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ユリアの世界  作者: 花園 満


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115 ジャスミンのための魔石作成

 ジャスミンが私から離れると、笑顔で私に話しかけてくる。



「今、凄く幸せな気持ちになってるわ。 せっかく外に出られるようにしてもらったんだし、明日もギルドに行ってくるわね」

「今日行ったばかりなのにまた行くの?」

「ランクがCになるとCやBの依頼を受けられるんでしょ? 今日は雑用みたいなのしかなかったけど、もしかしたら面白そうな依頼があるかもしれないし」

「なるほど。 そういえば私も見たことないや。 でも無理しない程度にね?」

「わかったわ」



 そう言うと再度、今度は少し強めに私に抱き着き、しばらくすると離れて小走りに二階へ上がって行った。

 いつもの落ち着いた感じとは違い、楽しそうなジャスミンだ。


 あ、ジャスミンが1人で活動するのに何か魔法でも作ってあげようかな?

 せっかく魔法を作れて魔石にできるんだし、便利な魔法の1つくらい作ってあげてもいいよね。

 やる気がある子へのプレゼントだ。



「そうと決まればさっそく・・・・・・」



 私は土魔法に毛布を重ねておいただけの簡易ソファに座る。

 するとディアとシアが私に寄りかかるように隣に座ってくる。

 今までは椅子に座っていたけど、椅子に座ると2人が寄りかかり難そうだったので、最近はのんびりするときはソファに座るようにしている。

 ここ数日ずっとシアを抱っこしていたし、王都のお泊りもシアと一緒だったので、今日はディアを膝の上に乗せてあげる。


 さて、位置取りも決まったところで魔法を作ろうと思うんだけど、何が必要だろうか?


 戦う力はあるよね?

 今日戦った感じ魔物を倒す手段はあるみたいだったし。


 とりあえず魔物を倒す力があるなら、あとは運ぶ用に収納とか?

 従魔に運ばせてもいいけど、今日の反応を見た感じまた騒ぎになりそうだから、できれば収納で運びたいところ。

 リーアが説明するようなことを言ってたけど、どこまでできるかもわからないし。


 じゃあ1つ目の候補は収納として、あとは・・・・・・食料?は、魔力だから魔石を持ち歩く?

 こっちは収納じゃなくても、小さなリュックみたいな物を用意すればいいかな?

 魔石なら嵩張らないし。 

 何なら腰につけるポーチみたいな物なら動くのにも邪魔にならないかも。


 他に必要な物って何だろう?

 うーん・・・・・・あ、遠出するなら寝る場所として家が必要かな?

 でも家は収納必須だよね・・・・・・土魔法は魔石に登録できるけど、家を作る魔法はないし。

 あ、あと怪我とかした時用に治療系もあったほうがいいか。

 光魔法使えるみたいだから自分でもできるかもしれないけど、それならそれで荷物が減るし、作るだけ作っておこう。 


 という事で一番重要そうなのは収納、次点で治療系、あとは洗浄とか飲料水とか便利そうな魔法を作ろう。

 明日聞いてみて必要な物だけ渡せばいい。


 作る魔法が決まったので、さっそくスキルの魔法作成ウィンドウを開く。

 まずは収納なんだけど、実は効果一覧の中に凄い効果があって、それが「瞑想」だ。

 効果は「止まっている間、少量ずつ周囲の魔素を取り込んで魔力を常時回復する」と言うもの。

 なので、この効果を付ければ魔石の魔力が回復するから、連続で使わなければ魔力供給用の魔石の予備や自分の魔力が無くても魔法が使えてしまう。


 という事で、「収納」と「瞑想」を合わせた魔法を作り、登録する。

 名前は・・・・・・わかりやすく「魔石用収納魔法」でいいや。


 完成したのでさっそく収納にある小型の魔石に魔法を付与する。

 お城でもらった魔石の余りだ。


 しかし登録した魔石は壊れて消えてしまった。

 え、なんで?

 何か間違っていたのだろうか?


 作った魔法を一度破棄し、もう一度確認しながら作り直す。

 しかし今度も小型の魔石は壊れてしまった。

 何でだ・・・・・・あ、魔石が小さい?

