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11 常設依頼の納品のために森へ

 サクラが宿屋にお泊りした翌日。

 朝食後に私達は孤児院へ向かう。

 若干不安そうにしているサクラと手をつなぎ、数十分の道のりを歩く。


 孤児院につくと、外にいた子供たちがサクラに気付き近づいてくる。



「サクラお姉ちゃんおかえり」



 皆がおかえりとサクラを迎えてくれる。

 私は自己紹介をし、院長先生を呼んでほしいとお願いする。

 子供たちは笑顔で「わかったー」と言って孤児院の中に入って行く。

 それを見送るサクラの手に少し力が入る。


 子供たちが呼びに行ってからすぐ院長先生が出てくる。



「あらあら、ずいぶん早く帰ってきたのね。 おかえりなさいサクラ」

「た、ただいま戻りました」

「昨日ユリアさんから聞いたけど、遊び疲れて寝ちゃうなんてまだまだ子供ね」



 院長先生は口元を手で抑えて笑う、話をちゃんと合わせてくれている。

 昨日の今日で帰ってきて安心したのか、昨日と違って表情も穏やかだ。



「すみません」

「大丈夫よ、ちゃんとお泊りすると連絡は受けてたから。 もう元気なようだし、あなたもみんなと遊んできなさい」

「はい、いってきます。 ユリアちゃん、ありがとう」

「うん、また遊ぼうね」



 笑顔で私に手を振って孤児院に入って行くサクラを手を振り返しながら見送る。



「元気そうですね」



 サクラがいなくなり、2人になると院長先生が呟く。



「昨日あの後、宿屋に戻ったら起きてたんですよ。 ちょっとタイミングが悪かったですね。 お泊り宣言したのに孤児院に連れて行くのも変なので、結局そのままお泊りしてもらいました」

「いえいえ、サクラがお世話になりました。 話を聞いて数日は帰ってこれないのではと思っていましたので、元気そうな顔を見られて安心しました」

「ベッドに寝かせた時はつらそうな表情をしてたので、私も時間がかかるかもと思ってました」



 孤児院に行く前にかけた回復魔法が効いてたのかもしれない。

 あの時は効果ないように見えたんだけど。



「ご迷惑でなければこれからもサクラと仲良くしてやってください」

「もちろんです。 友達ですからね」



 私は院長先生と話をした後、孤児院を後にして商店通りに向かう。


 のんびり歩きながら、今日何をしようか考える。

 やることと言っても、お店の案内はサクラにしてもらったし、買い物もした。

 教会があるようなことを院長先生が話してたけど、私は別に興味もない。

 いや、建物は見てみたいけど、教会関係者とか変なのが居そうだしね。

 勝手なイメージだけど。



 商店通りまで戻ってきても、今日何をするか全く決まらなかった。

 なので、とりあえずギルドで依頼を見てみることした。

 前回はサクラが依頼を受けたから、私は掲示板を見ていないし。

 依頼は1回達成したけど、これでこのカードは持ってられるのかな?

 まあダメならもう1回何か受ければいいか。


 面白そうな依頼があったら受けてみようかな、と思いつつギルドに入る。

 ギルドの朝は前回同様賑やかだ。

 でも今日は掲示板の前に人は少なく、みんな椅子に座って話しをしている。

 もともとFの掲示板は人がいなかったのであまり関係ないけど。


 掲示板で依頼を確認してみる。



・薬草採集。

・商品の品出し。

・荷物運び。

・庭の草むしり。 ※歩合制

・家の掃除。 ※適当にやると報酬減

   ・

   ・

   ・



 なにこれ、冒険者ってこんなことするの?

