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23 みんなでBBQ

 翌日の朝。

 朝食を済ませた後、外に出て畑を試すことにした。


 土魔法で四角く土地を耕し、ジャガイモを並べて行き、最後に土をかけて完成。


 時間がかかると思ってたのに土魔法のおかげですごく簡単にできてしまった。

 最後に水魔法で雨のように水を全体に撒く。

 肥料なんてないからこれにて終了、だと思う。

 農業というか栽培も、小さい頃に授業の一環でやったような記憶がある程度で、ほぼ未経験だ。

 小さい頃にやったのも収穫だけだったような?

 あ、小学生の頃プチトマトをプランターで育ててたか。


 そんな昔のことを思い出しながら空を見る。

 午前中どころか朝に畑作業が終わってしまったので、早くも夕食の準備を始めることにした。

 収納すればいいので早くても問題ないし。



 準備するのはキャベツ、ニンジン、ジャガイモ、お肉、そしてパン。

 玉ねぎの辛みはたぶん子供が苦手だと思うので今回はパス。

 ニンジンが大丈夫かちょっと不安ではあるけど。


 私は買ってきた磨製石器の包丁を出し、まずはキャベツを短冊切りにする。

 わかってはいたけど、かなり切れ味が悪い。

 しかし、私の今の力なら少し切れ味が落ちてきた包丁くらいには切れてくれる。

 いや、それならいっそ土魔法で作ってみる?

 どうせ石でできてるんだし。


 私は買ってきた包丁をしまい、万能包丁をイメージして土魔法を使う。

 すると、見た目はさっきの磨製石器と同じような感じの包丁が出来た。

 試しにニンジンも同じく短冊切りにしてみると、サクッと気持ちよく切れてくれる。

 市販の物より自分で作った物の方がよさそうだね。


 ジャガイモは芽を取り、皮をむくと輪切りにしていく。

 大きいところは半月切りにしてある。


 切った野菜は下茹でしておく。

 料理の知識がそこまであるわけではないので、根菜はとりあえず下茹でしておけばいいだろう、という考えで準備していく。


 次はお肉だけど、せっかくなのでお肉用に四角い包丁も作ってみる。

 土魔法で作ったものは汚れなくて腹痛の心配もしなくていいから、 普通に万能包丁でもいいんだけどね。

 新しく作った包丁で、お肉は焼肉で出てくるような一口サイズに切っていく。


 最後にパン。

 これもパン切り用の細長いのこぎりのような包丁を作る。

 パンは耳部分の少し厚いコッペパンのような形なので、そのまま斜めに切っていく。

 たくさん種類を食べられるように、野菜やお肉含めて全体的に薄目に切る。

 その方が火も通りやすいし。


 これで食材の準備が出きたので、木製のお皿を作って分けていく。

 自分も入れて14人分のお皿に各食材を1人分ずつ乗せていく。

 生肉用と野菜用とパン用で1人3皿+塩を入れた小皿だ。

 あとはお代わり用に大きなお皿に各食材を乗せていく。


 これでBBQの準備は大体終わり。

 次はリンゴのジャムを作ってみる。

 調理を始めたのでついでだ。

 うまくできれば今夜のBBQ用のパンにのせて食べてもいい。


 今度は果物用のナイフを作ってみる。

 土魔法でいろいろ作るの楽しいね。


 リンゴをいくつか取り出して皮をむき、芯を取って八等分し、さらにそれを小さく切っていく。

 そしてそのまま鍋に入れて焼く。

 さっきの下茹で同様ガスなんてないから火の魔法だ。

 焦げ付かないように木べらで混ぜながら、出てきた水分が少なくなるまで煮詰めていく。

 煮詰めて水分が無くなったところで火を消して容器に移す。



「リンゴだけでもなんとかできるね。 砂糖なしでも十分甘いし、リンゴジャムって初めてだけど結構おいしいかも」



 なんか私の知ってるたジャムと違ってトロッとはしてないけど、これはこれでおいしいからいいや。

 その後はBBQ用に用意したものを全部収納して、ひたすらリンゴジャムを作っていた。




 もくもくとリンゴジャムを作っていたが、いい時間になってきたので一旦切り上げて外に出る。

 

