風に作るかだ。

 男女で分けた場合、男の子は3人しかいないうえに3人とも小さい。

 だからと言って共有だと大きくなってから困るだろう。


 2つ作って男の子は自分でお風呂に入れるようになるまで院長先生にお願いすればいいかな?


 孤児院の中に入り、廊下の突き当りの壁を壊した後、土魔法でちょっと大きめの部屋を作る。

 部屋の奥に30人以上は余裕で入れるくらいの浴槽を作り、お湯用と照明用の魔石を付けた魔石板をセットした後、部屋を真ん中で仕切り銭湯のようにする。

 浴槽の下の方の仕切りに隙間を作り、片方にお湯をためれば両方溜まるようにする。

 後は脱衣所と入り口を2か所作れば完成だ。

 入口には土魔法の扉を付けて入るのは登録制にする。



「とりあえず完成だよ」



 サクラの所へ行って完成したことを告げ、全員を集めてもらう。



「今回作ったのはお風呂です。 道具屋でお湯を出せる魔石があったので、試しに作ってみました」

「試しでこんなに大きなお風呂を作っちゃったの・・・・・・」



 サクラが目を丸くして新しくできたお風呂への入り口を見ている。



「思い立ったら吉日ってね。 この入り口は魔法がかかってて登録した人しか開けられません。 後で使う人は登録するからね。 扉を入って・・・・・・ここが脱衣所、そしてそこの扉の先に行くとお風呂があるよ」



 お風呂への扉も開けると、子供たちの驚きの声が聞こえる。



「そして、浴槽に付けてあるのがお湯を出す魔石。 これは女湯にしかないからお湯をためるのは年上が多い女の子がお願いね。 もう1つの入り口は男湯になってるんだけど、男の子たちがまだ小さいので、自分たちでできるようになるまで男の子たちのお風呂は院長先生にお願いしてもいいですか?」