 ただの雑用じゃない。


 あ、Fなら常設の納品でもいいんだっけ。

 そっちやろうかな。


 Fの掲示板のさらに奥、一番端に掲示されている常設依頼の一覧をみてみる。



・ウルフの肉、毛皮納品。 

・アーマーラビットの肉、毛皮納品。 

・スモールボアの肉、毛皮納品。

   ・

   ・

   ・


 買い取ってくれるのはお肉や皮などが売れる魔物みたいだ。

 


「前回ウルフを売る前に登録してれば達成になったのかな? 今更だけど」



 初めて買取所に行った時に「達成扱いにならないけどいいか」と聞かれたけど、この事だったんだね。



「前回は森の少し奥の方でウルフに会ったから、もうちょっと奥に行けば普通にいるかな?」



 サクラに初めて会った場所を思い出す(と言っても周り全部森だったけど)。

 最悪迷ったら身体強化でジャンプすれば森を見渡せるだろうし、そうすれば街の場所もわかるでしょ。


 今日やる事を決めて掲示板から離れようとした時、受付嬢と昨日のおじさんがカウンターから出てきて冒険者全体に話しかける。

 何だろうと思っていると、おじさんが話始めた。



「昨夜の緊急調査で森の少し奥でキラービーが発見された」



 キラービーって何だろ?と思っていると冒険者がざわつく。



「マジだったのかよ」

「別の街に避難したほうがよくないか?」

「どうすんだよ」

「森であいつに勝てるのか?」

「猛毒治療できる治癒魔法使いは呼んでるのか?」



 危ない魔物なのかな?

 キラービーって、そんなハチが元の世界にもいた気がする。

 詳しくは知らないけど、昨日の毛虫の事もあるし巨大なハチなのかもしれない。

 気持ち悪いというか、巨大ハチは普通に怖い。



「先日発見されたポイズンキャタピラーは、このキラービーから逃げてきたものだと思われる。 ランクCの冒険者は緊急討伐依頼を受けてくれ。 治癒魔法使いの手配はこれからする。 なので開始は明日の早朝予定だ。 だからそれまでに準備をするように。 当然この問題が解決するまでは森を対象にした通常の依頼は全て受注禁止とする」



 危ないハチがいるから森に入る依頼は受けるなって事ね。

 でもランクCが対象なら私は関係ない。

 適当に常設の魔物でも狩って来よう。

 依頼は受けないからいいよね?


 まあそんなわけないだろうけど、私ならハチが来ても平気だろうし。


 私は騒いでいる冒険者を無視してギルドを出る。

 食べ物もまだ余裕があるし、飲み物は飲料水の魔法があるので、そのまま門まで行く。



「お、嬢ちゃん」



 門にいる兵士の人に話しかけられる。



「こんにちは」

「昨日の嬢ちゃんは大丈夫か?」

「大丈夫ですよ、もう元気になってますので」

「そうか、よかった」



 サクラが元気になったと聞いて安心していた門兵と別れて森に向かう。

 あの狼が森のどこにいるかわからないけど、とりあえず奥に向けて歩いてればいいかな?


 昨日サクラと森に入った辺りから森に入る。

 入り口付近は昨日採集したから薬草は少なかったけど、少し奥の方まで来ると薬草がいっぱい生えていた。

 この辺りまで採集しに来る人はいないみたいだ。

 薬草集めをするのは新人だろうし、新人はこんな奥まで来ないか。


 昨日採集して地面に落ちている花を見ながら進んでいたが、ただ歩いていくのも暇なので、薬草を採集しながら進んでいくことにした。

 毛虫と出会った場所の先からは採集してないので、そこから採集を開始する。



 しばらく無心で薬草を採集していたら、急にウルフが襲ってきて腕に噛みついてきた。

 採集に集中してるところに急に来たので驚いてしまい、噛みつかれた腕を思いっきり振ったら木に激突して動かなくなった。



「ビックリした、急に来ないでよまったく」



 動かなくなったウルフに近づき、収納からメイスを出してつついてみるが反応が無い。

 なのでそのまま収納して再度採集に戻る。


 当初の目的である魔物納品のことをすっかり忘れ、ひたすら薬草を採集していた。



 カゴはなく、全部収納しているので「いっぱいになったから帰る」とはならない。

 なのでいつまでも採集していた。


 花を風魔法で切り取って地面に落とした後、葉の無い根元辺りも風魔法で切り取る。

 昨日は手でやってたけど、風魔法の方が早く採集できる。

 だいぶ慣れて採集しまくっていると、かなり奥まで来てしまった。

 実際今いる場所がわからないので何とも言えないけど。


 試しに身体強化してジャンプしてみると、周囲は全部森だった。

 街が見えない。

 木が高く、そこまで遠くが見えないのだ。



「あれ、これまずくない? また迷子?」



 帰り道がわからず、急激に恐怖心が襲ってくる。



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