 中型の魔石なら行けるかな?


 試しに中型の魔石に付与してみると、今度は壊れなかった。

 前に属性魔法を付与した時は小さいのでもよかったけど、効果増やすと大きいのにしないといけないんだね。


 そういえば魔石に属性登録はしたけど「魔石召喚」の方は魔石に付与してなかった。

 付与してたら壊れたかもしれないね。


 とりあえず中サイズなら登録できるみたいなので「回復」「治療」「洗浄」「照明」「飲料水」「強化系」などの便利魔法も「瞑想」付きで作っておいた。

 自分で使う場合は普通に魔法使った方が早いので、完全に魔石登録用だ。

 そもそも普通に魔法使うとなると「瞑想」が効果ないし。


 さて、次はこれを魔石板に・・・・・・あれ、魔法を登録した魔石用の窪みの方は、小さいサイズの魔石しか入らなくない?

 収納から出した板の窪みと収納にある中型魔石を比較すると大きさが全然違う。


 魔石は「小型」や「中型」というくくりにはなってるけど、全く同じサイズというわけではなく、多少サイズにバラつきはある。

 と言っても比べれば微妙に違う程度なので「小型」に分類されている魔石なら問題なくはまるようになっている。

 だが「中型」には対応してないようではまらない。

 単四電池が必要なのに単三電池しかない感じだろうか。

 いや、発動する方だから電球の口径が違ってはまらない感じかな。


 せっかく登録したのに使えなくて落ち込んでいると、ディアが私の頬に手を伸ばしてきた。



「どうしたの?」

「今魔道具用の魔石作ってたんだけど、大きさが合わなくてはまらないんだよね。 で、どうしようかなって思ってたところ」

「え、ママって魔石作れるの?」

「えっと、魔石自体を作るんじゃなくて、効果を付与できるの。 で、ジャスミンが冒険者として活動するのに何か用意してあげようかな、って思って」

「魔法の入った魔石は見たことあるけど、作ってる所は見たことないの。 ママが良かったら見せてほしいの」

「あ、わたしも見たいわ」



 ディアと魔石の話をしていたらシアも興味を示してきた。

 そういえば魔法入りの魔石って結構な量売ってるけど、作れる人はどれくらいいるんだろう?

 この街で売ってるって事はこの街に居るのかな?

 それとも王都とかで量産していろいろな街に出荷してる?

 まあ今はそれよりも2人に魔石を見せてあげよう。

 あ、魔石じゃなくて作るところが見たいのか。



 とりあえずシアが寄りかかっているのとは反対の手でディアを支え、開いてる方の手に中型魔石を出す。

 そのままスキルを使ってさっき作った「魔石用収納魔法」を付与する。

 すると、半透明な魔石が次第に白くなっていく。



「すごいの!」

「すごいけど、確かに大きいわね。 何でこの大きさにしたの? 小さいのは無いの?」

「小さいのもあるんだけど、小さいのに付与すると壊れちゃうんだよね。 付けた効果が良くないのか、効果を2つ付けたのが良くないんだと思うけど、それを試すほど小さい魔石は今持ってないし、効果1つだけだとちょっと物足りないかなと思ってて」

「2つ以上の効果つける事ってできるの? 今まで見たことある魔石は全部効果は1つだけなの」

「わたしも2つ以上ついてるのは見たことないわね。 たまたま見たことないだけの可能性もあるけど。 王都とか行けば大きい魔石用の板もあるんじゃない?」

「あーなるほど。 明日見に行ってみようかな」

「ちょっと触らせてほしいの」

「うん、いいよ」



 私はディアに魔石を渡す。

 ディアはジーっと魔石を眺めていると、首を傾げていた。

 そのまま「どうしたのかな?」と思いつつ眺めていると、ディアは土魔法で小さな丸い石を作っていた、と思ったらすぐに消した。

 何がしたいんだろう?



