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20 ジャガイモの選別

「ん、ん? ここは・・・・・・どこだ? え、腕がある、あれは、夢か?」



 ボーっとしていた男は頭をかこうとして右手を動かし、腕があることに気が付いた。



「夢じゃないぞ」

「あ、村長」



 このお爺さんは村長だったらしい。



「このお嬢さんがお前さんの命を救ってくださったんだ。 まさに神の御業だった。 全身腫れまくったお前さんの肌を奇麗に治し、切られて冷たくなっていた腕を蘇らせてくっつけてしまった。 しかもかかっていた死の病も治療してもらえたそうだ。 どこか違和感はないか?」

「いや、まったく。 むしろ良く寝た後のようなすっきりした感じだ」



 男はベッドから降りて体を動かす。

 あれだけ出血してたのにもう起き上がれるの?



「自分の姿とベッドを見てみぃ」



 村長の言葉で自分の服を見て驚き、ベッドを見て驚きの余り飛び退いていた。



「こ、これは、俺の血か?」

「お前さんは怪我人の中でも特にひどくてな。 治癒魔法使いが来るまで持たないと皆思っていた。 たまたま村に来たこのお嬢さんがオークを全滅させてお前さんの治療までしてくれたんだ」

「こんな小さな女の子がオークを?」

「途中からだったが、わしはお嬢さんが戦うところを見ていた。 オークの集団を1人で倒し、大きなオークとの拳の打ち合いに勝ち、何か魔法のようなもので大きなオークを氷漬けにしていた」



 オーク達との戦いを見ていたようだ。

 まあ外が騒がしければ普通見るよね。



「信じられんが村長が言うんだ、本当なんだろう。 本当にありがとう嬢ちゃん。 助けてもらった命だ、俺にできる事があったら何でも言ってくれ」

「偶然とはいえ村も助けていただきましたし、わしらもできるかぎりの事はしましょう」



 男の人に続きお爺さんも何かしてくれると言ってくる。

 しかし特にしてもらうこともない。

 強いて言うならジャガイモを売ってほしいくらいだ。


 あ、村長には村が無事なことを書いてもらってギルドに報告しないと、また何か言われるかもしれない。

 依頼としてすでに出してるなら、解決したことを伝えないとまた無駄足がどうの言われてしまう。

 


「村長さんには村と怪我人が無事なことを一筆書いてもらえますか? 他はジャガイモを売ってもらえれば特にお願いする事も無いですね」

「一筆書く、ですか?」

「ジャガイモなんかを買うのか?」



 男の人と村長が頭に?を浮かべている。

 ジャガイモについては村長に説明してもらおう。



「偶然来ただけですが、私も一応冒険者なので、依頼として出ているものを達成した場合報告しないといけないんですよ。 このまま私が帰って報告だけしても確認のためにまた誰か来ないといけないと思います。 なので、村長さんには村も怪我人も無事だから依頼を取り下げる、と一言書いてほしいんです。 ジャガイモについてはあとで村長さんに聞いてください」



 私は村長さんに説明をしたついでに、ジャガイモの事を男の人にもあとで教えてあげる様に頼んだ。



「なるほど、そういう事でしたか。 それなら喜んで書きましょう」



 簡易治療所から出る前に他の5人も治療する。

 最初の人ほどひどい怪我ではなかったからリカバーだけで簡単に治せた。


 治療が終わった後は改めて村長さんの案内で食材倉庫に向かう。

 が・・・・・・



「これが、倉庫・・・・・・ですか?」



 倉庫というより、ただ木箱に入れて放置してある土地があるだけで、建物っぽい物は解体途中のような壁しかない。

 どこが倉庫なのだろうか。

 ジャガイモって日に当てちゃダメじゃなかったっけ?



「『元』倉庫ですね。 元々は広い倉庫があったのですが、以前魔物に壊されてしまいまして・・・・・・新しく建てるにもお金がかかってしまいますし。 瓦礫の撤去はしましたが、再建はまだ手付かずの状態です」



 オークもそうだけど、村の中心まで魔物がくるってこの村やばくない?

 でも、今はそれよりもジャガイモを何とかしないとか。



「確かジャガイモは日に当てるとダメだったはずです。 あと涼しくて暗い場所に保管すると長持ちしますよ」

「そ、そうなんですか?」



 村長がどうしようと頭を抱えてしまった。

 地下でもよければ作ってあげてもいいけど、掘っていいのかな?