 孤児院の建物の前まで行き、呼ぶ前にテーブルなどの準備をする。


 土魔法で作った、燃えないし熱くもならない長方形の木製テーブルを用意し、中央列を網のサイズに窪ませて上部を網状にしておく。

 焼き網が売ってなかったので、仕方なく土魔法で作った物を使う。

 これを2つ作って完成。

 あとは近くにお代わり用の大皿を置くためのテーブルを置き、各テーブルに水のピッチャーを置いておく。


 水魔法はそのまま出すと飲んだら魔力酔い状態になる飲めない水になる。

 だけど、飲み水として出せばちゃんと飲める水が出せるようだ。

 同じ水魔法だけど飲み水と攻撃用の水は別扱いなんだよね。

 土魔法で作った物も熱を通すかどうかを決められるし、同属性でも種類があるみたい。



 最後の準備として網の下に細長く火を置いていく。

 込める魔力を多めにして、威力はそのままに持続力を伸ばす。

 網の中央は温度が高く、端の方は温度が少し低くなるようにしてある。


 食材以外の準備ができたので、孤児院に声をかける。

 声に反応してサクラが遊具のある裏手から出てきたので、みんなを呼んでもらった。


 みんなが出てきたところで、1つのテーブルに全員を案内してBBQの説明をする。

 小さくて届かない子のために高めの椅子も用意してある。



「今日やるBBQの説明をするよ。 まず、食材は1人3皿のお皿を用意してあります」



 収納からお肉、野菜、パン、塩の乗ったお皿を出す。

 塩も入れたら4皿かな?

 まあ塩は調味料だしね。


 すると子供達から「おお!」と声が上がる。

 これは食材に驚いてるのか収納に驚いてるのかわからないね。



「次にこの中から好きな食材を網に乗せて焼きます。 野菜は下茹でしてあるのからそのまま食べてもいいし、焼いてから食べてもいいです。 ただ、お肉だけは赤い所がなくなるまで焼いてね、お腹痛くなっちゃうかもしれないから。 最後に焼いた物をこのパンで挟んで食べます。 塩も好みで使ってね。 何を挟んで食べるかは自由だし、もちろんパンも焼いたっていいので、自分の好きな食べ方を見つけてね。 後はこれも各テーブルに1つ置いておくからパンにのせて食べてみてね」



 私は容器に入れてあったリンゴジャムを取り出す。



「これは何?」



 何だろうとみてる皆を代表してサクラが手を上げて聞いてくる。



「これは前回食べたリンゴで作ったジャム・・・・・・のような物だよ」

「じゃむのような物?」



 ジャムは知らないみたいだ。

 そもそもリンゴ自体が高い食べ物なわけだし、知らなくても仕方ないか。



「簡単に言えば果物を煮詰めた物だよ。 本来はもうちょっとドロッとしてるというか、硬めなんだけど、リンゴだけで作ったからか私の知ってるジャムとちょっと違うんだよね。 でも美味しくできたから試してみてね」

「うん」



 サクラは笑顔で答えてくれる。

 他の子供達もこれがリンゴ?と不思議そうに見ている。



「食べ方はわかったかな? それじゃあテーブル1つに6人と監視役に私と院長先生がそれぞれのテーブルに付きます。 院長先生はいいですか?」

「はい、もちろんです」



 全員がテーブルに着いたところで、試しに洗浄魔法を全員にかける。 



「え?」

「ん?」



 みんなが何事だろうとキョロキョロしている。

 反応が可愛い。



「ユリアちゃん、今のは洗浄魔法?」

「うん、よくわかったね。 手を洗う代わりにみんなに魔法を使ってみたの」

「治療の魔法が使えてたから光魔法が得意なのは知ってたけど、この範囲にこの威力で洗浄魔法が使えるなんてほんとにすごいんだね」 



 サクラが魔法に驚いている。

 という事は他の人の洗浄魔法はそんなに効果ないのかな?


 キレイになったところで、みんなの食材を出していく。

 最初の量はそこまで多くなくて、お代わり前提だ。

 野菜も食べてほしいと思って最初のお皿を用意しただけだから、お代わりは好きな物を食べてもらう。



「今お皿に乗ってる物を全部食べてもまだ食べたい人は、こっちの大皿にいっぱい置いてあるからここから持って行ってね」



 近くに出してあったテーブルに食材を出していく。

 子供たちは驚きのあまり静かになる。

 あ、そうだ、トングの説明もしないと。



「食材のお皿と一緒に掴む道具があると思うけど。 これはお肉用とお肉以外用で分けて使ってね。 お肉用で野菜やパンを掴むとさっき言ったようにお腹痛くなっちゃうかもしれないから、気を付けてね」



