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異世界SLEEPER〜睡眠学習で人生に幸あれ〜  作者: kataki
第1章 夢と奴隷と

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第9話 身嗜み


俺は先程まであの少女が寝ていたソファーに腰を下ろすと深いため息を零す。


 「はぁ、マジでビビった」


 ユメとメルはというとひとしきり泣き、落ち着きを確認した後、ボロボロの格好の少女を見るやいなや2人で風呂に入っている。

 

「ほらぁ、メルちゃん逃げちゃ、めっ!」


「み、みず、こわい」


「ほらぁ、ゴシゴシゴシゴシ!」


「ふぇぇぇぇぇぇ!?」


 浴室からここまで楽しそうなユメの声が聞こえる。

  しっかりと洗われてくれたまえ…。

 

 しかしまいったな…俺は奴隷の女の子を拾いに云ったわけじゃない。一刻も早く事件の真相に辿り着かないとまた手遅れになってしまうかもしれない。

 だが、流石に忙しいから後は1人で生きてくれと幼い少女を野山に捨てるのはいささか良心が痛む。

 

 俺がうんうんと唸っていると、後ろから湯上がりの2人が姿を現す。

 俺は振り返ると目を疑った。先程の薄汚れた栗色の少女は髪の毛は血と汗で固まった状態とは異なりふわっふわっといった見た目のくせっ毛に変貌し、所々の擦り傷は目立つものの整った容姿からは年齢相応の可愛さが伺えるほど見違えていた。

 服は替えがなかったので昔ユメが使用していたお古を着せられており、ダボダボである。

 そして何と言ってもその横で佇んで驚く俺を不思議そうに見つめるユメはいつもの可憐なツインテールメイドとは違い綺麗な赤い髪を後ろに伸ばしている。

 更にまだ少し水分を纏った髪の毛からは大人の色気を放っている。更にその無防備な白のパジャマからは肌の露出が所々に現れ目のやり場に困るほどだ。

 

 そのあまりの衝撃に俺の理性は吹き飛び思わず口が開く。


「おっふ」


真顔でそういってしまったため、目の前のメルは怖がり、ユメは少し蔑んだ目でこちらを見つめていた。


 

俺はキッチンに立つとユメのために手早くできそうなレシピを見繕いそれを炒める。

 メルを椅子に座らせると皿に盛った料理を置く。


「ほれ」


皿からは湯気が立ち込め、メルの鼻を刺激する。だが一向に箸に手をつけようとしない。

 

「食わねーのか?」


ボトボトボト


突如メルの口から大量のよだれが生成され落下する。体は正直なもので彼女の空腹も限界のようだ。


「…何故食べない」


 俺はメルの不可解な言動に眉をひそめ質問する。するとメルはユメのほうに首を動かし答える。


 「このひとがつくったの…こわ…い」


 そうゆうことか…さっきのさっきで怖がらせた分俺への警戒態勢が軒並み上がってしまったのだろう。

 ユメに作らせるべきだったと後悔していると、ユメは俺の方を見るとウインクし任せてといわんばかりに、口を開く。


「大丈夫だよーメルちゃん、トーヤさんは確かにちょっと変な人ですけど悪い人じゃないんだよ。だから毒なんて入れてないよ」


「どくっッッ!?」


 その言葉にメルは凍りつく。

  

余計悪化してるじゃねぇか!!


 するとユメは皿から一つ適当につまみ上げて自分の口に放り込む。


「ん、おいし」


 それを確認するとメルはタガが外れたように料理に飛びついた。素手でー

 その様子を見ていた俺達は苦笑いする。


 「ははは…こりゃあ、基本の作法から教えてあげないとな」


 「ええ、そうですね」


 テーブルと床を汚し完食するとメルは満足そうだった。


「すっごく…おいしかった…」


そこで俺達は最初の作法をメルに教える。


「メルちゃん、命を頂いた後はこうするんだよ」


俺とユメは二人揃って手を合わせると


 「「ごちそうさまでした」」


メルは俺達が手を合わせている様子を不思議そうに見つめながら、真似をするように手を合わせる。


「ごち…そうさま…でした」


 

しばらくするとメルはまた眠ってしまった。今度はソファじゃなくユメの布団に寝かせた。

 メルを寝かせた後俺達は今後について話し合う。


「とりあえず、メルが起きたら両親のことを聞いてわかりそうなら送っていってやろう」


「はい!そうしましょう!ですが、それよりもまずはメルちゃんの最低限の身なりからですね」


 確かに現状、あのボロボロの布の服しか着てなかったメルをあちこち連れ回すのは気が引ける。流石にずっとブカブカの服を着せるわけにもいかないしな。


「でも、子供の服が充実したとこなんて近くにないぞ?」


そう告げるとユメは手を合わせ答える。


「じゃあ久しぶりに大きな街まで繰り出しましょう」


「えー」


俺のブーイングを無視しユメは久しぶりの遠出に胸を弾ませていた。

 そんな彼女に嫌だとはとてもいえるはずもなく、俺はなくなく受け入れる。


「…わかったよ。でも流石に少し距離があるから、明日いつもの街にいって馬車を出してもらうことにする」


俺がそう伝えるとユメは笑顔で答えた。


「はい!ありがとうございます!明日は楽しみですね!!」


すっかり旅行気分のユメに俺は釘を刺すこともできないままお開きとなった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

登場人物紹介        


メル・アゲイン  推定7〜9歳


ゴブリンに襲われていたところをトーヤに助けられる。

栗色のくせっ毛のある長い髪が特徴。

奴隷として発見されたが数年前の強いショックが原因で人に恐怖を覚え会話もままならなくなっている。


トメトとユメが好き  トーヤは苦手



 


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