「ママ、これそのまま使えるの」

「え? ちょっと貸して」



 私はディアから魔石を受け取ると、試しに自分の収納からリンゴを1つ取り出す。

 そして魔石に魔力を流し、収納を発動させて「リンゴを収納」と念じてみる。

 すると、リンゴが消えたので、今度は普通に魔石を起動する。


 「収納」や「取り出し」をする物を指定しないまま収納の効果を使うと、使用者にだけ見える収納一覧が表示される。

 これはスキルでも魔法でも一緒だけど、魔石も同じようだ。 

 まあ魔石と言っても魔法だしね。


 そして一覧を見ると、中には石とリンゴが入っていた。

 石はさっきディアが入れたもので、リンゴは今私が入れた物だろう。


 という事は「私が魔法を付与した魔石」「中型魔石に付与した物」「2つ以上効果を付与する」あたりの、どれかの条件で魔石板無しで魔石が使えるのかもしれない。


 その考えに至った私は、調べる方法を思いついたので実験してみることにした。 



「ねえディア、これも使ってみて」



 そういって取り出したのは大会で使った小型魔石に属性を付与した物だ。

 これで発動しなければ私が作った物かは関係なくなる。



「これは大会の時に派手な演出として使ってた魔石で、色通りの属性が入ってるよ」

「わかったの」



 ディアはそう言うと緑色の風の魔法が入った魔石を手に取る。



「土属性じゃないんだ」

「土属性だとわかりにくいから自分で使えない属性にしたの。 火や水だと周りに被害が出るかもしれないけど、風なら多少強くても物が少し動く程度だと思うの」



 なるほど、家への被害を考えての選択だったんだね。

 まあ私より強力な魔法でもなければ家にある物は壊れないけど。

 でも私よりディアの方がちゃんと周りが見えている・・・・・・


 私の手から魔石を手にしたディアは、誰もいな方に向かって魔石を発動させる。

 すると緑色に光り、家の中に風が吹いた。

 手加減したのか、かなり弱かったけど、使えないと言っていた風魔法が使えた。

 つまりこの魔石も魔石板なしで使えてしまうという事だ。

 そうなると「魔石のサイズ」は関係ないし「効果の数」も関係ない。

 つまり「私が作った魔石だから」という事になる。



「わたしが風魔法使えてるの・・・・・・」

「おー、なんか土の精霊のあんたが風魔法使うのはすごく違和感があるわね。 わたしも試していい?」

「いいよ、でも周りに気を付けてね?」



 その後、しばらくの間ディアとシアによる「普段使えない属性魔法を魔石で使う」という遊びが続いた。

 テーブルにいた他の精霊たちも、それを見て目を輝かせていた。

 これは射撃場みたいな魔法撃つ場所を用意したほうがいいかな?


 しばらく眺めていたらディアとシアで魔法の撃ち合いが始まったので、そろそろ止めないとかな。

 壊れないとはいえ、あまり騒ぐとジャスミンの睡眠を妨害してしまう。



「今度精霊たち用に魔法撃つ場所用意するから、今日はそろそろ終わりにしよう? あまり騒ぐとジャスミンも寝れなくなっちゃうし」

「ごめんなさいなの」

「楽しくてつい」



 2人から魔石を返してもらい、そのまま収納する。

 最初は周りの被害を考えていたディアも、楽しくなるとそれらを忘れちゃう辺りかわいいね。

 被害が無かったから笑ってられるだけで、普通の家なら崩れてもおかしくなかっただろうけど。


 で、魔石だけで発動できるというのはわかったので、あとはこれをどうやって持ち運ぶかだ。

 収納さえあれば他はしまっておいてもいいので、収納の魔石でアクセサリーっぽい物を作る?

 でもこの大きさだと、指輪やイヤリングどころか腕輪でも邪魔になりそうだから、ネックレスかな?

 あ、ベルトみたいに腰に巻くのもありかも?



 さんざん悩んだ結果、収納の魔石とわかりやすいように「開いた宝箱の中に魔石が入ってる」ような形にした。

 そして上部に土魔法で作ったチェーン状の石を通してある。

 これでネックレスにもベルトにもできるだろう。

 あとは渡すときに長さを調整するだけだね。



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