18 ジャガイモの村へ
今日はジャガイモの村に行こうと思っている。
でもその前に私は服屋によって服を見ることにした。
どうせ通り道だし。
この街には服屋がいくつかある。
古着屋、比較的安い普通の服屋、高級な服屋。
古着屋以外はオーダーメイドをしてくれる店もある。
私はオーダーメイドもしてる普通の服屋に入った。
「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」
「子供の運動用の服が欲しいんですけど。 破けにくい厚手の服ってあります?」
「え、お子様ですか?」
店員が驚いたように私を上から下まで見る。
私の子供用だと思ってる?
「私のじゃありませんよ? 贈り物です」
「あ、そうでしたか。 失礼しました」
「いえいえ。 それで、できればサイズ違いで複数ほしいんですけど」
「似たようなデザインをサイズ違いで複数となると、オーダーメイドになってしましますね」
「いくらくらいになります?」
「お値段は店売りと変わりませんが、時間がかかってしまいます。 追加料金を頂ければ人員を追加して早く作ることもできますけど」
「20着ほど頼んだらどれくらいかかります?」
「に、20着ですか!?」
数を聞いて店員のお姉さんは驚いている。
さすがに20着は多いかな。
ミシンとかないだろうし。
「多いですか?」
「いえ、大丈夫です。 20着も頼んでいただけるのでしたら、こちらもそれにお答えするしかありませんね。 まずはデザインやサイズの話をよろしいでしょうか」
デザインは運動用にするだけだからシンプルに。
色は短パンを紺にして、シャツは白で袖と襟を男女で紺と赤にする。
小学校によくある運動着だ。
サイズは3種類用意して大きい服を多めに、男女比は女の子の方が多いので、女の子の服を多めに頼んだ。
「これでしたら比較的早くできそうですね・・・・・・2日程で作りましょう」
「そんなに早くできるんですか?」
子供たちの今着てる服が破けたりする前に完成すればいいかな、と思っていたけど、かなり早くできそうだ。
私は服を作ったことがないけど、自分で作っていた友達に聞いた話だとかなり時間がかかると言っていた。
大変さを知らない知人から安く早く作ってと頼まれる、という愚痴をよく聞いていた記憶がある。
「知り合いのお店からもお針子を借りて作ります。 もちろんその費用はこちらで持ちます」
「ありがとうございます」
服の注文が終わった後、前金として合計額の半分を渡して私は店を出た。
そしてそのままギルドなどには寄らず街を出る。
この街は入り口が南にしかない。
だから東に向かえと言われたら、南から出た先にある分かれ道を東に向かうことになる。
道と行っても踏み固められた地面があるだけで、舗装されてるわけじゃないけど。
私はある程度そのまま走り、目視と地図スキルで周囲に人がいないかを確認する。
街が遠くなった辺りで身体強化と速度強化を使って全力疾走した。
草原を車のようなスピードで走り抜けるのはすごく楽しくて、テンションが上がって行く。
途中他の人がいたら速度を落とすつもりだったけど、誰にも会わずに分かれ道まで進めた。
1つ目の分かれ道(のような踏み固められた道)をそのまま進み、2つ目の分かれ道で左に曲がって北へ向かう。
地図を開きながら進むと、すごい勢いで地図が埋まっていくので、見ていて面白い。
と言っても高低差が表示されるわけではないので、茶色と黄緑色の線が引かれてるだけなんだけど。
北に向かって少し進んだ丘の向こう側に村が見える。
徒歩だと4~5日かかると言われた村まで2時間程度で来てしまった。
そして今までも思ってたけど、この体は全力疾走したのに本当に疲れない。
外での宿泊用の小さい家も作ったけど、出番はなさそうだ。
しかも2時間以上走ってるのに汗1つかかない。
サクラが猛毒になった時いくつかの状態異常を見たけど、もしかして疲労も状態異常扱いとか?
それで状態異常無効の効果で疲労もしない?
でもスキルの効果って、外的要因で受けた状態異常の効果を受けないんだと思っていたんだけど、自分で起きる状態異常も効かないのかな?
まあどうしてそうなるのか詳しくはわからないけど、疲れないのは便利だから細かいことはどうでもいいや。
困る事でもないし。
ある程度まで近づくと普通に歩いていく。
すごい勢いで走って行ったら村の人に驚かれちゃうからね。
しかし、特に見張りというか門番みたいな人はいないようだ。
そもそも門みたいなものはなく、柵で囲われているだけだ。
魔物の襲撃などは大丈夫なんだろうか?