「この土地って掘っても大丈夫ですか? 土魔法で地下に空間なら作れますけど」

「そんなこともできるのですか? もしできるのであればお願いしたいですが、費用が・・・・・・」

「それなら私が厳選したほしいジャガイモを無料でもらう、と言うのはどうでしょう。 それが今回村を助けたのも、怪我の治療も地下室も含めたお礼という事で」

「それだけでいいんですか?」

「私はそもそもジャガイモが欲しくてこの村を紹介してもらいましたからね」

「この村を紹介してくださった方がいるのですか?」

「はい、フリージアって子ですね」

「フリージア? まさか領主様のご令嬢のフリージア様ですか!?」

「リーアを知ってるんですか?」

「はい、この辺りを治める領主様のご令嬢ですから。 さすがに会った事まではありませんが」



 会った事もない相手の名前をちゃんと覚えてるのはすごい。

 私なら興味のない相手や、自分に関係ない相手ならすぐ忘れる自信がある。



「それにしてもフリージア様とお知り合いとは・・・・・・そういえばまだ自己紹介もしてませんでしたな。 私はこの村の村長でボーラと申します」

「私はユリアです。 リーアとは友達の友達という事で仲良くなりました。 それじゃあさっそくここの地面を掘っちゃいますね」



 再度許可を取り、地面を掘りながら坂道を作っていく。

 坂道は緩めにして、幅は荷車が2台余裕ですれ違えるくらいにする。

 高さは3mくらいあればいいかな。


 坂道を作った後、今度は横に広げていく。

 地図スキルを使い土地の範囲分空間を広げていき、壁と天井が崩れないように土魔法で固めて強化する。

 掘った土を残すと邪魔なので、収納していったら収納内が土でいっぱいになってしまった。

 どうしようこの土。


 地下空間ができたので、地上に放置してあるジャガイモ入りの木箱を全部収納して地下に移動する。

 入口から陰になるように、かつなるべく入り口から近いあたりに設置していく。

 これで日に当たらないでしょ。


 収納に村長が驚いていたけどいつもどおりスルーする。

 明かりはあとで村長にお願いするとして、ジャガイモの移動も含めてこれで完了だ。



「こんな感じでどうでしょう。 一応土魔法で強化してあるので簡単には崩れないと思います。 明かりはあとで何か設置してもらうことになりますが」

「土魔法はそんなことまでできるんですな。 私の知識では石をぶつけるか目の前に壁を作るくらいの物だとばかり。 明かりに関してはお任せください、ここまでしてもらったのです、それくらいはこちらで用意しますとも」



 今は光魔法で中を照らしながら村長と一緒に中を見ている。



「それではユリアさん。 私は村と怪我人の事を書いてきますので、その間にこのジャガイモから好きなだけ持って行ってください」



 好きなだけって、収納で全部しまったの見てたよね?

 好きなだけって言ったら全部持って帰れちゃうよ?

 そんなことはしないけど。


 そんなことを思いながら出ていく村長を見送る。



「さて、選ぼうかな。 といっても種芋に向いてるのや美味しい物なんて私には見分けがつかないんだよね、どうしようかな・・・・・・」



 私は試しに観察眼で調べてみる。

 どこまでの情報が出るのかを知りたいし。

 美味しいかと毒があるかと種芋になるか辺りがわかるといいんだけど。



〇ジャガイモ

品質:D

一般的な普通のジャガイモ。 皮の一部にソラニンが含まれている。 種芋にできる。



 知りたい情報がピンポイントで出てきた。

 もしかして知りたいことをイメージするとより詳しく出る?

 私はジャガイモを1つ1つ観察眼で見ていく。 



「かなり大変だこれ・・・・・・」



 品質は全部E~Dだった。

 毒に関しては上の方に積んであった日の当たっていた物は、ほぼ全部が皮の一部または全部に毒があるみたいだ。

 色もだけど芽も結構伸びちゃってるし、見た目でアウトなのはなんとなくわかってたけど。

 種芋に関しては小さい物の方が向いているみたいだ。

 なんでだろう?


 私は土魔法で収納にある木を使って、ジャガイモが30個程度入る小さい木箱を2つ作る。

 その内1つに種芋に向いていると書かれていた芋を入れ、もう1つに孤児院のみんなと食べる分を入れていく。

 そして残す物は「毒が無い物」「毒があるけど取り除けば大丈夫な物」「食べない方がいい物」に仕分けておく。


 全部仕分け終わった時、自分用に回収したのは合計50個ちょっとくらいになった。 

 結構もらった気がするけど、全体量からするとかなり少ないし、村に影響は出ないでしょう。


 木箱に入れ終わったので村長を待つ。

 識別作業にかなりの時間がかかったので、欲しい物を集め終わった後それほど待たずに村長は戻って来た。



「こちらをギルドにお渡しください」



 そういって村長が丸めて紐で縛った紙を渡してきたので、私はそのまま収納する。

 リーアが昨日持ってきた物や、買った本よりかなり質の悪そうな紙だった。

 これがサクラの言ってた昔の紙なのかな?



「確かにお預かりしました。 そしてこの木箱がもらっていきたいジャガイモです」

「これだけでいいんですか?」

「栽培できるか試すのと個人的に食べたかっただけなので、このくらいで十分ですよ。 もし栽培に失敗したら買いに来るかもしれませんが。 それと地下に移動したジャガイモですが、調べたところ日の当たってた部分には皮に毒が含まれてる物が既にありました。 食べる時には注意してくださいね。 一応状態ごとに選別はしましたが、時間が経つほど毒が増えていくのであくまでも目安としてください」

「すでに毒が・・・・・・いえ、逆に知らずにそのまま食べていたら村中に食中毒が広まってしまったかもしれません。 ありがとうございます」



 木箱ごとに大丈夫な物、皮や芽を取れば大丈夫な物、完全にダメな物とそれぞれ説明する。

 一応緑になってる物と芽が出てきている物を村長に見本として渡しておいた。

 個人の感覚で「これは緑じゃない!」とか言われても困るし。


 私は木箱を収納し、村長にお礼と挨拶をして帰ることにする。



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