表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/129

102 戦技大会終了

 勝利宣言は受けたので、相手を起こすことにする。

 声をかけても反応が無いので「リカバー」をかけて再度声をかける。

 するとゆっくりと起き上がり話しかけてくる。



「君、強いな。 あれだけ魔法を使ってまだまだ余裕そうだ」



 一瞬私を見た後、下を向きながら呟いている。


 実は比較的安全な場所もあったんだけど、気づかなかったみたいだ。

 だって審判がいるんだからそっちには攻撃できないでしょ?

 なので審判の近くは玉が少なくなっていた。

 水の玉も雷もそこにはなかったし。

 それに私の正面にしか飛ばしてないから、私の背後もかなり安全だったというね。



「ランクAになってからここまで一方的に負けたのは初めてだよ。 Aランクが増えたって話は聞いてないが、君もAランクなのか?」

「私はBランクですよ。 Aランクは制約が面倒そうなのでなるつもりはないですし」

「そうか・・・・・・」



 それ以降その人は自分の手を眺めるだけで話しかけてこなかった。

 私は地面に刺した剣を引き抜きに戻り、座り込むその人の横に引き抜いた剣を置いてその場を離れる。



 そのまま控室の方に向かおうとしたところで、審判をしていた人に最後の話があるからそのまま残るように言われた。

 言われて待っていると、準決勝に出ていたお爺さんと隊長さんが会場に入ってくる。

 それ以外にも数人で最初の話をしていた台よりも大きな台を用意し始める。


 何が始まるんだろうと眺めていると、王家の物だと思われる馬車が会場に入って来て、用意された台の近くまで来る。

 台の近くでとまると、馬車から王様が出てきた。

 王様が台の上まで移動すると、大会上位4人に労いの言葉や、他の者たちも励むようにとか言う話をする。


 そして最後に、褒賞として魔銀貨と用意されている宝物から好きな物をくれるそうだ。

 私は魔銀貨5枚と宝物2つ、準優勝の長剣使いの人は魔銀貨3枚と宝物1つ、3と4番目の人は魔銀貨2枚だそうだ。

 王様から魔銀貨を受け取っていると、会場の入り口から今度は10人くらいの騎士たちが宝物らしき物を乗せた台を運んできて、王様の前に置かれた。 



「さあ優勝者ユリアよ、この中から好きな物を2つ選ぶがよい」



 いつもの軽い雰囲気とは違い、初めて会った時のような威厳のある話し方をしてくる。

 まあ他の人の目もあるしね。

 いや、初見時も途中から素だった気もするけど。


 そして私は運ばれてきた宝物を見るが、ほとんどが武器や防具で、しかも装飾がしてあるような飾るタイプの物だ。

 戦闘で勝った人に飾るような装備品を送るのはどうなんだろう?

 武器はいいかもしれないけど、リーアのおかげで武器問題が解決しちゃったから私には必要ないんだよね。

 私はどれにしようかと眺めていると、その中で1つだけ無色な玉があるのに気が付いた。

 色が無くて最初は気が付かなかった。

 その玉が気になったので、手に取り確認してみる。



〇五常石(空)

何の力も入れられてない空の五常石。 五常石として機能させるには光属性の強力な魔力が必要。



 え、空の五常石って何の意味があるんだろう?

 使い終わった物なのかな?

 そうなるとただのゴミだと思うんだけど・・・・・・でも光属性の魔力があれば使えるようになるなら持ってたほうがいい?