というかここから見える範囲に人が見えない。
不思議に思い、私は小走りに村に入る。
村に入り、村の中を歩いていても誰もいない。
「みんなどこかに行ってる? でも全員なんておかしいよね。 あ、そうだ」
私はスキルの事を思い出し、村に入る前に閉じていた地図を再度表示する。
すると私の周囲の建物の中には人の反応がある。
「なんだ、家にいるだけか」
村人がただ家の中に居るだけだとわかり、安堵した私はお店を探す。
「お店はどこだろう。 他には売ってないって言ってたけど、村では食べてるんだよね?」
お店を探しながら村の中を歩いていると、村の中なのに魔物マークが表示される。
敵対はしていないけど、オークと表示されている
「え、なんで? この村は魔物の飼育でもしてるの?」
魔物のマークは一ヵ所に集まっているので、オークで何かしてるのかもしれない。
私は魔物のいる場所まで行ってみると、近づくにつれてどんどんマークが増えていく。
魔物がいたのは大きな畑だった、作物を食べてるみたいだ。
しかもジャガイモを食べている。
「うーん、これは畑を荒らしてる? それともジャガイモでオークを育ててるとか? でもそれなら囲いくらい用意するよね・・・・・・」
ジャガイモの毒が不安だからオークの餌にして、オークを飼育している?
でもこんな野ざらし状態で放置してたら村人が襲われちゃうんじゃない?
それともオークって好戦的じゃなかったりするのかな?
魔物の本では臆病とか弱いとか書いてなかったと思うけど・・・・・・
うーん、近づいたら襲ってくるかな?
柵もないし襲ってきたら敵だよね?
倒してもいいよね?
私はどうしようかと頭の中でぐるぐると考えながら歩いている。
しかし、畑でジャガイモを貪ってるオークに近づくと、地図のマークが一部赤くなり、そのまま一気に全員赤くなった。
「あ、敵かな?」
メイスを取り出し、身体強化を使って迎撃態勢をとると、向かってくるオークを片っ端から殴り飛ばしていく。
速度強化だけでいいかとも思ったけど、前回の蜂の時みたいに倒し損ねると、今回はあっという間に囲まれてしまう。
なので、身体強化に追加で攻撃強化も使って確実に倒していく。
しかし数が多く、殴り飛ばしても次々集まってきて、結局囲まれてしまった。
背後から腕や頭を掴まれるが、力ずくで払いのける。
強化魔法強い。
その後もひたすらオークを振り払いつつメイスを叩き込む。
もう銅のメイスはだいぶ歪んでしまっている。
30体ほどのオークを倒したころで大きな雄たけびが聞こえる。
その方向をチラっと見ると、普通のオークよりも二回り以上大きいオークが、大きな剣を振りかざしながらこっちに向かって走ってくる。
大きなオークが距離を詰めてくる間も周りのオークの数を減らす。
仲間がやられて怒ってるのかさらに叫ぶ大きなオーク。
最後のオークを殴り飛ばした後、走ってくる大きなオークの剣をメイスで受ける。
しかし、メイスはあっさり切られてしまった。
「うわっ、メイスが切れた!」
メイスが切られてしまったため、オークの剣が私の頭を直撃する。
「うっ・・・・・・」
痛くないとわかっていても咄嗟に身構えてしまう。
これは仕方ない反応だよね。
私がなんともないのを見て、大きなオークがさらに何度も斬り付けてくる。
「いや、いい加減にしてよ、もう!」
振り下ろされる剣を横から素手で殴る。
強化魔法のおかげで剣の軌道が見えるし力も強化されている。
その衝撃に耐えられず、大きなオークは剣をその場に落としてしまったので、私はその剣を手に取り収納してやった。
戦闘中でも相手が手放せば使える収納は反則過ぎる気もする。
「さあ、次はどうする?」
余裕の表情を大きなオークに向ける。
大きなオークは一歩後ずさるが、拳を握り締めて殴りかかってくる。
それに合わせて私も拳を向ける。
ぶつかった衝撃が全部大きなオークに向いたせいか、手首と肘が変な方を向いてる。
かなり痛いようで、大きなオークは雄たけびをあげて暴れている。
「今度はこっちから行こうか。 何がいいかな・・・・・・氷漬けにしてみるとか?」
私はなんとなく思いついた氷の魔法を使ってみることにした。
「ブリザード!」
大きなオークの周囲だけ吹雪になる
吹雪が危険だと思ったのか、オークが逃げようとするが、当然それを追尾するので逃げることは出来ない。
次第に動きが緩慢になっていき、そのまま氷漬けになってしまった。
「おお、これ面白いかもしれない。 このまま持って帰ろう。 あ、他のオーク達も回収しないと、このまま放置はまずいよね」
その辺に倒れているオークも回収することにした。




