13 サクラとギルドに報告
「ふふ、ユリアちゃんに会えて不安もなくなったし、安心してギルドに行けるね。 あ、この後何か予定とかある?」
「ううん、何もなくて帰ろうかと思ってたところ」
「じゃあ一緒に行こう」
少し落ち込んだ私を元気づけるためか、サクラにしては少し強引に行動する。
私の方が少し強引に引っ張らないとと思っていたのに、年上の私が引っ張られてどうする。
気持ちを切り替え、サクラと一緒にギルドの納品所へ向かう。
あ、私さっき来たばかりじゃん。
そのことに気付いたときにはもう中に入っていた。
「お、ん? 嬢ちゃんは元気になったんだな。 で、そっちの嬢ちゃんは何か忘れものか?」
私とサクラを交互に見ながら聞いてくる。
「さっきそこでサクラに会ったので、付き添いです」
「そうか、じゃあ登録するからカードを貸してくれ」
「はい、お願いします」
サクラがカードを渡すと、買い取りのおじさんは水晶板に置く。
そして少し操作した後、登録完了したのか報酬とカードを渡してくれる。
「あ、すみません。 お金を預かってもらえる場所ってありませんか?」
「金? ギルドで預かれるぞ。 稼いでる冒険者はいちいち全部を持ち歩くわけにはいかないならな、ギルドで預かれるようになってんだ。 金額はカードに表示されるからいつでも確認できる」
「じゃあこれお願いします」
そういってさっき渡した金貨を渡す。
「金貨3枚も? 定期的に依頼受けてるのは知ってたが、その年でこんなに貯めてたのか、凄いな」
サクラは、特に否定も肯定もせずに苦笑してやり過ごす。
「はいよ」
サクラが受け取ったカードを見せてもらうと、新しく金、銀、銅という文字と、その下に30000という数字が表示された。
一桁目と三桁目と五桁目の数字の上に各文字があるので、どの硬貨が何枚あるかがわかりやすくなっている。
「へー、こうなるんだ」
「わたしも初めて見た」
2人で珍しそうにカードを見ていると、おじさんが微笑ましそうに笑っていた。
「そっちの嬢ちゃんも預けてみるか?」
せっかくなので私も同じ金貨3枚預けてみることにした。
金貨3枚とカードを渡し、登録してもらう。
返してもらったカードを見ると、ちゃんとサクラと同じ表記になっていた。
2人で自分のカードを確認しているいと、カウンター内のドアが乱暴に開かれる。
「おい、ガシャス。 キラービーの買い取りをしたのはお前か!」
入ってきたのは隣の建物にいたおじさんだった。
「あ、ギルマス。 えっと、キラービーの買い取り禁止指示は聞いてませんが?」
買い取りのおじさんはガシャス、入って来たおじさんの名前はギルマスというらしい。
「違う、そうじゃない。 今近くの森でキラービーが確認されて討伐準備中なんだ。 買い取ったのが近くの森の物なのかを確認したい。 売った奴の情報を教えてくれ」
「えっと・・・・・・」
ガシャスさんは私の方を見る。
すぐバレるし、正直に言うしかないか。
「売ったのは私ですよ、森で襲ってきたから返り討ちにしました」
「何の冗談だ? 君みたいな少女がキラービーを倒しただと? 信じられん。 ポイズンキャタピラーとはわけが違う」
私の話を信じられないようで、睨みながら答えるギルマスさん。
「別に信じなくてもいいですよ? では失礼しますね。 行こうサクラ」
私はサクラの手を引いてさっさと出ていこうとする。
「まて、話はまだ終わってない」
「私は話しましたよ?」
「君は進入禁止の森に行って討伐したのか?」
「進入禁止? 依頼が受けられないとは聞きましたけど、進入禁止とは聞いてませんよ」
「同じことだ。 どうせ依頼を前もって受けてたからと森に行ったんだろ」
「受けてませんよ?」
「じゃあ何しに森へ行った」
「何かないかなと思って。 奥の方に行ったら癒し草がいっぱいありましたし」
嘘は言ってない。
常設依頼用の魔物を狩りに行ってたけど「依頼は受けてない」のだから。
「・・・・・・どうして緊急討伐依頼が発令されてるのに討伐の報告をしなかった? 気づかずに出発した者たちは無駄足になるところだったんだぞ」
「討伐って1匹だけなんですか? ハチなので複数いるのかと思ってました。 それに納品はここでしろって受付の人に言われたので、ここに持ってきたんですけど?」
ハチなら大量にいるものじゃない?