 私の「さあ食べようか」という合図とともに子供たちが恐る恐る焼いていく。

 「ジュー」という焼く音を聞きながら「おお!」と笑顔ではしゃいでいる。


 最初は焼いたものを1つパンに乗せて食べてたけど、慣れてくると複数の食材を重ねて食べ始める。



「このニンジンすごく甘い」

「お肉は塩よりジャムのがおいしいよ」

「みてみて、全部2つずつ挟んで大きくしてみた」

「パンも焼くとカリッとしておいしいよ」

「私はキャベツとお肉挟むのが好きかな」

「この白いの何だろう? ほくほくしておいしい」



 白いのはジャガイモだね。

 子供達には概ね好評のようだ。

 自分で焼くの楽しいもんね。

 小さい子たちはあまり喋らずただおいしそうに食べている。

 当然自分で焼くのが大変な子達のフォローもする。


 次第にお代わりする子が出始めた。

 最初は遠慮して取りに行かなかったけど「もうお腹いっぱい?」と声をかけてあげたら、少し躊躇しながら首を振って「お代わり持ってくる」と言って取りに行った。

 1人行くと周りも私も私もと続く。


 そこからは個性あふれる行動が出てくる。

 肉を何枚も重ねて肉サンドを作るワイルドな女の子と、それを見て歓喜し、マネする小さな男の子。

 パンにはさまずお肉やキャベツなど好きなものをひたすら食べてる子。

 パンを焼かない、片面焼き、両面焼き、挟む物を少しずつ変えたり塩やジャムなどの味付けもいくつも試したりと、全パターンを試そうとする子。 


 サクラはパンは両面焼いてお肉も野菜も全部挟むのがお気に入りみたいだ。

 パンを焼くと熱くて持てないので、刺して食べられるようにフォークも用意してある。

 途中で分厚い物を作る子が出てきたので、二又になっている長めのハンバーガーピックのような物を作ってあげた。


 そのまま食べる子や大量に挟む子が多くてパンより先にお肉や野菜の方が少なくなる。

 しかし、最後の方はいろいろ試してた子の発見で、パンを2枚の片面を焼き、焼いた面にジャムを塗って焼いた面同士で挟む。

 それをさらに両面焼くという時間のかかる作業だが、カリッとして甘く、食後のデザートと言わんばかりに子供たちに大人気になり、パンとジャムが一気に減った。



 余ったら自分が今度食べるから多めでいいやと思って食材を用意していた。

 けど、結構多めにしたつもりだったけど見事になくなってしまった。

 いや、ジャムは収納にまだまだあるけど。



「いやー、よく食べたね」



 私は笑いながら子供たちを見る。

 楽しくて勢いで食べてた子が多いようで苦しそうだ。

 お腹もポッコリしている。

 院長先生は申し訳なさそうにしてるけど、子供たちが喜んでくれたので企画した私としてはうれしい限りだ。



「お腹いっぱいで苦しそうだし孤児院に戻ってゆっくり休んでね、食器とかはそのまま置いておけばいいから」



 私の言葉に頷くと、子供たちはゆっくり孤児院に入って行く。

 でもサクラだけはちゃんと抑えてたのか、他の子供よりは余裕がありそう。



「ユリアちゃん、今日はありがとう。 とても楽しかったよ」

「ただ食べるより、自分で焼いて自分の好きなように食べるのってすごく楽しいからね」

「うん!」



 サクラも満面の笑みだ、楽しかったようで何より。


 サクラと話してると、動けなくなっていた子供を孤児院に運んでいた院長先生が戻ってくる。



「今日はとても楽しい時間をありがとうございました」



 そういう院長先生の表情は喜んではいなかった。



「どうかしましたか?」

「いえ、子供たちがあんなに食べたことに驚いてしまって・・・・・・最初出されたお皿、それだけでもいつも孤児院で食べてる量より少し多いくらいでした。 ですのでそこまで気にしてなかったのですが、大皿に乗ったお代わりの食材をユリアさんが出した時『こんなに食べられないと思いますよ?』と思っていたんです。 しかし子供たちはお代わりをしただけでなく、大皿の食材を全て食べてしまいました。 大量に食 材を食べてしまった事への申し訳なさと、普段の食事では全然足りていなかったのかと思ってしまい・・・・・・」



 院長先生は今にも泣きそうなほど悲しそうな表情だ。

 子供たちがひもじい思いをしてたと思うと悲しくなる気持ちはわかる。 けど



「院長先生。 食材は食べてもらうために出したので、大量に残されてしまった方が企画者としては悲しいですよ? さすがに全部食べるとは思ってませんでしたけど。 それに今日のは食べすぎですね。 今日は特別な行事として注意はしませんでしたが、同じものばかり食べ続けたり満腹を超えて食べるのは体に良くありませんし、毎日だと病気になってしまいます。 普段は腹八分目、ちょっと物足りないくらいが健康にはいいんです」

「・・・・・・ありがとうございます」



 私の言葉に目を丸くした後、お礼を言ってくれた。

 院長先生の表情もいつもどおりなったので、私は片付けをして帰ることを伝える。

 手伝おうとしてくれたけど、洗浄魔法を使ってしまうだけだ。

 何なら土魔法で作った物なので、解除するだけでもいい。

 まあまたいつか使うかもしれないからこのまま収納しておくけど。


 片付け終わった後、院長先生とサクラに別れを告げて家に戻る。

 近くなって孤児院から帰るのが楽だ。

 家についたら畑に水をあげて、お風呂に入って寝る。

 洗浄魔法でキレイになってるとはいえ、やっぱり湯船には浸かりたいよね。



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