「それにするのか?」



 私がジーっと空の五常石を眺めていると、王様に聞かれる。



「そうですね。 これにします」

「もう1つはどうする?」



 他の物を再度眺めるけど欲しい物が無い。

 大きめの収納系とか面白い魔道具とかあれば欲しかったんだけど、売るか飾るしかない装備品はいらない。

 木造の家には合わないし、さすがに貰ってそのまま売るのも悪いし。



「うーん。 この石があればいいので、私がもらえるもう1つ分を他の人にあげてください」

「いいのか?」

「売るか飾るような物ばかりですし、実用的な物も武器や防具ばかりで使いませんし」

「そうか、なら準決勝でユリアに負けたほうに権利を渡すことにしよう。 次の者、選ぶがよい」



 私がもらった石を収納して元の位置に戻ろうと振り返ると、口を開いたまま信じられない物を見る目で3人が私を見ていた。



「どうしました?」



 王様が呼んでるのに動かない長剣の人に話しかけてみる。



「陛下に対して普通に話しているどころか褒賞を断るとか前代未聞だろ」

「そうなんですか?」

「次の者、どうした?」



 私と話をしていたが、王様に言われて急いで宝物を貰いに行った。

 そう言えばアイテムに気を取られていて普通に話しちゃってたね。 


 長剣の人がもらい終わると、今度は魔法使いのお爺さんがもらいに行った。

 戻ってきた時に譲ってくれてありがとうとお礼を言われた。



「さて、褒賞はこれで終わりだな。 次の話をしたいんだが・・・・・・」



 最後の方は私たちにしか聞こえないような小声で呟くが、私の方を見て言葉を濁す。 



「私がいるとまずい話ですか?」



 私の方を見ていたので、いない方がいいのかと思って聞いてみる。



「いや、そういうわけではない。 ただ今回の上位4人で組んでもらおうと思っていてな。 その4人でダンジョンの攻略をしてもらいたかったんだ」



 あー、私が基本的に1人で行動してるからか。

 なら余計になぜ呼んだし、になるんだけど・・・・・・というかダンジョンなんてあるんだ。



「大会参加した人は他にもいますしそこから選んでみては?」

「そうだな、そうするとしよう」

「でもちょっと面白そうですね。 ダンジョンがあるなんて知りませんでしたし」



 ダンジョンといえば小さい頃に祖母がやっていた毎回形が変わる不思議なダンジョンや、キャラも名前も職業も自分で好きに作ってパーティーも自由に組めるゲームが好きだった。

 