それに、緊急依頼だとか、その時の報告方法なんて聞いてない。
「あの大きさのキラービーは巣を作る場所を探してるんだ、だから近くに何匹もいない。 それと緊急討伐対象を討伐した場合の報告はこっちではなく受け付けカウンターでするんだ」
頭に手を当ててため息をつく。
なら最初にそう教えてよ、新人がそんなこと知ってるわけない。
「そうですか、次からはそうしますね」
聞かされてないことを注意されてイラっとした私は、サクラの手を引いてさっさと出てしまう。
ギルマスが何か言ってるけど知らない。
サクラはおろおろしているが引かれるままに外に出る。
「出てきちゃっていいの?」
「いいよ、私は間違ったことしてないし。 言われた通りにしただけじゃない」
「緊急討伐が出るほどキラービーって強い魔物だったの? 名前だけは聞いたことあるけど、詳しく聞いたことはなくて」
「確かに硬かったね、この前買ったメイスで普通に殴っただけだとちょっとへこんだだけだったし。 あとガシャスさんの話では、麻痺と毒の粉を撒いてじわじわ相手を殺すらしい」
「え、大丈夫だったの? あ、大丈夫だったのは見ればわかるけど」
サクラが話を聞いて私の方を見るが、大丈夫なのは見ればわかる事なのですぐに落ち着く。
「あの毛虫の時もだけど私は毒とか効かないみたいだからね」
「へー、そんな能力?体質?があるんだ、知らなかった」
まあ神様らしき人?がくれた体だしね。
そういえばこの世界の人ってどれくらいスキル持ってるんだろう?
「ねえサクラはスキルって知ってる?」
「スキル? 聞いたことはあるけど、知り合いで持ってる人は知らないかな」
私が持ってるんだけどね。
しかし、スキルってどれが珍しいとかじゃなくて、スキルそのものが珍しいのかな?
「そうなんだ、見てみたかったんだけど」
「わたしもあまり詳しくはないんだけど、スキルって珍しいから、持ってたとしても隠す人が多いらしいよ。 あとは、逆にその能力を貴族に売り込むか、かな?」
「興味本意相手には見せてくれないってこと?」
「たぶん見せてくれないと思う。 隠してる人はもちろんだけど、貴族お抱えだとそもそも会えないし。 何かきっかけがあって仲良くなれば見せてくれるかも?」
この世界の人がどんなスキル持ってるか知りたかったけど無理そうかな。
「あ、何も考えずに連れ歩いちゃってるけど、サクラはこの後どうする?」
「わたしはギルドに用事があっただけだから、もう帰るだけだよ」
何かしようにももう夕方である。
帰ったらサクラも夕食だろうし、何もできないか。
「明日さ、サクラのところに遊びに行っていい?」
「孤児院に? ユリアちゃんが楽しめそうなものは何もないよ?」
「サクラや孤児院の子たちが、普段どんなことして遊んでるのか見たいだけだから大丈夫だよ」
それに久し振りに子供達と遊びたい。
「ユリアちゃんがいいならいいけど」
「じゃあ明日孤児院に行くね。 食事の時間は避けたほうがいいかな、食事はいつ?」
「朝とお昼の間1回と夕方に1回だよ」
ブランチってやつかな、なら早めに昼食済ませて行けばいいか。
「じゃあお昼過ぎ位に行けばいいかな?」
「たぶん大丈夫だと思う。 院長先生にはわたしから言っておくね」
「ありがとう、それじゃあまた明日ね」
サクラと別れて宿に入る。
サクラはもう泊まらないので1人部屋に戻してもらう。
1人で部屋にベッドが2つあるのはなんか落ち着かないし、1人部屋の方が安いし。
お風呂と夕食を済ませて早めにベッドに入る。
そういえばお風呂で他の宿泊客に会ったことが無い。
お風呂があって女性人気があるんじゃなかったの?
まあ1人の方がのんびりできていいけど。
そんなことを考えながら眠りにつく。




