最終回
男子ってなんか苦手。
乱暴だし、うるさいし、すぐ変なこと言うし。
だからあんな生き物とは仲良くなれるはずがないって。
私はそう思っていた。
なのに――
「話ってなんだよ」
土にまみれた野球のユニフォーム姿で、彼は言った。
日もすっかりと落ちて、うす暗い。
そんな中、私たちは並んで歩く。
「あのね。大したことじゃないんだけど、太一って好きな子とか、いる?」
「なんだよいきなり。いるに決まってるだろ」
「まあ、そうだよね」
きっと陽代ちゃんのことだ。
そりゃあそうだよ。
陽代ちゃんのほうが、私よりもかわいいし。
私なんて、太ってるし。
当たり前のこと聞いて、勝手にへこんで、バカだな私。
「これからも、いっしょに帰っていいか?」
ほら、気まずいからもう帰りたいって。
「え?」
「え、じゃねーよ。本当ににぶいなお前は」
彼は頭をガシガシと掻いた。
「お前が好きだ。なんて言えるわけねーだろうが」
「え?」
「お前な、"え"言い過ぎ。次それ言ったらほっぺたつねるから」
両方のほほを太一に引っ張られて、私はようやく我に帰った。
「にゃー!?」
そう夢と現実のはざまで、私は猫のように鳴いた。
この作品のためだけにアロマの香る部屋で執筆をし、作者が猫アレルギーであるにもかかわらず、猫と寝食を共にしました。ぶっちゃけ辛かったですけど、それ以上に楽しかったです。
こうして無事に完結させられたのも、読んでくださるみなさま一人ひとりのおかげだと思っています。
10週間もお付き合いいただき、本当にありがとうございました!