「もし興味があれば試しにこの4人で行ってみないか?」



 王様が目で行ってくれと訴えてくる。



「日時次第ですね。 4人で組むと好きな時にフラッと行けるわけじゃないですよね? 私は新しい街でやる事もありますし、預かってる子を何日も放置できませんし」

「あーそれもそうか。 行くとしても日帰りじゃないと厳しいのか」



 うちにジャスミンがいるのを思い出したのか、再び渋い顔になった。



「まあその話は後でいいか。 このまま観客の見ている前で長話するわけにはいかないしな」



 王様のはそう言うと、観客に聞こえるよう威厳のある大き目の声で話し始め、終了の宣言をして解散することになった。

 王様の乗った馬車は控室の方に向かっていき、騎士の人たちは持って来た物をまとめ始めた。

 私たち4人は王様とは反対側の控室に向かう。




「うおぉぉぉ!」



 私たちが控室の方に向かっていると、後ろの方で雄たけびが聞こえた。

 何だろうと振り返ってみると、観客席から跳び降りてきた30人ほどの武器を持った人たちが、王様の乗った馬車に向かって走って行く。



「なんでしょう、襲撃でしょうか?」

「かもしれない、俺たちも向かうぞ」



 長剣の人が何か力をためるように力みながら少しかがみ、魔法使いのお爺さんは杖に魔力を込め始めた。

 隊長さんは遠距離攻撃ができないみたいで、身体強化をしてそのまま走って行った。

 絶対間に合わないと思うけど、騎士として向かわないわけにはいかないよね。

 馬車の方は迎撃しようと御者をしていた騎士の1人が、馬車を守るように移動する。

 王様の乗った馬車が向かった控え室の方と、荷物をまとめていた騎士たちが急いで向かっているが、重装備の騎士たちでは間に合いそうにない。



「増援が間に合いそうもないですし、私も参加したほうがいいのかな?」



 私は周りの人の状況を見て、間に合いそうも無いと判断した。

 長剣の人が瞬間移動できたとしたら間に合うかもしれないけど、相手は何十人もいるから1人は厳しいと思う。



 「エレクトリカルショック」



 私は襲撃者の方に人差し指を向け、雷魔法を放つ。

 持っている物が武器だとなんとなくわかるくらいで、かなり距離が離れていていたが、普通に魔法は届いた。

 まあこの会場の地面を土魔法でいじれたんだし、届いても不思議じゃないか。


 雷魔法を放つと、襲撃者たちは全員その場に倒れる。

 手加減はしたけど、ここからだと生きてるのかどうかもわからない。

 とりあえず動かなくなったからいいか。



「これでいいかな。 あとは騎士の人たちが何とかしてくれますよね」

「・・・・・・今、何をしたんだ? 魔法なのか?」



 長剣の人が武器を構えたまま襲撃者の方を睨みつつ質問してくる。

 魔法を使おうとしていたお爺さんも魔法を止めて襲撃者の方と私を交互に見ている。



「魔法ですよ。 相手を痺れさせて動けなくする魔法です」

「こんな距離から瞬時に届くのか!? そんな便利なものがあるならなぜ大会で使わなかった」

「そんなことしたら見ている人が楽しめないじゃないですか。 なので少しでも派手な演出になるようにしてたんですよ。 あの光る玉とか奇麗だったと思いますせんか?」

「・・・・・・ということはあの光の玉は魔法を使うのに必要なかったって事か? いや、今光の玉もなく魔法を使っていたか」



 騎士たちが動けなくなっている襲撃者を拘束し始めたので、長剣の人が警戒を解いて私の方を向く。



「正直に言って欲しい。 俺と戦っていた時は手加減してたのか?」

「え? そうですね。 でもみんなそうじゃないですか? 殺してしまうと判定負けになってしまうので元々全力での戦闘なんてできませんし、従魔と精霊たちも戦力として連れてきていいみたいでしたが、王様に連れて行っていいのか聞いたらダメって言われたので、見学席で待ってもらってますし」

「あれだけ魔法が使えて従魔もいて、さらに精霊使いなのか・・・・・・」



 早く戻りたかったので、驚いて固まっている3人を置いて私は控室の方へ歩いていく。

 そういえば隊長さんにもその話はしてなかったね。

 私を迎えに来た時にディアには会ってるはずだし、昨日はシアも見てるはずだけど。


 控室に入っても特に誰もいなかったので、そのまま私はみんながいる場所まで行こうと通路を歩いてる途中、ふと思う。



「あれ、大会が終わったけどまだあの見学席にいるのかな? もう移動しちゃったかな?」

 


 少なくとも王様は移動してたわけだし、王子含めて護衛など少しは減ってはいるはず。


 考えつつも通路に来てみると、王族用見学席へ向かう通路に騎士たちはいなかった。



「うーん、見張りが居ないって事はもうみんなはいないのかな? あ、シアに念話は通じるんだろうか」



 私はシアを思い浮かべながらどこにいるのかを聞いてみる。

 すると返事が来た。

 シアにもちゃんと通じるみたいだ。



『騎士達はほとんど出て行ったけど、子供たちはまだここにいるわよ』



 という事なので私は見学席に向かう。

 扉を開けるとシア以外にもサクラやリーア、マリーにデイジーが席に座って待っていた。

 私が中に入るとデイジーは私に飛び付き、他のみんなはお帰りやおめでとうと迎えてくれた。



「ユリア本当に強いのね。 まさか優勝しちゃうとは思わなかったわ」

「ユリアちゃんの魔法すごく奇麗だったよ」

「ユリアさんあれだけ魔法使って疲れてないんですか?」

「ありがとう、私は大丈夫だよ。 それで、この後はみんなどうする」


 

 そう聞くと、どうやら王様から伝言があるらしく、私が戻ってきたらお城の執務室に来るように言われたみたいだ。

 なので、私は皆と一緒に来た時に乗った馬車でお城に向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