「はい、大丈夫です」



 院長先生は快諾してくれた。



「それじゃあ入り口に登録するからみんな一度出てね」



 入口の扉に男女それぞれ登録し、院長先生は両方に登録する。



「これで登録した扉は明けられるようになってるよ。 何か不便なところや疑問があればいつでも言ってね。 直せるところはすぐ直しちゃうから」



 土魔法で作った木桶と、前に予備として大量に買っておいたタオルを全員分出して渡す。

 新しくわかったんだけど、土魔法で作っても壊れるように作れるようだ。

 そのまま作ると壊れない物になるけど、意識して作れば壊れるように、というか元の耐久?で作れる。

 壊れない物なんて配ってたら大変なことになるから、誰かに渡すときは通常耐久の物を渡さないとね。



「まだ時間はあるし、アスレチックも作っちゃおうかな」



 お風呂に喜ぶ子供たちを眺めながらそう呟くと、サクラが反応する。 



「まだ何か作るの?」

「前回作れなかったアスレチックを作ろうと思ってね」

「あすれちっく?」

「えーと、前回遊具作ったでしょ? あれを複数組み合わせた大きい奴だと思ってもらえればいいかな」

「お、大きいやつ・・・・・・?」



 いまいちピンとこないみたいだけど、一度見ないとわからないよね。

 なので私はさっそく作りに行く。

 今回は大掛かり&遊具のあった場所に作るので、その間だけ遊具を我慢してもらう。


 まずは今ある遊具を全部撤去する。

 撤去と言っても土魔法を解除するだけだ。

 次に少し広めの六角形の頂点に石の棒を立て、棒の内側の高さ2mと4mの辺りに六角形の板を作る。


 2mの位置にある六角形の床の手前2か所に滑り台を、片方は緩やかに長く、もう片方は少し急にして作る。

 六角形の左右には階段とはん登棒を作り、上り下りする場所を用意する。 はん登棒は4mの屋根部分を少し伸ばした場所から地面まで伸ばしてある。

 残りの六角形奥2か所は足場を兼ねた雲梯の通路を伸ばし、その先に木の台で踊り場のようなものを作る。

 雲梯は上を通ることを想定してるのでちゃんと手すりを付けて落ちないようにする。

 木の踊り場の辺りは少し低い場所なので、小さい子でも雲梯は使えるはずだ。


 そして木の踊り場から反対側の木の踊り場まで円を描くように遊具を設置していく。

 石の輪を等間隔で設置してその間を通る遊具。

 四角い石枠の内側に、縄をたるませたネット状にして設置したもの。

 小さな丸太を縄でつるして緩めに固定し、その丸太を足場に渡っていくもの。

 沈没する船をイメージして斜めにした小型船を作り、中は椅子やテーブルを置いた空間にした。


 それぞれの遊具の間を木の板で通路を作り、つなぐ。

 通路の床には左右にスロープを設置して、縄で下からよじ登れるようにした。


 とりあえず完成したものを眺めていると、中央がちょっと寂しかったので、最初に作った六角柱の塔に三階部分を作る。 

 2mと4mの床の真ん中に梯子を作り、三階に行けるようにする。

 三階は六角錐の形にして展望台にする。

 子供が頭を出したり挟んだりしないよう格子状にしておく。


 最後に、中央にある塔と各遊具の間の地面に、飛び石や低い平均台を設置してそこを通って行けるようにする。



「こんな感じでいいかな。 あとは近くにブランコ作れば新しい遊び場の完成」



 アスレチック部分が完成したので最後にブランコ作りをする。

 と言っても公園にあるような板をロープでつるして柱で支えるだけだ。

 乗る場所は3つもあればいいかな。

 危ないので近づかないように周りにちゃんと柵を作る、柵の高さは漕いでいい高さの目安にもなる。


 完成の報告をする前に、孤児院の裏手に出られるようにするための扉を作る。

 裏手に近い廊下の壁に扉を設置して出られるようにする。


 ただ扉を作るだけだと登録扉にはならないみたいだ。

 登録扉にもできるようだけど、土魔法で囲むと勝手に登録扉になるのかな?


 全部終わったので子供たちを呼びに行く。

 子供たちは大部屋でお風呂セットを持ったまま楽しそうにお喋りしている。

 気に入ってもらえたようでよかった。



「終わったからこれから案内するよー」



 子供たちについてくるように言うとパタパタと走り寄ってくる。

 そのまま孤児院の奥へ行くと、みんなから「あれ?」と疑問の声が聞こえてくるが、そのまま裏手の扉まで行く。



「孤児院の裏にすぐ出られるようにここにも入り口を作ってみたの。 ここを出ればすぐ遊具の場所だよ」



 そういって外に出ると、子供たちの驚きや喜びの声が響く。



「これが・・・・・・あすれちっく?」



 サクラが大きさに驚き、目を丸くしながら聞いてくる。



「そうだよ、もっと複雑なのやスリルのあるものも作れるけど、今回は安全重視にこれだけね」

「十分すぎると思うけど・・・・・・」

「実際遊んでみると物足りなくなってくると思うよ? 危ない事をしなければアレンジして遊んでもいいけどね」



 騒いでる子供とは違い院長先生は開いた口が塞がらない様子。

 そんな院長先生と子供を引き連れてそれぞれの遊具について説明していく。

 と言っても見たら大体わかると思う。

 雲梯だけ、今回は上を通る事もあるから雲梯を使ってる子の手を踏まないように注意するくらい?


 最後にブランコの使い方と注意をして、屋根と長椅子の場所に移動する。

 この場所からアスレチックが正面になるように作ったので、ここは作り変えてない。



「アスレチック完成記念にみんなにプレゼントがあります」



 前回受け取った服を小さな木箱を作って1人分ずつ上下入れてある。

 そしてそれを全部テーブルに並べる。



「この中には運動するときに着る服が入ってます。 各自サイズの合う服を持って行ってね。 女の子の服はこっちで、こっちが男の子の服」



 しかし子供たちは動かず院長先生の方を見ている。

 あれ、何かまずかった?



「あの、本当によろしいのでしょうか。 遊び場を作って頂いただけでなく服まで・・・・・・」



 ああ、遠慮してたのか。

 私がしたくてしてることだし気にせず・・・・・・は無理かもしれないけど受け取ってほしい。



「アスレチックは土魔法でどこまでの事ができるかを試す目的もあって作ったので、作ってそのまま放置されたものを有効活用してる、くらいに思ってもらっていいですよ。 実際いろいろできることがわかって私的にも大収穫だったので。 服に関してはこのアスレチックで安全に遊ぶための条件として着せられている服、とでも思って使ってください。 孤児院の服は少しゆるめなので遊具に引っ掛けてしまう危険がありますから」

「・・・・・・わかりました、ありがたく頂戴します。 みんな、ユリアさんにちゃんとお礼を言って各自服を頂きなさい」



 院長先生の許可が下りて笑顔でお礼を言い、木箱に向かう。



「持っていく前に開けて大きさの確認をちゃんとしてね。 小さいと着れないし大きすぎるとひっかけて危ないから。 選んだら院長先生の所で名前を書いてもらった後、孤児院の中で着替えて今着ている服をその木箱にしまってね」



 そういって院長先生にインクと細い筆のような物を渡す。



「これで名前を書いてあげてください。 もし面倒でなければ、インクとペンはそのまま譲りますのでそれぞれの私物にも名前を書いてあげてください」

「何から何までありがとうございます」

「子供たちの笑顔のためですから。 さすがに何でもかんでも買い与えるのは良くないので気を付けるつもりですが、最低限の物は用意してあげたいんです」



 楽しそうに服を体に合わせて確認する子供たちを院長先生と2人で見守る。

 サイズが決まった子から順に院長先生の所に来て、服と木箱に名前を書いてもらい、孤児院の中に入って行く。

 しばらくすると、笑顔の子供たちが孤児院から出てくる。

 完全に小学生だこれ。

 紅白帽でも用意すればよかったかな?


 そんなことを考えている間にも子供たちはアスレチックに駆けていく。

 もう夕食まで時間はないと思うけど楽しんでくれたらうれしい。



 しばらく子供たちを眺めた後、私は帰ることにした。


 家に着いた私は、畑の水やりをしてから家に入る。



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